日本経済新聞で紹介されました。

日本経済新聞(2004年10月18日、25日、11月1日)の「時間術」で紹介されました。

2004年10月18日(月)朝刊 「時間術」(上)

-資金の裏付けで配分に知恵-

四月から“パートタイマー”になりました。東海大学医学部は非常勤になり、東大先端科学技術研究センターも客員教授です。昨年七月に就いた日本学術会議会長が本業となりますが、これも任期があり、パーマネントの職業とは言えません。

思えば随分細切れの人生を歩んできました。医学者として日本と米国で研究・診療をしてきましたが、米国では帰国の時期を失し、はっと気がつくと十四年が過ぎていました。 米国では時間配分でハードな経験をしました。大学では研究・教育・診療の各面で責任をもちますが、どこに多くの時間を割くかは重要な問題でした。

というのも教育には十分な報酬がでますが、研究にはそれほど配慮してくれません。重点の置き方によっては、資金の手当てや、給料の大半を自分でまかなう必要があるからです。どう配分するか-別の意味で“時間との闘い”でした。

2004年10月25日(月)朝刊 「時間術」(中)

-学者も積極的な行動求められる-

「学者さんはいいですね。じっくり考える時間がたっぷりあって」と言われます。
「自分たちはこんなに忙しいのに」との思いも込められているのでしょう。

ちょっと待ってほしいというのが、正直な気持ちです。私自身、以前にも増して忙しくなっています。公職にあるせいか、優先しなければならない飛び込みの仕事が増え、スケジュール調整に四苦八苦しています。必要な時間をどうねん出するかが重要な仕事になっています。

学者が忙しくなったのには理由があります。これまでの日本は政・産・官のトライアングルが社会を動かしてきました。学者の存在はこれらの外にあるとの考えが主流でした。

これからは違います。何事にも透明性、自律性、そして社会の要請にこたえる時代では、そのためのデータや知恵が必要で、それらの情報を提供できる学者、専門家の重みが増します。学者は文字通り社会の一員になり、積極的に行動し、提言することが求められるのです。

その意味でも、私たちは“のんびり”していられませんし、忙しくなるのはよいことだと思っています。でも、忙しいだけではだめ。思案の時間も必要なのです。

2004年11月1日(月)朝刊 「時間術」(下)

-電子メール、即断の習慣を評価-

私は夜中に仕事をすることが多いのです。昼間は外向きの仕事にあて、物を書いたり、じっくり考えたりといったことは夜にします。電子メールを送ったり、返事を書いたりするのも夜中です。

電子メールは時と所をかまわず届くので迷惑だという人もいますが、世界中との“つながり”のスピードが速いといった点で評価します。

返事を出すとき、どんな内容にするかなどの判断を即座にしなければなりません。後回しにするとメール画面の上か下にいってしまい、忘れがちです。返信も含めて人任せではなく、自分でしなければならないことも電子メールがもたらした生活の変化です。

時間をもっと有効に使える仕組みを取り入れることも大切だと思っています。例えば、一週間に四十時間働くとすると、そのうちの三十時間を大学の、十時間を大学外の仕事に使うのです。大学からの報酬は三十時間分。

従来の「この道一筋……」もいいのですが、今までの社会制度で国際競争に勝てるかという不安があります。

(聞き手は編集委員 中村雅美)

この記事は、日本経済新聞社の許諾を得て、掲載しています。
著作権について http://www.nikkei.co.jp/hensei/shakoku_chosakuken.html

朝日新聞に掲載されました。

朝日新聞(7月30日(金)、26面)に掲載されました。

 私の視点 「私の視点:治験と株保有 強制力ある規制が必要」

注)この記事は朝日新聞社の許諾を得て転載しています。
無断で転載、送信するなど、朝日新聞社など著作権者の権利を侵害する一切の行為を禁止します。

科学新聞で紹介されました。

科学者と社会の連携―地域活動に本腰を
-「科学・技術への理解と共感」テーマに学術会議が公開講演会-

社会との対話を進めていくことは、科学者の重要な責務-日本学術会議はこのほど、産学官の各界から講演者を招き、『科学・技術への理解と共感を醸成するために』をテーマに公開講演会を開催した。同会議は今春、『社会との対話に向けて』と題する声明(別掲)を発表、すべての科学者に子どもたちをはじめとするあらゆる人々を科学について語り合うこと呼び掛けているが、今回の講演会はその具体化に向けての第一歩を記すもの。文部科学省科学技術・学術政策局の有本健男・局長は「将来において記念すべき日となるだろう」と述べている。

主催者である学術会議からは黒川清・会長が講演し、「サイエンスに携わる人間は、社会の人達と"エンゲージ"しなくてはいけない。我々は、地域の人々と対話し、自分たちに何ができるのか、社会にサポートされている科学者が社会に対して何を還元できるのかを真剣に考えていく必要がある。研究室や大学などの外における社会への責任、とりわけ将来を担う子どもに責任を負うべきである。こうした活動の第一歩が、周りに伝播することによって、数年後には当たり前のことになっていれば素晴らしい」と述べた。

