戦没者慰霊祭と国家の品格

早朝の小泉純一郎首相の靖国参拝で始まったこの日、正午からは、毎年、戦没者慰霊祭が行われます。天皇皇后陛下のお言葉のあと、首相、衆参両院議長等々が慰霊の柱へ慰霊の言葉を述べ、一人一人が献花をします。私はこの4年、慰霊祭に毎年出席してきました。日本学術会議の会長は日本の科学者の代表として、毎年献花をするのです。

これは素晴らしいことだと思います。3年前、友人の研究者がこれを見てとても感動したと言っていました。国の「学」の代表をこの様な形で扱う国は、なかなかの見識を持っていると思います。

昨年、学術会議主催で「アジアのダイナミズムと不確実性」というかなり過激なテーマの国際会議を開催しました。中国、韓国、インド等、各国の論客をお呼びし、日本からは政治学のリーダーである五百旗部(いおきべ)真氏、田中明彦氏、猪口孝氏等が参加くださいました。この会議は100名程度で「クローズド」にしました。お分かりだと思いますが、靖国参拝問題が議題になることが明らかだからです。そして、やはり問題提起として議論されました。

この議論の中で、インドネシアの著名なシンクタンクCSISのワナンデイ所長が、国(日本)の正式な戦没者慰霊は8月15日の天皇皇后陛下の来られる戦没者慰霊祭で、靖国とは別にあるという話をされました。そこで私が、この慰霊祭では学術会議の会長は必ず出席し、献花をしていることを伝えると、素晴らしいことだと感心されていました。

こういったことが国家の品格を表すのです。この様なことを深く考える人は多くないかもしれませんが、そんな国では困るのです。ちょっと考えてみてください。