再度、朝河貫一先生 「驕る日本」と闘った男のこと

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朝河貫一先生については、その名著「日本の禍機」を「リーダーに不可欠な歴史観、世界観、志」というタイトルの書評で、池上映子さんの「名誉と順応」、MITのジョンダワー教授の「敗北を抱きしめて」とともに紹介しています。このとき初めて朝河先生を紹介しましたが、それ以来、このサイトで何度も朝河先生のことを紹介しているので、“サーチ”してみてください。

本当に素晴らしく立派な方で、日本人として初めて米国の大学教授になった、Yale大学の歴史学者です。2005年は日露戦争終結、ポーツマス条約の締結から100年ということで、日本でも朝河先生に関する記事がそこかしこに見られました。朝河先生についての本はAmazonなどで調べてください。また、GoogleやYahoo!を使って朝河先生についていろいろ調べてみてください。

今年、Yale大学で開催された朝河先生に関するシンポジウムについて先日ご紹介しましたが、朝河先生のことを学術的な視点からご紹介されている矢吹先生の講演が、学士会会報に紹介されていました。私は、朝河先生が「日本の禍機」に先立つこと5年の1904年、日露衝突のさなかにこの衝突での日本の正当性を説かれた「日露の衝突Russo-Japan Conflict」という英語の論文を(多分そうだったと思いますが)、横浜市立大学の矢吹教授のサイトで見つけて読んだ記憶があります。

なぜ、また朝河先生なのか。それは今の日本の状況が100年経っても本質的にちっとも変わっていないと考えるからで、今の日本をめぐる状況がある意味ではよく似ているようにも感じられるからです。今のようなグローバル時代にあっても、当時の朝河先生のような、「「驕る日本」と闘った男-日露講話条約の舞台裏と朝河貫一」(清水美和著)や、「最後の「日本人」-朝河貫一の生涯」(阿部善雄著)にみるようなリーダー、そして学者も見当たらないように感じるからです。大体、学者の世界はより高い立場で、このような時にこそ、権力、政府、国民にもっと発言しなくてはいけないのです。

朝河先生のような方はめったに現れるわけでないことはよく理解できます。しかし、いまの大学は何かといえば、大学は稼げとか、研究者の「インセンティブ」といえばお金の話ばかり。そんな卑しい人ばかりではありません。そんなことばかり言っている世の中に、誰が学校の先生になろうと思うでしょうか。ものさしは「お金で測れる」ことばかりなんて何かおかしいと思いませんか?学校もみんなで支え、先生を応援してこそ、子供たちも元気になるのです。これが教育の本質です。

この“朝河テーマ”については、20年前から基本的に同じことを何度となく発言・発信していますので、また考えてみてください。

学士会会報で同じく紹介している伊東さんの話も、いままで“大学入学試験へ向けた偏差値教育”でうまくいっていたと感じていたが、グローバル時代に明らかに転換期にある世界とその中の日本社会の、あまりに認識されていない根源的な問題について触れていると思います。

イノベーション25追記 「イノベーションの源」

イノベーション25の策定期間中、大変多くの方からご支援を頂きまして有難うございました。その間には、このサイトや出口さんのDNDでも、応援や意見交換の場を設けて頂き、大変嬉しかったです。これからは、いろいろと大小さまざまな障害はあるでしょうが、皆さんと日本の、グローバル時代における「世界の日本」に向けた将来への指針として、活用され、実行されることを祈るばかりです。

イノベーション25についてはこのサイトでもその時々にご案内し、いろいろなところでも発言してきましたが、科学新聞の中村記者によるインタビュー記事が、「真善美への挑戦-イノベーションの源」というタイトルの5回シリーズでScience Portalに掲載されましたので、ご案内します。

「真善美への挑戦―イノベーションの源」

 第1回 「イノベーションは創造的破壊」
 第2回 「社会変革をもたらすものこそ」
 第3回 「地球規模の課題にこたえる」
 第4回 「出る杭を増やす」
 第5回 「中学生から海外との交流を」

最近様々なblogを拝見しますと、日本はやはり鎖国をして、ユートピアのような、それなりに豊かな生活ができれば結構ではないか、という意見も結構あるようです。私がいつも言っているように、確かに多くの日本人は基本的には「鎖国マインド」で、悪く言えば「島国根性」ですからね(この由来等については「WEDGE」の書評で岸田秀さんの本を紹介しています)。

