ダボスから(3)

26日のダボスは一番忙しかったです。午前中は私が司会で“Who Funds Research and Innovation?”というテーマのパネルディスカッションを行いました。8人のパネリストは以下のメンバーです。

・Carol Bartz, Executive Chairman, Autodesk, USA
・Seth Berkeley, President and CEO, International AIDS Vaccine Initiative, USA
・Alexander Bradshaw, Scientific Director, Max-Planck-Institute for Plamsa Physics, Germany
・James Fruchterman, President and CEO, The Benetech Initiatitve, USA: Social Entrepreneur
・Thomas Insel, Director, National Institute of Mental Health, USA
・Linda Lomier, Vice-President, Yale University, USA
・Neelie Kroes, Commissioner, Competition, European Commission. Brussels
・Xu Zhihong, President, Peking University, People’s Republic of China

豪華なメンバーです。いろいろ盛り上がりました。意見の違いは多くても、このようなフラットな議論のプロセスで相互理解と共通のゴールを共有することはとても大事なことだと感じます。楽しいパネルでした。午前の同じ時間帯に、石倉洋子さんがHarvard Business Reviewの編集長Thomas Stewart氏と共同司会で進行する「How Cities Drive Innovation」というパネルもありました。もちろん私は出ることはできませんでした。

さらに午後にはJames近藤君の司会で“How Much Should the Industrialized World Spend on Healthcare?”というこれも大変興味あるパネルがありました。最近とみに医療政策に進出してきたMichael Porter氏もパネリストの一人として参加していました。彼とは去年、同じテーマで私と一緒のパネルにも参加していました。

こちらにも私は出れませんでした。というのも、非公開で内々に行われた、「化学産業界社長の会」のパネルでしゃべるよう招待されていたからです。東レの榊原社長、住友化学の米倉社長(写真1)もおいでになりました。1/25のブログで紹介したDaniel Esty氏(Yale U.)とも一緒でした(写真2)。

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写真 1: 住友化学の米倉社長(左から二人目)

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写真 2: パネルに招待された(右から)Estyさん、私、そして中国の大物Siweiさん。「Green to Gold」の本が見えますね。

彼とはすっかり意気投合し、彼の最近の著書「Green to Gold」(写真2に見えています)をいただきました。これからの企業のあり方について極めて参考になると思います。企業と環境対応のあり方について明快に書いてありますので、是非多くの日本の企業人に読んでもらいたい一冊です。これからの世界のビジネスのトレンドを予測させます。事実、今回のダボス会議で一番多くの人が集まったのは、10を超える環境と気候変動のセッションでした。エネルギーではSteven Chu氏が存在感を出していました。

そのあと16時15分から、“Scaling Innovation in Foreign Aid”というセッションを聴きに行きました。Bill Gates氏、Paul Wolfowitz氏(第一期Bush政権のネオコンの一人。現在、Word Bank総裁)、NY University経済学教授のWilliam Easterly氏、そしてLiberia大統領のEllen Johnson Sirleaf氏(写真3)が参加していました。司会はNewsweek InternationalのEditorであるFareed Zakaria氏でした(権威を恐れぬ実に鋭い突っ込み!メディア人の“鑑(かがみ)”だと感じました)。去年、Gates FoundationのGlobal Health InitiativeのDirectorとなった、UCLA時代からの友人、Tachi Yamada氏ともここで一緒になり、Malinda Gatesさんを紹介されました。このパネルの議論を聞いていて、Bill Gates氏は恐ろしいほどシャープだと感じました。

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写真 3: 左からBill Gates氏、Prof. Easterly、そしてWolfowitz世界銀行総裁。

この後はTony Blair氏、U2のBono氏、Gates氏などが出るパネル「Delivering on the Promise of Africa」でした。こういうところでは必ず緒方貞子さんがパネリストに入っています。緒方さんからはいつも日本の誇りというものをひしひしと感じます。

夜は夜で、これからの宇宙プロジェクトのパネルに呼ばれていて、私の盟友、The Royal SocietyのPresidentでCambridge University-Trinity CollegeのMasterでもあるLord Martin Rees氏と一緒で、楽しかったです。このセッションには石倉洋子さんも来られて、Rees氏の隣に座っていました。帰りは石倉さん、坪内さん(写真4)と一緒に帰りました。

明日の朝はダボスを離れて帰国の途に着きます。今回は緒方貞子さんや竹中平蔵さんが数多くのセッションに参加され、飛び抜けた存在感があったと感じました。嬉しいのですが、世界第2位の経済大国としては、他にももうちょっと存在感を出せる人が欲しいですね。皆さんご苦労様でした。

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写真 4: 左から石倉さん、私、そして坪内さん。

ダボスから(2)

今日は一日フル稼働になりました。午前は旧知のWanandi氏がパネリストをされる“Islam/South East Asia”のセッションに参加。Malaysia、The Philippinesから論客が参加されていました。同じ時間に日本の経済動向についてのセッション“Japan: Beyond the Recovery”があったのですが、出れませんでした。昨日、1/25のブログで紹介したJames近藤君が司会で、竹中平蔵さん、伊藤隆敏さん、経済同友会の北城恪太郎さんが日本側として参加。後で聞いたところでは、竹中さんが最後にしっかりと締めたということでした。

