NRCと学術会議

2月12日、今日は忙しい一日でした。

朝からアメリカの国務省と、新しく設立された国土安全省、そして日本政府間の「安全と安心」についての科学技術政策と協力関係の構築についての第1回となる政府間会議がありました。先方は国務省の科学技術主任のDr. AtkinsonとHarvard名誉教授のDr. Branscombが中心でした。昨年12月にWashingtonDCのCarnegie研究所、そしてNational Academy of Sciencesに訪問したことを書きましたが、このときにDr. Branscombの名前を聞き、お会いしたいと思っていたところ、日本でこの会議に参加するという事だったので楽しみにしていました。Dr. Branscombは「9.11」のあと緊急に構築されたNational Research Council報告の「Making the Nation Safer」の委員長で、それで会いたいと思ったのです。このNational Research Council(NRC)は1916年にNational Academy of Sciences(NAS)(1863年、Lincoln大統領のもとで設立され、政府間に緊張ある、しかも「中立な政策立案のシンクタンク」のような機能を果たしています)が設立した機関で、以後、傘下に工学と医学関係のアカデミーを擁するようになり、現在に至っています。

「学術の動向」の2004年1月号にも、学術会議の歴史等を踏まえ、NRCについて触れていますので、是非読んでください。実は学術会議はNRCを意識して作られたのです。当時の日本はそこまで成熟していなかったこともあり、NRCのような機能を果たせず現在にいたっています。これからの学術会議は、このNRCのような機能を社会に負うべきだと言うのが私の考えです。

ちなみに懸案であった学術会議改革法案が10日に閣議決定され、ほっとしました。事務局と一杯だけお祝いをしました。

昼は外国人記者クラブに招かれて「日本の問題」について話しました。面白かったですね。よく講演をしているのですが、今回はちょっと趣向を変えて「自殺が増えた背景-この4年間、30%増えた分はすべて40~60代の男である話」、「過労死の話」、「天下り」、そして「日本語は「私」と「あなた」をあらわす言葉がいくつもある唯一の言語である事」を提示し、その理由を、歴史的、社会的な実例を挙げながら30分間話をしました。

今日は日米協議の2日目ですが、一部だけ出席することにしています。今日はその他に「医療制度と情報」の講演予定が入っているので。ではまた。