続いて講演した阿部博之・総合科学技術会議議員は「教育は啓発すること、若い頃受けた影響は大きい」と指摘、白川英樹・筑波大名誉教授は「科学と技術がどう違うのかを理解してもらうことが大切」とし、子どもに触れ合うことが多い母親の関心を高めていくことの重要性を強調した。

産業界からは経団連副会長の吉野浩行・本田技研工業相談役が、早くからものづくりに関心を持ってもらうために、自分たちが行っている子どもを中心とした活動の事例を紹介、そうした活動を展開するうえでの課題として、①国をあげての支援②学校と産業界のギャップ③受験を含めた学校制度改革などをあげ、やはり親の意識改革が必要であるとした。

朝日新聞の高橋真理子・論説委員は、科学者の社会への貢献は当然とし、①説明責任を忘れない②科学的な思考法を広めることも重要③社会の要望に敏感であること④科学者集団のあり方についてオープンな議論をしてほしい-など、科学者へ望むことを列挙した。また、文科省科学技術・学術政策局の倉持隆雄・基盤政策課長は科学者と社会との連携を進めるうえで、研究者に望むこととして①科学技術を支える後進を育てる活動に協力すること②変化している初等・中等教育の動向に関心を持つことなどをあげ、「本物の科学者の姿に触れることが変化のきっかけとなるが、その際、お互いにわかる言葉で対話することが大切である」と述べた。

続いて行われたパネル・ディスカッションでは、子どもたちは本来理科好きであることが確認され、科学に携わり科学を理解している人がわかりやすく話すことの必要性、保護者や学校の先生方の理解増進、双方向性を持った科学のインタープリターの重要性などが指摘された。

※声明『社会との対話に向けて』全文

我々日本学術会議は、科学者と社会が互いに共感と信頼をもって協同することなくして、いかなる科学研究も生命感のみなぎる世界を持続させることができないことを認識する。さらに、我々は、科学研究は、社会が享受すべき成果をもたらす反面、社会に対する弊害を引き起こす恐れがあるという正負両面があることを、科学者も社会も明確に理解すべきであると認識する。

このような認識に立ち、我々は、科学者が社会と対話すること、特に人類の将来を担う子どもたちとの対話を通して子どもたちの科学への夢を育てることが重要であると考える。

我々日本学術会議は、これから科学者と社会がしっかりと手をつないでいくことを推進する。まず、日本学術会議は、子どもたちをはじめとするあらゆる人々と科学について語り合うように、全ての科学者に呼び掛ける。また、日本学術会議自ら、科学に対する社会の共感と信頼を醸成するために、あらゆる可能な行動を行う。

出典: 科学新聞(2004年6月4日)

科学新聞に掲載されました。

「日本学術会議法 改正」 内閣府所管で重要性増す

日本学術会議(黒川清・会長)の“新法”がこのほど成立した。

これまでの総務省所管から内閣府所管へと格上げされ、会員選出法も欧米型にするなど大幅に変更された。これによって、わが国の科学技術政策は、総合科学技術会議、学術会議の両輪が制度的にも整ったことになる。今回の法改正に関しては、黒川会長の国会でのヒアリングにおける様子が『ネイチャー』(3月25日号)に報じられるなど、世界的にも注目を集めていた。(法案の内容については本紙2月27日号で既報) 平成13年1月に始まった行政改革の中で、日本学術会議は当面、新設の総務省に移管され、そのあり方については内閣府に新設された総合科学技術会議専門調査委員会の検討に委ねられた。そして昨年2月に最終答申が提出され、それに基づいて法案がとりまとめられ、審議されていたが、このほど衆参両院全会一致で新法が成立した。

同法の基本的フレームが学術会議が進めていた自己改革案にそったものであるのは、第十七期、第十八期と同会議が、ダイナミックに変化している国際情勢の中で、各国のアカデミーが機能強化し始めていることを調査・検討し、各国の科学アカデミーの歴史的、社会的背景を理解しながら、精力的に議論を重ね、自らあるべき姿を示してきたからである。そうしたことが、総合科学技術の報告にかなり反映されている。

科学技術政策形成は総合科学技術が直接行っているが、学術会議を同じ内閣府所管とすることで、科学政策への提言、国際社会への窓口等、わが国の科学者コミュニティを代表する機関の果たす役割は今後ますます重要になるとみられる。

【黒川清・会長の話】

今一番大事なことは、科学者コミュニティを代表する学術会議のベースを広げることであり、組織の自由度が増すのだから、それだけ社会的責任が大きいことをよく認識することだ。したがって、法律改正が実現してからも、科学者という知の集団が、自分たちの価値観だけでなく、また日本国内からだけでなく、アジア、世界の科学者コミュニティの連携の中でどういったことを社会に発信していくかが問われている。

十年後の見直しに向けて、これから数年の間に国内外の社会に信用と支援を得ながら、どのように変わったかを評価されることが重要である。社会的責任がより問われる中で、一人ひとりの科学者が、自分たちが社会に対して何ができるかを考え、その結果として学術会議のために何ができるかを考えてほしい。会員外の人達も、学術会議の活動を認識することによって、サポートしようという気持ちが自然にわいてくるような科学者コミュニティを形成する組織、存在にならなくてはいけないと思っている。

出典: 科学新聞(2004年4月16日)