午後には小池百合子さんがお出ましの“Northeast Asia”のセッションがあるので顔を出しました(写真 1)。その後は、明日私が司会をするパネルの打ち合わせを担当事務方と行い、去年11月にインドでお会いしたインド産業大臣のNath氏、一橋大学の研究科長でダボスは久しぶりという竹内弘高さんと奥様、そして3年ぶりにぐらいになる船橋洋一さん(もう2報以上、ダボスの事を書かれていますね、すごい)などなど、多くの方とお会いしました。

夜は“Japan Night”のレセプションがありました。今年の主催は日本の“水フォーラム”でしたが、ちょっと変ですね。森喜郎前総理が会長のNPOで世界の水問題について頑張っています。先週、WHO訪問の際にGenevaでお世話になった藤崎大使もお見えになり、東大の小宮山さんや慶応の安西さんと奥様、アジア開発銀行の黒田頭取、JETROの渡辺会長もお見えでした。また、Googleの創業者のLarry Page氏とSergey Brin氏も来てくれました。Page氏との写真がありますが、Brin氏もすぐそばにいました。Googleの歴史を見てみると、いろいろと面白いことが分かります。小池さんはこの後、夜8時から行われた“Military/Asia”というパネルに出席されたようです。

また、8時からは「横田めぐみさんの物語」(約45分の映画)が放映され、皆さんじっと終わりまで見ておられました。“感動的でした”という方が多かったです。日本から来ていた皆さん、ご苦労様でした。

10時から、“McKinsey Global”のレセプションに出かけ、Michael Porter氏にも会いました。長い一日でした。

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写真 1 小池百合子総理補佐官と会場で

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写真 2 竹中平蔵先生と

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写真 3 藤崎大使、石倉洋子さんと

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写真 4 (右から)竹内弘高さん、私、小宮山東大総長、安西夫人、村沢さん(東大総長の右腕)、安西慶応塾長

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写真 5 Google創業者の一人 Larry Page氏

ダボスから(1)

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23日、昼にLondonを出発し、Zurich空港へ。夕方にDavosに到着しました。今年で7年連続となるDavos会議(これは通称で、正式にはWorld Economic Forum)に参加するためです。2003年、2004年、それから2006年の会議についてもブログに書いています。途中の道も山も、例年よりはるかに雪が少ないですね。今年になって訪問したWashington DC、Geneva、Londonはみな温暖な気候です。

Davosに入ってまずは会議登録とホテルへのチェックイン。面白そうなプログラムが数多くあるので、どれを選んだらいいか、苦労するところです。夜は議長のSchwab氏主催のReceptionがありましたが、そちらはスキップ、明日の予定を考えて一休みです。

24日、まず会場をうろうろと。Lester Brown氏等、知っている人たちと出会っては、握手、「Hey, what’s up?」から始まるルーチン。いろいろと出会いがありました。10時からは「CNBC Debate?Make Green Pay」という刺激的なタイトル(このタイトルのつけ方がうまい)のTV放送録画取りのあるパネルに参加しました。地球温暖化は急速に悪化するなかで、エネルギー政策等は「市場に任せるか、政府の規制か?」を「Pro vs Con」で1つの質問に対して一人ずつ5分で意見を戦わせ、相互に1分間の質疑、それから会場から質問を受けるという構成。

Q1. Nuclear energy and clean coal are the only viable alternatives to oil: Yes or No
Q2. Markets are superior to regulation in leading corporations towards “greener” operations: Yes or No
Q3. A global carbon tax will do more harm than good?

質問の内容も面白いですが、Daniel Esty氏(Yale U.)や“Stern Report”のNicolas Stern氏などなかなかよかったです。Londonで会う予定だったStern氏を捕まえそこないましたので、メールをしておきました。しかし、今年の世界ビジネス界は気候変動、地球温暖化が熱いテーマになりそうな予感のパネルでした。26~28日に、欧州、北米、アジア等で放映されたようですが、誰かごらんになりましたか?

昼のビュッフェでもいろんな方と会いました。竹中平蔵さんは、今年は4、5日の予定で参加されるとか。心強いです。またこの日は、「世界級キャリアの作り方」を一緒に書いた戦友、一橋大学の石倉洋子さんと、私と共に医療政策機構(英語版)をリードするジェームス近藤君がパネルの座長をしていました。残念ながら私は時間がぶつかってしまい、どちらも参加できませんでしたが。

次回はいくつか写真を掲載する予定です。ここでは一足早く、Khatami元イラン大統領のセッションの写真を紹介します。右端がKhatami氏。左にイランのLolwah Al Faisal王女、一番左が“The World is Flat: A Brief History of The 21st Century(2005)”、“The Lexus and the Olive Tree: Understanding Globalization(1999)”等で有名なPulitzer賞を3回受賞しているNY TimesのThomas Friedman氏(司会)です。

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ロンドンから、科学者の信頼

GenevaからLondonに入りました。目的はTony Blair首相の科学顧問(Chief Science Advisor)で、私のcounterpartというべき立場にある旧知のSir David King氏に会うこと、それから“Stern Review Report”のSir Nicolas Stern氏のスタッフと会うことです(本人はインドに出張中でした)。2008年に日本が主催するG8 Summitの件もあるので、野上大使もご一緒してくれました(写真1)。とても有意義な時間でした。

