モンゴルから

5日からモンゴルの首都ウランバートル(Ulaanbaatar)に来ています。

モンゴルは今年、ジンギスカーンによるモンゴル帝国の成立から800年目にあたり、国家的行事が色々と行われています。私はアカデミーの交流で招かれました。10日には小泉首相も訪問される予定です。モンゴル科学アカデミー会長のチャドラ氏とは何度もお会いしていて、共にアジア学術会議にも参加している良く知った仲です。

直行便が満席だったので、成田からソウルのインチョン空港経由でウランバートルに入りました。到着したときは雨が降っていたのですが、何しろ降雨量の少ない国ですから、雨を持ってくるお客さんは大歓迎ということでした。

6日は、モンゴルの大切な財産である経典や、医薬を記載した記録、天体図等々、何百年も前の古い資料が大事に保存されている記念館を訪問しました。この記念館はアカデミーが管理しています。さらに僧院とお寺を訪問。大きな仏陀も立っていました。

お昼は、在モンゴルの市橋大使にご招待頂きました。その後、ジンギスカーンが若い頃生活していた、60キロ程離れた山の彼方に遠出しました。ここは今では自然保護地域になっています。ここからロシア国境までは600キロ程度あるそうですが、その間にはほとんど人は住んでいないようです。広い広い。見晴らしが素晴らしいです。ジンギスカーンは如何に、とつい思ってしまいます。

ロシアと中国、2つの大きな国家に挟まれ、それぞれの国境が数千キロにわたっているのですから、歴史から見てもわかるとおり大変な地域です。海に囲まれた日本では想像もつかないことです。1920年頃からソ連に直接的、また、間接的に支配され、冷戦の終わりとともに自由経済体制になり、日本も随分と貢献していますが、これもそう簡単なことではありません。

モンゴルの広さは日本の国土の4倍です。全人口が250万人。ウランバートルに約100万人が住んでいます。モンゴルの皆さんは日本人にそっくりで、今や大変な人気の朝青龍や白鳳のように体格のがっちりしている人も多く、なかなか強そうな人たちです。

Mongol013ジンギスカーンが育ったといわれる丘で、モンゴル科学アカデミー会長のチャドラ氏と、モンゴルのウォッカ(「arkhi」)で乾杯

Mongol018 ゲルの中で、右からチャドラ会長、私、唐木さん、西ヶ廣局長

東京-北京フォーラム

言論NPOに参加しています。話題の提供をしたり、私達のNPO日本医療政策機構と共同で、東京大学経済学部教授・経済財政諮問会議議員の吉川洋先生をお招きしてフォーラムの開催を行ったりしています。

この言論NPOは、昨年から年に1度、「China Daily」という中国の主要メディアと共同で、「東京-北京フォーラム」を開始しました。これは両国の関係改善を議論する、いわゆる“Track 2”と言われる、政府間ではない対話の場です。もちろん政府関係者も参加できますが、主催はNGOや民間です。昨年、北京で第1回が開催され、中国では相当大きく取り上げられました。

そして、第2回「東京-北京フォーラム」が、8月3日と4日に東京で開催されました。安倍晋三内閣官房長官と王駐日中国大使が挨拶をされましたが、これは中国の首脳にテレビ中継がされていたそうです。日本でも主要紙では取り上げられていました。午後のセッションの第1分科会に参加しましたが、ここでは中川秀直自民党幹事長の基調講演があり、これもなかなか良かったです。

中国の「China Daily」でも大きく報じられていました。

塩崎恭久外務副大臣も高校生の留学プログラムの成果について話をされていましたが、この様な“Track 2”的な対話の道から、若者や学者や民間で、現実的ないくつものプロジェクトが始まるのはよい傾向で、実際かなり動いています。日本と中国国民の意識調査では両国の関係はかなり冷え込んでいる感がありますが、この様なプロセスが市民社会のあり方の基本の一つであり、私たちのNPOや言論NPOは、これらを体現しているのです。

私は中国と日本の関係はアジア全体、ひいては世界への影響が大きいという視点から、両国だけの問題として捉えないことの重要性を強調しました。昨年、学術会議が開催した「アジアのダイナミズムと不確実性」というシンポジウムにお招きした、北京大学国際関係学院副院長の賈 慶国氏が、「中国から日本へのビザ取得が、学会に出席する学者でも結構面倒なので何とかしてほしい」という発言がありました。政府間ではまだそんなレベルなのです。

言論NPOのサイトを時々訪ねてみてください。

 

2006年8月

次世代文化フォーラム ~アート・テクノロジー・サイエンスの領域を越えて~
日程: 2006年8月30日(水)
会場: 東京大学安田講堂
テーマ: 「既存の学問体系の先に見える新たな知へ向かって」

第3回 日本透析アウトカム研究会 臨床研究デザイン塾
日程: 2006年8月30日(水)
会場: 日本ユニシス「伊豆エグゼクティブセンター」
演題: 「日本の医療の課題あれこれ」