西湖の街、美しい杭州から

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20~22日にかけて、マルコポーロが東方見聞記で「最も美しい街」と伝えた杭州に来ました(参考:「杭州について」「杭州の文化」「杭州の楽しみ方」)。緑が多く、西湖を囲む町並みは素晴らしいです。西湖の周り(約12キロ)を一回りすると、柳と楠、またプラタナスなどがたくさんあり、柳の並木も素晴らしく、この街の緑の多さに感動します(参考:杭州ナビ「杭州花園」)。

テレビなどで見たことがあるかもしれませんが、旧暦の8月15日前後(新暦で9月末)には、銭塘江が高潮によって幅の広い河口から徐々に川幅が狭くなる数百キロを、場所によっては2~3メートルの高さで海水が遡上する大奇観、とても珍しい現象が見られるのです。この現象はアマゾン河でもみられます。あと1週間だというのにすぐに帰国しなければならず、とても残念。

今回は中国内科学会総会の基調講演(「高齢社会の社会政策」)のために来たのですが、他のゲストも友人が多く、旧交を温められました。MelborneのMonach大学医学部のThomson教授、New England Journal of MedicineのEditor-in-ChiefのDrazen教授、Bern(Switzerland)の国際内科学会事務局長のKohler教授、Hong Kong大学医学部腎臓主任のK. N. Lai教授、中華医学会誌“Chainese Medical Journal”の編集長のZhaori教授たちです。ホストは中国内科学会会長、これも旧友のWang Haiyan教授(女性)です(写真1)。どこもグローバル時代を受けての改革、国際展開とそのダイナミズムがすごいですね。うらやましいかぎりです。

20070921001_2 写真1 レセプションで、左からLai、Drazen、Kohler、Wang、Thomson各教授、そして私

翌日には、私も「体液異常」の章で手伝っている、“Current Medical Diagnosis and Treatment”の編集長で、東大時代にも2、3度、私の臨床講義に来てもらった、UCSFのLawrence Tierney教授も到着しました。松村理司先生の「“大リーガー医”に学ぶ」(医学書院 2002年)でも紹介されていますが、彼は、毎年のように日本に来ていて、世界中で引っ張りだこの、すばらしい臨床の先生です。来月からも一月ほど日本に来ているということです。

このサイトを見てくださっている方はお分かりかと思いますが、世界中へいろいろと行きますが、普段は残念ながらあまり観光には行かないのです。というか、時間がなくて行けないのです。でも、今回は招請講演者以外の講演が全て中国語で、時間に余裕があったので、福井医科大学に留学経験のあるDr. Zhangfei Shou(寿 張飛先生:浙江大学医学院の関連病院に勤務、ここの医学部長が先週ご紹介した巴 徳年(Ba Denian)先生です。)がいろいろと案内してくれました。感謝、感謝。

霊隠寺(写真2・3)、そのお隣の飛来峰(写真4)、そして銭塘江を見下ろす六和塔(この「六」とは天地、東西南北の六つとか)(写真5)に行きました。杭州は昔からお茶と絹の産地として有名で、静岡市と姉妹都市を結んでいます。お茶の博物館「中国茶葉博物館」も訪ねました。この茶葉博物館では久し振りに、自然のなかでゆっくりとした気持ちになれました(写真6)。

20070921002 写真2・3  寿先生と霊隠寺で(山門の「霊隠寺」の額は江沢民氏の書いたもの)

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20070921004 写真4  寿先生と飛来峰で

20070921005_2 写真5  寿先生と六和塔で

20070921006 写真6  お茶畑

20070921007 写真7  寿先生と西湖のほとりで

先月の大連に続いて、お隣の大国と、学術や民間で広範囲の交流が確実に広まっているのを実感できるのは嬉しいことです。

私がブログで引用しているサイトは、公式なものに限らず、実感のあるblogなども多く紹介しています。皆さんも興味があれば、どんどん情報豊富なサイトを探してください。

10月も、WHOの会議で北京に参ります。

世界華商大会へ、神戸から

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日本で始めての世界華商大会が神戸で開かれ、医療についてのパネルにお招きを受けました。

中国からは杭州の浙江大学医学院長の巴徳年(Ba Denian)先生(昔、北海道大学で学ばれました、米国の医学アカデミーの会員でもあります)、Singaporeからは国立大学の臨床薬理学のリーダーのEdmund Lee教授、 Hong Kongからは私とRENAALを一緒に走らせた、Juliana ChanのプログラムのDr. Maggie Ngさん、そして司会は、京都大学の福島雅典教授でした。時間が足りなかったような気がしましたが、議論はなかなかよかったです。各国の競争ですが、私に言わせると、申し訳ないけど日本の遅さは際立っています。なんといっても大事なのは、研究者ばかりでなく、すべての関係者の一人ひとりに「起業家精神」での行動がかけているのだと思います。何度も言うように、これが私の「イノベーション」への中心的メッセージですが。