イギリスの科学顧問(Chief Science Advisor)というものは組織化されていますが、最近、英国議会でさらに科学顧問の機能強化の提案も出ているそうです。Blair首相の退任後、この組織を統括するDTI(Department of Trade and Industry)をDepartment of Energyとし、さらにDepartment of Scienceを作るということも検討されているようです。(※1)

King氏との話で一番印象に残ったことは、英国社会の持つ科学への信頼の高さと、それを保障する科学者コミュニティが、個人、それから総体としての個別分野、俯瞰性、哲学性、歴史性、国際性のレベルでも、科学的、社会的責任への意識や発言の質が高いということです。これはひとつは伝統であり、そのような社会的信頼が築かれてきた歴史と文化ともいえます。とにかく科学的根拠に基づいた政策、提言を、という精神が、政治でも、社会でもいつも強調されているということです。国家としても科学に基本をおいた政策の使い方が客観性が高いだけに国際的に信用度が高く、そのために戦略性が極めて高い。英国はその実力の2倍、3倍の存在感を世界に与えていると認識されています。今回の“Stern Review Report”もそのような言葉を裏付ける報告です。だから、世界からの信頼も大きいのですね。Blair首相も「科学的事実に基づいた意見」ということを繰り返し強調し、それを戦略的に国際的な場でも使うのです。また首相は科学者の意見にはよく耳を傾けるそうです。科学者の高い見識と、一人ひとりの評価が仲間の中での開かれた相互評価を通して日常的に広く認識されています。これは本当に立派なことです。社会からの信頼の確立と維持が一番大事という哲学、認識です。

Stern氏のスタッフ達との会合もよかったです。外務省 Special Representative for Climate ChangeのJohn Ashton氏(写真2)等と、その後はDepartment for Environmnt, Food, and Rural AffairsでDavid Warrilow氏、Stephen Cornelius氏、Ian Pickard氏と気候変動、エネルギー関系担当との会合でした(写真3)。

Stern氏本人には、5月にLondonでお会いする予定です。

夜は野上大使公邸で、高岡公使、松浦一等書記官も参加し、さらに論議が弾みました(写真4)。

ところで英国の外交官については細谷雄一氏の「大英帝国の外交官」(2005年)がいいですよ。ここに描かれている外務省(Foreign and Commonwealth Office)が、どのような歴史的意味と位置付けを持つのか、これらを理解しながらこの本を読んでください。この外務省の建物の中でも写真をとったのですが、撮影が禁止されているとのことでここに掲載することができません。細谷氏はまだ若い(30代前半と思います)のに何冊も本を書いている学究の徒です。

(※1)グローバル時代に向けて英国の強いところをさらに強く、国家としてのメリハリを作るという明確な政治的意思です。こんなこと日本で考えられますか?政治と役所の役割はしっかり確立しています。グローバル対応へのスタンスは、対立する保守党も、Shadow Cabinetの財務大臣Osborne氏から去年の夏に東京で聞いた話でも同じ意見でした。ある英国人の意見ですが、英国が歴史上、世界に誇れるものは“科学、金融、民主主義”というのも理解できます。

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写真1: Sir David King氏のオフィスで野上大使と

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写真2: John Ashton氏と英国外務省で

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写真3: Warrilow氏、Pickerd氏、Cornelius氏とDEFRAで

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写真4: 大使公邸で野上大使と

ジュネーヴ、WHO本部から

2005年に始まったWHOのCommission for Social Determinants of Health(CSDH)で、私がCommissionerをしていることはご存知の方も多いかと思います。これまで、Santiago de Chile、Cairo、Nairobiなどを訪問しています(2006年6月と7月のブログで少し触れています)。今回はGenevaの本部での開催です。1月16日、21時55分発AFの予定でしたが、内閣府の仕事などがあって、17日朝の出発とし、CSDH会議の第1日目は欠席となりました。

CSDHから出されている出版物、Report等はこちらから見ることができます。

Commissioner全員の写真がWHOのサイトに掲載されています。事務局長のMagarert Chan氏(写真中央の女性)を囲んだ記念写真です。私がどこにいるかわかりますか?また、“Commissioners meeting in Geneva, 17-19 January”の報告にはChan局長、Amartya Sen氏、Sir Michael Maremot氏、そして私の4人が写った写真が掲載されています。

今回はCommissionerの一人のAmartya Sen氏も初めて参加しました。2年前に東京でお会いした時に、「たまには、CSDHに出てくださいね」とお声がけしといたのですけどね。皆さんは、彼のことをご存知ですよね?現代の最高の哲学者、知能の一人です。1998年Nobel経済学賞の受賞者、Cambridge大学 Trinity CollegeのMasterを務め、3年前からHarvardに戻られています。読書漫遊 「インドの深みを知り 日本を見つめ直す」(PDF)でも紹介していますので読んでください。日本学術会議の鈴村興太郎副会長(一橋大学教授。私の尊敬する一人です)のCambridge大学時代の先生です。

Sen教授は会議中の意見も実に的確で、夜のレセプションでは話が弾んで実に楽しかったです。鈴村氏のほかにも、わたしの好きな宇沢弘文先生、青木昌彦氏、Lord Martin Rees氏、Asia Pacific UniversityのMonti Cassim氏等、共通の知人も多いし、本当にすばらしい方です。