しかし、これからの若い人をそんな価値観で囲い込むのはよくないです。若いうちに広い世界に出てみる、接してみる、多くの友人を作る機会を与え、その上で鎖国しようという人が出てくるのは結構。でもね、これからの若い世代の皆さんの将来に対して、たとえばメジャーの野球を、テレビでも、現実にも見せることなく、「プロ野球は日本がいいのだ、余計なことを考えるな」なんて言う権利は大人にはないと思います。

広い世界で多くの選択肢を示し、体験させ、その上で一人ひとりが自分で選択していくのが人生ではないでしょうか。テレビのライブ放映ができる時代に野茂という「破壊者」「イノベーター」が出たからこそ、いまのイチローも、松井も、松坂もいるのではないですか?それがいやなのでしょうか?彼らが憎らしいのでしょうか?違うでしょう。日本人として誇りに感じる人のほうが多いのではないでしょうか?どの世界でもそうなのです。

やはり鎖国というわけにはいかないでしょうね。

経団連、東富士の夏のセミナーへ

7月26・27日と静岡県小山町で経団連の幹部40人ほどが集まって開催された、第6回東富士夏季フォーラムで、高等教育というテーマでお話をさせていただきました。私の前は、初等中等教育で教育再生会議副座長の資生堂 池田守男会長のお話しでした。今回の担当幹事は、前にも紹介した住友化学の米倉さんだったのです。

私は、まず日本の大学進学率の1955年から2005年への変遷を示し、グローバル時代の世界の大学の動向、日本の大学と社会の課題等について話しました。後は、産業革命以来の現在は第4の波が飽和しており(Freeman/Perez等の分析)、第5の情報革命の波が2000年のIT バブルのあとで、アメリカで産業の成長とどのように関わってきているのか、Jorgenson教授のデータRedHerringのカンファレンスでも使いました)などを示しながら話させていただきました。

ITの急速な普及における新たなパラダイム“Demand-driven Innovation”では、「Wii vs PS3」とか、1990年代の日本の「DRAM」崩壊等の話も具体例として出しました。ご出席されていた日立の古川社長やSONYの中鉢社長にはちょっとお気の毒だったかもしれません。

議論は活発でしたが、日本の博士の企業採用の課題等、これらについては御手洗会長始め何人もの方が発言されましたが、本当になかなか難しい問題です。トヨタの張会長とはSt. Gallen、そしてSt. Petersburg以来でした。

夕食では毎年ダボス会議でご一緒している野村ホールデイングの氏家会長のお隣で、Goldman Sachsの新エネルギー投資等についてお話しました。

このセミナーには経団連幹部とそのスタッフ、また担当記者諸君も陪席していました。

皆さんにがんばって欲しいてすね、何といってもイノベーションは産業界の課題なのですから。夜は帰京しました。

軽井沢トップ・マネジメント・セミナーへ

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7月13日に軽井沢で行なわれた、軽井沢トップ・マネジメント・セミナーのパネルに参加しました。パネルのメンバーは江崎玲於奈先生と私、さらに司会をかねてSophia Bankを藤沢久美さんと切り盛りしている、多摩大学大学院教授の田坂広志さんの3人で、テーマは「イノベーションと人間力」です。要旨の報告書は近いうちに上記サイトに掲載されるでしょう。

江崎先生はどなたもご存知だと思いますが、田坂さんはというと、たくさんの著書もあり、ご自身のサイトブログなんかもされていて、とても発信量の多い方です。「イノベーション25会議」でもご意見を伺おうと、ヒアリングに来ていただきました。藤沢久美さんとSophia Bankという活動を通して、社会起業家の活動を支援していらっしゃいます。素晴らしいですね。「イノベーション25」の中間報告でも、これからの「社会起業家」の重要性を指摘しています。先日、日経でもシリーズが出ていましたね。

同じ日に行なわれた特別講演は、久し振りにお会いする、去年神戸大学から政治学の防衛大学校校長に就任された五百旗頭真(いおきべまこと)先生でした。Wikipediaにも出ている著名人です。日本学術会議でも、私が会長のときに会員として国際会議とかいろいろとお世話になりました。本当に面白いお話を聞かせてくれました。毎月、学長の講義もされるそうです。素晴らしいですね。特に日本が100年前の日露戦争で勝利した後のアジア戦略は、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」の、かん陀多(かんただ)と云う男と同じだ、との比喩が印象に残りました。

RedHerring、そしてSteve Jobs

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RedHerringの名前を知っていますか?