私の主張のポイントは、「社会的格差(social inequity)はすべてこれまでの社会が歴史的に男性優位だったことにある。どの社会でもごくわずかの例外を除けば男性と女性が半々なのだから、貧富の差別なしでどの国でも、地域社会でも、まず「男女の社会的平等を目標とすべき」というものです。例外なく、達成目標としては優れた指標だと思います。何人かの女性のCommissionersから、「その通りなのだけど、私達からは言い難いのよね、ありがとう」といわれました。

WHOでは、上の写真のように新しい事務局長のDr. Margaret Chanともお会いしました。(私の尊敬する尾身茂さん、本当に残念でした。国家戦略の問題でしたね。)

また、日本人で大活躍しているシブヤDr.、モチヅキ氏、東海大学におられたタムラDr.、厚生労働省から来ているDr. エナミには大変お世話になりました。夜にはこれまた厚生労働省のDr. シノザキ元局長、タナカ、コイケ、タケイ(漢字が違うといけないので皆さんカタカナにしてあります)、そしてWorld Economic ForumのGenevaの本部で活躍しているツチヤ君も一緒に夕食を楽しみました。

明日からLondonですが、ヨーロッパの北部は大変な嵐で、飛行機が飛ぶのかどうかちょっと心配です。

沖縄、Reuters、そしてカナダとの交流

前回はWashington D.C.からでしたが、10日に帰国して、翌日11日の午前は仕事、午後から沖縄にやってきました。仲井真知事らと夕食させていただき、翌12日午前は沖縄の新しい科学技術大学院大学に行きました。予定地の恩納村の一部に古くから残る、「白雲荘」といわれる建物があり、その建物が改築されて素敵なものになっています。ここにshowcaseなるような建造物ができるのだと思います。今年のうちに研究所の建築が始まる予定です。環境アセスメントとか、造成が難しいところなのです。

移行期の研究所も訪問し、昼食は何人かの研究者と楽しくさせてもらいました。前回報告した、「Janelia Farm」は確かにここのモデルとして大いに参考になるものと感じます。設計はすばらしいものになるでしょう。楽しみです。

午後は、沖縄県行政の幹部職員にむけた講演です。沖縄の強みを生かすべきで、それは地理的、歴史的な課題はありますが、特区を大いに活用して増やすこと、国際的な人脈(米国への移民が主ですが、沖縄は広島と共に移民した人の数が多分一番多い県です)をICT等を 使って生かすこと、さらに沖縄の科学技術大学院が将来の世界の人材育成の中心の一つになるであろうこと等々をお話しました。ゴルフでも世界的な人材を輩出しているのです。どこでも同じことですが、グローバルの時代では特に、中長期的な視野で将来を担うような国際的人材の育成、世界に通用する人材を輩出することが重要です。また、沖縄は臨床研修では一番人気を誇るエリアです。ここでも何度も紹介していますが、若者には絶大な人気があり、多くのすばらしい医師を輩出しています。

さらに沖縄の強みはその観光資源でしょう。南国の香り、ビーチリゾート、慶良間諸島などのすばらしいスキューバスポットの魅了等々です。沖縄の観光収入は年4,000億円。国内からの観光客が年間約500万人ですが、海外からのお客様は年間たったの15万人だそうです。那覇空港への直通の国際線はマニラ、台北、ソウル、北京です。毎日一便あるようですが、沖縄の魅力と対照的な中国の北や内陸の瀋陽、大連、北京、南京、西安などで宣伝し、さらに週2、3便でもいいから直行便を出してもらうことを提案しました。はじめは週2便のチャーター便でもいいのです。2泊3日、3泊4日とかの暖かい南国沖縄ツアーは、特に秋や冬の寒そうな時期には、すばらしい魅力と思います。沖縄の魅力がどんなお客さんを引きつけるのかを考えて、と私の考えをお伝えしました。みなさんはどう思われますか。

13日は土曜日でしたが、去年ダボス会議で知り合った、ReutersのLondon在住の女性記者“わき”さんとのインタビューがありました。どんな人が国際感覚を無意識の内に内在していくのかなど、話が弾みました。

その後はToronto大学のLollar教授とお会いしました。地質化学が専門ですが、話はまたもや弾みました。彼女は3年前に日本学術会議とカナダのアカデミーがはじめた、「Japan-Canada若手女性科学者交換プログラム」の一環でこられたのです。このプログラムのポイントは訪問先の高校生たち(日本から行くときは小学生のこともありえます。生徒の言葉、つまり英語の問題なので。)とセミナーをすることなのです。一週間の滞在ですが、皆さんとても楽しまれているようです。今回も高校生からたくさんの質問があがって、大変よかったとの話でした。去年Canadaへ訪問したお茶の水女子大学の加藤先生もこられました。このプログラムについては、去年の加藤・本間両先生が実に生き生きと、Canadaの科学教育で大学が中心となった取り組みなどをレポートされています(「日本・カナダ女性研究者交流事業を終えて」)。日本の子供たちに行われている科学教育が、なにか変なことにも気がつくのではないでしょうか。

グローバルの時代、若い時から、広い世界を訪ねて、見て、肌で感じてほしい、そんな機会をもっと増やしたいと思います。日本でもどこでも、将来は若者たちのものですからね。2006/7/212006/11/27のブログも参考にしてください。これが私が一番大事に感じ、考え、実践に移していることです。