シリコンバレーでは有名なメディアです。これが、今回初めてなのだそうですが、日本のそれも京都で、7月22日~24日の2日間、カンファレンスを開催したのです。ベンチャー起業家とベンチャー投資家たちが集まりました。私は「イノベーション」というテーマで講演をという依頼があって参加しました。プログラムや、講演者、パネルの内容の一部はRedHerring Japan 2007のサイトで見られます。私としてはこのよう集まりで話をするのが初めてなので、どんな人たちが来るのかということもあって、1日目から出かけました。元KDDIの千本さんや(6月にSt. Petersburgでお会いしました)、元ソニーの出井さん(4月にCamargueからでも紹介しました)は存じ上げているのですが、せっかく話をさせてもらうのですから、第一にどんな方たちに話すのかを知っておくことは、こちらとしては大事なことですから。

参加者は150人ほどでしょうか。半分は日本人、残りはいろいろでしたが、みな若い。日本人の70%はシリコンバレー組。外国人の半分は日本をベースにした人たちで、韓国などからのシリコンバレー組も多かったです。ほとんどがICT関係のベンチャーで、バイオ関係者は少なかったです。

SwedenのFredrick Harenさんは“Creativity, Innovation”といったテーマで、実にユニークな、インパクトのある話をされました(ある意味でとんでもない人と思われているかもしれませんね)。「New Ideas」という本を出版したとか紹介されていましたが、後ですっかり意気投合してしまい、この本を少々持ってきたので差し上げますね、とかでもらってきました。私も「変な」人とはすぐ気があってしまいます。根がDon Qixote同士なのでしょうかね?変な話ですが。

そんな調子ですから、皆さんの話を聞きながらスライドをとっかえひっかえ。最終的には先日のGIES2000、そして6月のWorkshopでのJorgenson教授のスライドの一部を使ってお話しました。これはJorgenson教授の最近の著書、「Productivity: Information Technology And the American Growth Resurgence」(MIT Press, 2005)にも出ている資料を更に新しくしているものです。この本は2000年のIT バブル崩壊後の米国の産業成長とIT関係企業の成長を知るのに絶好の本です。皆さんも、産業界の方も、政策の方も、大学人もしっかり読んでください。このような本が大学から次々と出てくるところにも米国の力を見て取ることができます。私の講演の最後は、Appleを創業したSteve Jobsの2005年のStanford大学卒業式での講演からのメッセージで締めくくりました。以下のようなものです。

1) you can’t connect the dots looking forward; you can only connect them looking backwards. So you have to trust that the dots will somehow connect in your future. You have to trust in something…
2) You’ve got to find what you love. Don’t settle.
3) Death is Life’s change agent.
4) STAY HUNGRY, STAY FOOLISH!

これらの意味を理解するには、上に掲載したサイトで彼の講演をしっかり読むことです。感じ取ってください。メッセージがすばらしいと感じました。こんな講演を卒業式で聞けるなんて、うらやましい。ところで、今年のHarvardの卒業式ではBill Gatesがスピーチをしていますが、これも心を動かす内容です。彼らの実体験から出る言葉は、何にもまして強いです。

私が講演をこのスライドで締めくくったので、司会をしていたRedHerringの社長 Alex Vieuxがすっかり喜んでくださり、彼なりの話を付け加えてくれました。嬉しかったです。

ここの参加者は私が普段お会いする日本のビジネスマンとは違っているのは明らかで、仕事を楽しみ、若く、活発で、どんどん発言し、めげず、英語で上手下手も関係なくしゃべる、という典型的な日本人には当てはまらず、なかなかよかったです。

石倉洋子さんのお友達の岡島悦子さんとか、いろんな方にも会えてよかったです。パーティーなど、その辺の状況はhttp://v.japan.cnet.com/beatproject/blog/story/0,2000071498,000241c-0000019673o,00.htmで見ることができます(なんと私の写真もありました)。