16日には「イノベーション25」委員会が開催されました。17日からはWHOの会議でGenevaへ出発です。

早々にWashington DCから

明けましておめでとうございます。時間のたつのは早いものですね。6日からWashington DCに来ています。なんと、日中の気温は25度。まさに「異常気象」です。この暑さなので、半袖でテラスでコーヒーを飲む姿が町中で見られます。この時期で25度まで気温が上がるのは過去100年で初めてのことだそうです。

こちらに着いて早速、米国医学アカデミー(Institute of Medicine)会長のHarvey Fineberg氏と昼食。多くの課題についてとてもいい議論ができました。その夜、まったく偶然なのですが、Gates Foundationの関係者からメールがあって、昼にFineberg氏と話していたまさにその内の一つ、私も関わった「Disease Control Priority Project, 2nd edition」の件で問い合わせがありました。不思議なものです。

NIH所長のZerhouni氏との面談も予定の時間を大幅に超過してしまうほど議論が弾みました。そして、待望のJanelia Farmに。まったく新しいコンセプトの研究所で、所長のGerald Rubin氏も大変素晴らしい方でした。まだ30%程度しか完成していませんが、素晴らしい構造の施設となっていました。私の関係している沖縄の新しい大学院大学にも大いに参考になります。その他には米国製造業協会にも訪問しました。

国務省の科学顧問George Atkinson氏とも1時間ほどお会いしましたし、National Academy会長のRalph Cicereno氏、国際関係担当局長のJohn Boright氏等々、実に内容の濃い、刺激的な時間を共有できました。その夜には、今度はMillennium Villege Projectの件でJeffrey Sachs氏が3月に日本に来るという件でメールがあり、すぐにNew Yorkに電話で連絡を取ることができました。

それにしても、今回お会いした方たち、皆さんがアメリカのそれぞれ重要な機関の長であったり、重要なポストの方たちばかりでした。それぞれの視点、向いている方向が国際的で、日本の同じような立場にいる方たちと会うときとは、知的な刺激レベルがちょっと違うように感じました。皆さんもこのような経験があるのではないでしょうか?

今回は大使館の若い方たちに色々とお世話になり、充実した訪問となりました。大使館の皆さんには大いに活躍して欲しいという思いでいっぱいです。それぞれ一人ひとりが本当に素晴らしい方たちばかりでした。個人個人の力を十分に発揮できるようにしたいですね。そうでないと、組織だけでは総合力というものは決して発揮できないからです。

10日に帰国しました。新年早々、いやはや忙しい、しかし充実した旅でした。

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 写真1 NIHでZerhouni所長と。

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 写真2 Janelia FarmのRobin所長と。

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 写真3 Janelia Farmの玄関脇で有本建男 社会科学研究センター長と

「イノベーション」をはぐくむ社会

→English

文部科学省、経済産業省、日本経済新聞社が主催する「全国知的・産業クラスターフォーラム」の締めくくりが、11月29日に東京ビッグサイトで開催されました。29日の朝にインドから成田に到着し、いったん自宅で着替えて会場へ向かい、基調講演で「イノベーション」をさせていただきました。講演の要旨は12月25日の日経の朝刊に、以下のよう纏められて出ています。

【「イノベーション」をはぐくむ社会が日本を変える】
● 今、世界の経済成長のキーワードとなっているのが「イノベーション」です。EUでは「リスボンストラテジー2000」に続き、そのフォローアップとなる「アホリポート」が出ています。米国でも「US コンペティティブネス2001」に続いて「イノベートアメリカ2004」いわゆる「パルミザーノリポート」がでています。日本はどうかというと、安倍首相の所信表明演説公約の一つとして掲げられ「イノベーション25」という長期戦略指針があり、その戦略会議の座長を私が仰せつかっています。
● これから20年後の社会を討していくわけですが、20年前を思い起こしてみると、携帯電話もインターネットも社会に普及していませんでした。それが今では、これらの技術が社会の構造まで大きく変えました。つまリイノベーションとは、単に技術革新を指すのではなく、経済効果を伴い社会システムを変えるような大きな変革というわけです。
● ここで重要なのが、生活者の視点であり、アジアおよび世界との共生による成長、創造性のあるチャレンジをする、志の高い人材が輩出され活躍する杜会になることです。どんなに優れた技術でも、社会に浸透しなければ単なる発明、つまりインベンションに過ぎません。社会的価値のあるイノベーションには生活者の視点が不可欠なのです。
● またアジアや世界との共生についても重要です。日本はいまだに鎖国的な意識を残しています。日本は環境技術で世界をりードしており、成長著しい中国やインドなどに移転できる技術も少なくありません。
● さらに重要になるのが人材の育成です。残念ながら日本の大学は、世界の大学トップ200の中に10校ほどしかランクインしません。ナショナルな大学であってグローバルリーダーを育てるという視点がないのです。今や大学は世界のタレントを集め、社会に送り出す場所になっていますが、日本の大学は、世界の優秀な人材を引きつける場になっていません。
● 日本の強みは「凝り性」ということであり、その中から既成概念を打ち壊すイノベーターも生まれてきました。逆に弱みは「俯瞰性に乏しい」ということです。物事を新しいシステムでとらえる、活用することが苦手ということです。日本の社会が競争力を持つためには、強みを伸ばして弱いところは世界と連携していけばいいわけです。20年後に次々とイノベーションが挑まれるためにはそうした人材輩出し、活躍する社会への変革が必要です。