天城学長会議から

毎年7月の終わりに、伊豆の天城で大学学長会議が開催されています。

今回は担当幹事の東海大学高野学長、東京工業大学相沢学長のお招きで、1日目の午後の基調講演に参りました。2日目の朝の基調講演は、JR東海の葛西会長がされるそうです。一般的には、私たち二人は意見がかなり対立していると思われているかもしれませんが、面白い組み合わせと思います。実は葛西さんとは個人レベルでのお付き合いもあって、二人ともどちらかといえば「歯に衣を着せない」ほうですし、歴史観も、哲学も明晰で(とにかく沢山の本を読んでおられる)、気骨のある方として意気投合しています。ですから、葛西さんたちの音頭とりで始まった「海陽学園」という6年一貫、全寮制の男子校の応援もしているのです。人材育成は国家の根幹ですからね。

しかし、この学長会議の最近5~6年の議事録や基調講演などを見てみると、問題点の認識と、課題はすべて議論されつくしていると思いました。最近の大学の状況、社会の変容、グローバル時代の世界の大学をめぐる大きな流れの変わり様、具体的な動きなどについてお話しましたが、私の主張はこのブログを読んでいただいている方にはおなじみのことと思います。

問題は、それぞれの大学で学長という立場の人がどんな決断をして、それを実行するかにかかっているのです、と申し上げました。皆さん問題は十分に分かっておられるのですから、どのようにして自分の信念を実現していくかにかかっていると思います。もちろん難しいがあることも十分に理解しています。それでも、実践していくこと、これこそがリーダー、責任者に求められていることではないでしょうか。学長という立場は評論家でいられるはずがありません。

学長の先生方にはこのことを理解してもらった上で、この会議が終わるまでに一人一人が今年中にやることを紙に書いて約束し、来年のこの会議でどこまで実行できたかを検証することをお勧めしました。そうでもしないと、いつまでたっても前進しませんからね。将来を担う若者たち、学生さんがかわいそうだと思いませんか。

学長先生方、ご苦労様です。でも仕方ないですね、これがお仕事ですから。

講演録はこちら

新健康フロンティア戦略

先日紹介しました「医療白書 2007年度版 医療崩壊から、再生への“新しき潮流”-日本の医療を救う国民の選択」から、私が書いた部分を一部見られるようにしました。下記よりPDFをダウンロードしてみてください。

 第2章 健康国家の将来像を提示する「新健康フロンティア戦略」

『医療白書 2007年度版』が出版されました。

「医療白書」は私が代表理事を務める日本医療政策機構が編集して、毎年出版している本です。

2007年度版では、医師不足、看護師不足といった加速する「医療崩壊」の問題から、医療財政と医療費(診療報酬改定)、がんと生活習慣病対策、動き出す地域医療など、日本の医療の“今”を読み解くテーマ・課題を検証しています。

国民は医療従事者や医療制度改革に対して何を求めているのか、医療従事者自身は医療に何を求めているのか、その問題解決の選択肢としては何があるのか??政権・与野党トップをはじめ、キーパーソン、有識者による提言、現場からの実践例を通して、皆さんが医療を自分自身の問題として真剣に考えるための材料となればと願っています。

 

『医療白書 2007年度版』
医療崩壊から、再生への“新しき潮流”-日本の医療を救う国民の選択

Iryohakusyo2007

 

編集:日本医療政策機構
発行:日本医療企画
体裁:B5判・並製、本文352ページ・2色刷
定価:4,800円(本体4,571円+税5%)
発売日:7月16日
ISBNコード:978-4-89041-769-8

 

【主な内容】
第1部 2006-07年度 日本の医療における問題点と新しき潮流〈5つの主張〉
第2部 医療政策に関する2007年世論調査
第3部 トップが語る、医療政策の課題
2007年度の最重要医療政策/主要政党 政策部会長・厚生労働部会長インタビュー
第4部 2007年度 日本の医療の「論点」
医療財政と医療費(診療報酬改定)/医療提供体制の整備
医療人材の確保・育成/がんと生活習慣病対策
第5部 動き出す地域医療
地域の時代と医療政策/ケーススタディ??地域医療の3タイプ
都道府県・医療指標別ランキング
第6部 〈資料〉日本の医療2007年の情報源
医療政策のための基礎データ/医療関連情報を知るための主な機関の連絡先
医療関連学会その他の日程/医療改革カレンダー2007-08年