私の後に、ザインエレクトロニクス社長の飯塚哲哉さんの特別講演がありました。飯塚さんとは初対面でしたが、お人なりなどは前から聞いていました。すばらしい情熱のこもった話でした。日経によれば:

【大学・ベンチャーの抜本的機能強化を】
● 日本の産業界を見ると、大企業というエンジンと大学・ベンチャーというもう一方のエンジンがあるとすれば、「イノベーション」という点から見て片方のエンジンが機能していません。つまり大学・ベンチャーの機能が十分でないのです。
● 日本は「技術立国」を自認してきて、現在でもそのスタンスは変わっていません。しかし実態はどうでしょうか。統計にも表れていますが、1995年からの10年間で工学部を目指す学生の数は半数に減り、さらに今後、少子化が進めば事態はもっと深刻になってくるでしょう。現に今、技術者の不足が叫ばれていますが、二ーズが増大しているのになり手がいないというのは大きな問題です。
● この現象を分析すると、キャリアの発展性に誇りや夢を持てなくなっていることと、日本の開廃業率の高さが挙げられると思います。かつて日本にはイノベーティブな人材が数多く輩出した環境がありました。プロ野球の世界では日本の一流選手が米メジャーリーグで大活躍しているのに比べて、そうしたキャリアを伸ばす道がエンジニアには少ないのが実態です。独立してベンチャーを設立しようにも、その活動を支援する体制も完全とは言えません。
● 私は大手の半導体部門に10年以上勤務した後、現在のザインエレクトロニクスを設立しました。80年代から米半導体業界では当たり前となった工場を持たないファブレスメーカーですが、海外のお客様と違って、日本ではいまだに心配されるお客様がいらっしゃいます。また最近のさまざまな事件の影響があるのか「ベンチャーは拝金主義」とい見方があるのも問題です。
● さらに日本の失敗を許さない風土というのもベンチャーの成長を阻んでいます。総務省「事業所・企業統計調査」によると01-04年の日本の開業率が3.5%なのに対して廃業率は6.1%と高く、これは先進国の中でも非常に悪い数値です。言わば企業も「少子高齢化」の状態なのです。
● まずこうした環境を改善していかなければならないと思います。米国などではイノベーションの両翼として既存の大手企業の開発組織とベンチャー・大学という構造が確立されています。日本も失敗しても再挑戦できる、時間、費用、人材の面において低コストで高効率なトライ&エラーが可能な産業構造を確立して、日本のイノベーションを本格的に推進していくことが必要だと思います。

まとめの総括は、私の尊敬するおなじみの堀場雅夫さんです。私は他の用事があってお聞きすることができませんでしたが、日経によれば:

【産学連携でローテク分野にもチャンス】
● 二十一世紀の最大の日本の課題は、地域の活性化ということに尽きます。「知的・産業クラスター」というのは、地域に活力を与える最も効果のある処方箋であるということは疑う余地のないことだと思います。この処方箋を用いるにあたって、一番のキーワードとなるのが「イノベーション」です。
● しかしこれまではイノべーションの定義があいまいでした。新しいアイデアのことだと言う人もいれば、将来、産業化できるめどがつけばイノベーションだと言う人もいます。しかし基調演説て黒川さんがこのイノベーションについて、「社会的な価値を創造するところまでいかなければイノベーションではない」 と明確に示され、これからはこれをイノベーションの定義として、知的・産業クラスターは進んでいくべきだという思いを強くしました。
● またパネルディスカッションでは「成果を早く求めすぎる」という点が指摘されました。本来、知的・産業クラスターとしては将来の大きな成長が期待できるシーズを対象とすべきです。実際に商品開発の現場では事業化までに10年近くかかる場合もあります。商品化を急ぐあまり大きな芽を摘んでしまっては意味がありません。もっとも10年も20年もかかるようでは、税金の無駄遣いと言われても仕方がありません。そうならないためにも、中間評価を徹底することが必要だと思います。
● また産学連携というと常に先端分野の研究開発に目が向くというのも問題です。もっとローテクの分野でも伸びる余地があると思います。

【参考サイト】
 (1) 全国知的・産業クラスターフォーラム
 (2) 産業クラスター計画

皆さんが、もっともっと自分で考え、行動することが待たれます。このブログとも連携している出口さんのDNDも訪ねてみてください。こちらは格調高い「イノベーションの花盛り」です。

いよいよ師走、しかし、忙しい2週間でした

ちょっとご無沙汰しました。「イノベーション25」をはじめ、たくさんの仕事が遠慮なく落ちてくるので忙しくしています。前回はインドからでしたので、簡単にその後の行動をご報告します。

12月5日、6日は、香港で開催されたITU(Internationl Telecommunication Union)主催の「ITU Telecom World 2006」に参加してきました。前回のGeneva(2003年)から続いて、東海大学総合医学研究所 中島教授たちのTelemedicine技術をいくつも搭載している救急車や、PakistanでのTelemedicineプログラムの紹介を出展しているためです。

ITUは世界への情報時代の国際貢献という視点で、World Summit for Information Society(WSIS)を運営しており、大事な国際的任務を負っています。ITU事務局長は内海さんが2期務め、今年いっぱいで退任されるということです。ご苦労様でした。後任はアフリカのMaliの方で、中島教授とも長い付き合いがあり、ブースの方にもこられていました。大企業の展示ブースは大変立派なものばかりでしたが、韓国、中国、香港、日本といった国の元気のよさがよく伝わってきました。11/27にお知らせしたSTAR TV社長のGuthrieさんとは出張中にお会いすることはできませんでした。

帰国した6日の夜はDNDでおなじみの出口、石黒、森下さんとの食事会。意見交換等とても楽しいひと時でした。7日の夜は、高市大臣主催の「イノベーション25」のスタッフと会食。

9日、10日、11日は「STS Forum」。沖縄大学院大学等で朝から晩まで出ずっぱりで、忙しかったです。STS Forum理事会では前NASA長官のGoldin氏と話が弾みました。すばらしい人で、いろいろと良い示唆をくれます。11日は記者会見が済んで直ちに成田へ。去年から10回目ぐらいでしょうか、21時55分発のAir France便でParisへ。そこから今度はLondonへ。朝から丸2日の会議に参加して夜の便で帰国の途へ。14日の16時に成田に着きました。 翌日の朝はインドの首相たちご一行のJasu Shahさんとお会いしました。2月にムンバイで開かれる、バイオの会議に参加してほしいという要請でした。さて日程調整してみますが、どうなるでしょうか・・・。

16日は、終日学術会議とInterAcademy Council(IAC)によるエネルギー政策の会議に出席しました。StanfordからLawrence Berkeley National LaboratoryのDirectorとなって、未来のエネルギー研究の陣頭指揮をとるSteven Chu氏が議長です。彼らの研究は本当にすばらしいです。このIACは、今年のG8サミットでエネルギーに関するG8学術会議の声明にも述べられていて、世界の科学者コミュニティの代表として着々とその地位と認知度を高めています。

こんな調子でしたが、10日から16日までの間に7人のノーベル賞受賞者とお会いしました。Yuen T Lee氏、Sydney Brenner氏、Torsten Wiesel氏、Jerome Friedman氏、利根川進氏、ロンドンではJohn Goldstein氏、そして東京でSteven Chu氏です。皆さんのバックグラウンド、研究等を知ることはなかなか楽しいですよ。ノーベル賞のサイトあたりから調べてみてください。

インドでのイノベーションセッション

28日、いよいよ私の出番です。朝9時からのPlenary:“Promoting Innovation in India: What Works Where?” で、パラレルセッションはなく、これだけだったので会場はいっぱいでした。偶然ですが、先日、東京でお会いした心臓外科医のDr Naresh Trehanさん(アメリカ帰りで大きな先端的病院を運営しています)とも一緒でしたし、2人はインドの製薬企業の方、あとの2人は司会のParrettさん(GloBal CEO, Deloitte, USA)と、主役の科学技術担当 Hari Sibel大臣です。大臣が10分ほど、その後インドの方々それぞれが数分ずつしゃべった後、最後にワタシ。日本の強さ、弱さ等に触れ、安倍政権の「イノベーション25」計画、また私の持論の「純粋培養文化」と、「鎖国マインド」ついても触れ、交換留学推進提言や、一流大学開放論(ここでは「大相撲化」という言葉は通用しないので)、そしてこれも持論の「Science As A Foreign Poicy」などを話しました。そして、最後にインドの若者に日本へのご招待。特に工学系は大学も企業も、もっともっと多くの若者を必要としているので、日本に来ることを推奨しました。

プログラムの要約はWORLD ECONOMIC FORUMのサイトで見れます。以下に私のところを抜粋しました。

“Innovation is the keyword for every economy, whether it be in Asia, the EU, or the US, said Kiyoshi Kurokawa, Science Adviser to the Prime Minister and Professor, National Graduate Institute for Policy Studies (GRIPS), Japan. Japan spends 3% of its GDP on research, of which two-thirds comes from the private sector. Opening up resources and collaborating with neighbours can create an advantage for the region. Japan has strengths in many areas, such as water management, and can work with other countries to find innovative solutions that will benefit a large number of people.

Sibal and Kurokawa agreed that there is scope for collaborating at the global, regional and bilateral levels to find innovative solutions to meet the needs of the common man. There are issues, such as global warming, climate change and disease, for which no country alone has the resources to find solutions. To resolve these problems, there is a need to collaborate at the global level and pool resources to innovate.”