 

学士会会報から

学士会会報 No.865号(平成19年7月発行号)から、2つの論文を紹介します。

・東京大学/伊東乾先生
 「ミューズの学とフロネーシス-旧制高校の精神と自由七科の今日的可能性-」
 (学士会会報 No.865号、pp29-35)

・横浜市立大学名誉教授/矢吹晋先生
 「朝河史学を読む-日本史の三大革命と天皇制」
 (学士会会報 No.865号、pp102-117)

野口英世アフリカ賞と小泉純一郎氏のご挨拶

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6/19のブログ(「パリから、日本の広報意識の低さについて一言」)で、実際の例として3つの事例を引用していますが、この3つとも、日本のAfricaへの大きな貢献についてでした。地理的な条件もあってか、日本のAfricaでの貢献は、アジアでの貢献に比べて、国内でも国外でもあまり知られていないと思います。上記のコラムで紹介しました、私の発信“Challenges for Japan’s Scientific Community in the 2008 G8 Summit”を、Business Daily Africaで“Analysis: G8 Summit will provide a major test for Japanese scientists”“Comment: Challenges for Japan’s Scientific Community in the 2008 G8 Summit”として掲載してもらいました。ケニアの新聞です。個人のレベルですが、少しでも日本の貢献を知って欲しいからです。On-Line時代の手段ですね。

来年のG8サミットは8年ぶりに日本がホストをするわけですが(7月に洞爺湖で開催)、来年は日本が主役を務め、国連などとAfrica援助の一環として15年前に始めた画期的国家事業、5年に一回開催されるTICAD(Tokyo International Conference on African Development)(こちらも参考に→www.ticad-csf.net/eng/index.htm)の第4回目となる会議が5月に横浜で開催されます。Africa50数ヵ国の国家元首等が東京に集まる、Africa諸国の間ではよく知られた会議です。でもどれだけ皆さんに、そして世界に知られているでしょうか?メディアでも最近は中国のAfrica進出ばかりが取り上げられていますが・・・。

ところで去年、小泉総理がAfricaを訪問されました。その時はEthiopiaとGhanaに行かれましたが、なぜEthiopiaとGhanaだったのかは、後ほど。Ghanaの首都Accraは野口英世が黄熱病で病死したところであり、野口英世記念研究所もあります。ここで小泉総理は日本政府による「野口英世Africa賞」の設立を発表されました。アフリカでの感染症などの疾病対策に貢献した医学研究や医療活動を表彰する国際賞で、この2分野で貢献をされた方を表彰しようというものです(政府のインターネットテレビでも紹介されています)。表彰は5年に一回、第1回は来年のTICADの時に発表される予定で、現在、選考が進行中です。Africa開発、HIV/AIDS、貧困などは皆さんご存知のとおり、世界の大問題です。

さて、小泉前総理は先日、この賞への募金の御願いということで、経団連の理事会にご挨拶に行かれました。そのときのご挨拶がとてもよかったと聞きました。御手洗会長を始め200人ほどの財界のリーダーの前での原稿なしの短いご挨拶だったそうですが、始まる前と後ではその場の雰囲気がガラッと変わったと聞きました。小泉前総理の事務所の許可を得て、挨拶の内容を掲載していますので、ダウンロードしてご覧ください。

 小泉純一郎衆議院議員の経団連常任理事会における挨拶(PDF)をダウンロード

皆さんはどう感じましたか?実にお上手ですね、お話が。メリハリと、ウィットが効いていてとてもいいお話と思います。この話を英語にして、Africaのメディアにも伝えようと考えているところです。

よく考えてみれば、これはまさに財界の方々が「小泉マジック」にかかったとも言えそうですね。ということは、まさに小泉総理が「天才、変人」だということです。実は、歴史的に見ても世の中を変え、科学や技術で世界を変えた人たちは、みんなその時代時代の常識を外れた「変人」なのです。このことは一度、官邸で行なわれた総合科学技術会議で小泉総理の前でも発言しました。みんな笑い出しましたけどね、私はまじめだったのですよ。

これは6/4のブログ(「St Petersburg、そして出口さんから、ドンキホーテへ」)、それから出口さんのメルマガでもお伝えしている、いつの世の中でも「ドンキホーテ」が大事だという主張と一致しているのです。