日本企業の弱さとして、なぜNissanやSonyのような世界のブランド企業に、突然、外国人のトップが来たのか、という疑問を提示しました。外国人がトップに来る前に、なぜか、もっと多くの外国人を全ての層に入れたりはしていないのです。反応は多かったです、思っていた以上でした。

ところで、インドは世界最大の民主主義国家です。経済成長も年8%程で凄いのですが、トップダウンの中国とは違った味があります。これは先日11月はじめの北京からのブログでもお伝えした、インドと中国の違うところなのです。インドは基本的に個人、私企業、企業家精神旺盛、よくしゃべる、理論(理屈)家という印象でしょうか。現在の最大の思想家の一人、Amartya Senの言うとおりの「The Argumentative Indian」なのですね。でもこれが民主主義の基本的要素なのです。

しかし、ここでも貧困問題は重大です。国民の28%程度(約3億人ほど)がまだ「1日1ドル以下の極貧」とのことです(Bahir州では50%だとか)。AIDSも大きな課題です。今年の1月のダボス会議でお会いした大蔵大臣のP. Chidambaramさん(WEDGE_私の読書漫遊 「インドの深みを知り 日本を見つめ直す」でも紹介しています)は、今日のパネルで「現政権が、初めて、明確にAIDSの問題を国民に伝えている」、とその認識のほどを話していました。素晴らしく、本当に「アタマ」のよい方と感じます。

“寒い”ニューデリーから、そして元気な日本の若者

26日朝、北京からニューデリーに着きました。夜中に到着ですが、涼しいですね、冬ですから。あらかじめ気温は調べておいたのですが、涼しすぎます。北京からの機中はほとんど寝ないで「The Economist, Oct 7th」の「The Battle for Brainpowerbrain」特集、「The Times Higher, Oct 6th」の大学特集などを読んでいました。いずれコメントしますが、いつも言っているとおり日本の評価は低いですね。世界で共通している認識は、日本は「鎖国」であり、大学も企業も「大相撲化」(4/154/166/289/229/2311/6)が必要なのです。しつこいようですが、将来の若者たちが可哀想だからなのです。“えらい大人たち”の責任は重いですよ。

ホテルにチェックインしてからは、まず、ゆっくり午後1時まで寝ました。ニューデリーではIndia Economic Summitに参加ですが、これはダボス会議を主催しているWorld Economic Forum(WEF)がインドの経団連的な団体「Confederation of Indian Industry」と22年前から共催しているとのこと。WEF議長のKlaus Schwab博士も、「ここまでになるとは」と嬉しそうでした。彼とは2000年からのお付き合いで、日本に来るたびにお会いしています。ダボス会議(毎年1月末開催です)からのメッセージもブログに書いていますので見てください。

WEFスタッフで仕事をしている土屋君、坪内さんともお会いしました。若くて元気のある、国際的な場で「個人」として活躍している若者を見るのは気持ちのいいものです。二人の経歴も凄いですよ。独立心が強くて、坪内さんなんてアフガニスタンまで、自分で仕事をしに行ったのですから。私たちのNPO Health Policy Instituteでもしばらくお手伝いしてもらいましたが、MITのMBAへ行き、それからここで仕事しているのです。そのうちお二人を紹介しましょう。

午後の開会から、いくつかのセッションを聞きましたが、どれも活気がありました。東京大学の小宮山総長のPresident’s Councilで2週間前にご一緒したMunjalさん(Hero Group、India)がパネルに出ていて、お会いできました。根本総理補佐官にもお会いしました。「アジアゲートウェイ」等を担当しています。8月に参加した外務省の「30人委員会」のときにも会った、東京大学医学部卒業の医師で外務省の役人になっている小沼君も根本チームできていました。根本さんと同じような立場ですが、私とはずいぶん違います。政治家と学者の違いですか。役所の認識もそんなところなのでしょうか?もっとも、私はあくまでも個人の資格で招待されているのでしたから。

26日の夜は、Manmohan Singh首相の公邸の庭で招待宴がありました。気温は10度を下回ってちょっと寒い。北京経由だったので、冬服を持ってきていてよかったです。

Singh首相は12月に日本訪問のご予定。安倍総理との会談があるそうで、楽しみにしておられます。首相の補佐官から特にと紹介され「その時にぜひお会いしましょう」と言われています。実現しますか、楽しみです。後で聞いたところでは、インドの財界人を50人ほどお連れになる計画と伺いました。

日ごろから言っているように(9/9)、インドは面白いし、日本とはいい関係でさらに「Win-Win」の関係が築けると思います。多くの、極めてイノベーティブな起業家にお会いしましたが、日本人と違ったいくつものすぐれた価値観があり、日印協力は相互補完性が高いと見ています。

2日目の27日はいくつかのセッションに出て、たくさんの名刺交換と“Net-workling”でした。根本さんの出たセッションも聞きましたが、この何年かお付き合いのあるGLOBISの堀さんの出たセッションは同じ時間だったので、そちらには残念ながら出れませんでした。堀さんも元気な若者で、世界のリーダーたちの年代、40代の一人です。

夜は、またまた寒かったのですが、Kamal Nath商工大臣主催の野外レセプション。Purana Qilaという古い城跡で行われ、すばらしいダンスパーフォーマンス、広い庭での夕食では、偶然ですがまたまた東京大学総長カウンシルで一緒のMunjal御夫妻と同じテーブルでした。香港のSTAR TVのCEOである、“Ms.”Michelle Guthrieも一緒で、来週香港で行われるITUのWorld Telecomに「1日だけど私も行く予定だよ」といったところ、「STAR TVも参加しているので是非寄ってください」、といったことになりました。皆、若いですね。この方もWEFの「Global Young Leaders」の一人です。そして、BBCの名キャスター Nik Rowingさんにも会いました。今年1月のダボス会議で、彼のBBCライブに私が写っているのを1/27のブログで紹介しています。これは、Manilaで見ていたBagladeshの友人が見つけ、すぐにダボスにいる私にメールで送ってくれた写真です。世界は本当に狭いですね。