では、このパネルで私は何語でしゃべるのか。ちょっと不安で前日のレセプションへ参加、幹事の意見を聞きにいきましたが、スライドは英語にして、日本語で話すことにしました。勿論、中国語(Mandarin)、英語、日本語の同時通訳がありました。この会についても、参加者の一人、森下竜一さんが相変わらずすばやい報告をしています

前夜のレセプションでは船橋洋一さん、元日本経済新聞の小島明さん、元フィリピン大統領のラモスさん、言論NPO関係者や多くの友人にお会いしました。山本かなえ経済産業省政務官も見えました。中国大使館からは、中国衛生局から着任しておられる劉 志貴一等書記官にもお会いしました。大統領をされているときからでしょうか、ラモスさんは眼鏡をしていますが、これはレンズの入っていないもので、格好付け。また、最近は使わないそうですが、いつも葉巻きシガーを持っていますが、吸うわけではないのだそうです。これらも「印象」を意識してのことだとか、なかなかですね。

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写真 神戸で友人と。左から小島さん、私、一人おいてラモスさん

翌朝は神戸市長の矢田市長と面会し、神戸市のこれからのバイオ関係の計画等のお話を伺いました。基盤集積はできましたが、これをどのように生かすか、これが課題ですね。

日本で最大に成長しつつある臨床試験企業になっているEPSの厳社長、許常務以下の方々にはいろいろお世話になりました。お礼申し上げます。

20日からは杭州へ行きます。

素敵な若者の会「プロジェクト13%」の講演

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私の友人の一人に渋沢健さんという方がいます。最近人気の渋沢栄一の5代目で、UCLAのAndersen Business Schoolでも学んだビジネスマンです。彼のブログ、「オルタナティブ投資日記」「渋沢栄一の『論語と算盤』を今、考える」等、情報発信の量は相当なものですし、最近では渋沢栄一の思想に関する本もいくつか出版しています。Amazon等で調べてみてください。

少し前になりますが、9月9日(日)の午後、この渋沢さんが主宰する“プロジェクト13%”に呼ばれて、六本木にある由緒正しい国際文化会館でお話しました。集まった人たちは150人ほど。まず一見して若い人たち、そして女性が多かったです。多くは起業家たちで、これは日本で行なわれている多くの講演会では珍しいことです。先日紹介したRedHerringの時とは少し違う層のように感じましたが、多くは同様のスピリットを持った方たちと見受けしました。

私の基調講演から始まったのですが、最初に「40歳以上の人は手を挙げて」といったところ、約30%がそうでした。そして女性は約40%で、このことにもコメントしてイノベーションの話を始めました。

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写真1 私の講演。日曜の午後はカジュアルで。

私の後は、五百旗頭薫(東京大学)、西澤直子(慶応義塾)、島田昌和(文京学院大学)の、気鋭の若手学者3名によるパネルで、始めに、五百旗頭さんが「大隈重信」、西澤さんが「福澤諭吉」、そして島田さんが「渋沢栄一」について、一人ずつこれらの偉大な先人達を紹介し、見解を述べ、そしてパネルに入るといった流れでした(写真2)。このような若く、情熱あふれる学者のいることは、とても嬉しいことです。大隈重信について話をされた五百旗頭さんは、8月のブログでご紹介した、神戸大学教授から防衛大学校校長に就任された五百旗頭真(いおきべまこと)先生のご子息でした。苗字がかなり珍しいですし、学問分野も近かったので、そうではないかなと思っていました。皆、素晴らしかったですが、ちょっと時間が足りなかったですかね。

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写真2 パネルの様子。左から五百旗頭さん、西澤さん、島田さん、司会は小笹俊一さん(ブルームバーグTV)。

最後は、渋沢さんと最近何度かご紹介している多摩大学大学院教授の田坂広志さんの対談でした。

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写真3  田坂さん(左)と渋沢さんの対談。

素晴らしい晴天の日曜日の午後、燦々とした太陽の光の中で輝く素敵な樹木の自然に囲まれた庭園をみながら、久し振りに気分のよい、会合でした。

いろいろな方にお会いしました。皆さんとてもハッピーな午後を過ごしたようです。

今回のプロジェクト 13%のセミナーについては、たくさんのブログで紹介されているのでいくつか紹介します。

 「クロスワイズ代表取締役です☆」

 「港区ではたらく女社長のblog」

 「Capriのゆる~い日記」

 「team_yama with Toshi」

など。

元気いっぱいな人たちなので嬉しくなります。

参加された皆さん、元気でね。

また、次の機会に。

イノベーションがつくる2025年の社会を展望して-イノベーターが未来を創る-

2007年5月23日に開催された、第41回「JATES通常総会」での特別記念講演の内容です。

 イノベーションがつくる2025年の社会を展望して-イノベーターが未来を創る-

出典: 「技術と経済」(2007年9月号)

天城学長会議から

毎年7月の終わりに、伊豆の天城で大学学長会議が開催されています。

今回は担当幹事の東海大学高野学長、東京工業大学相沢学長のお招きで、1日目の午後の基調講演に参りました。2日目の朝の基調講演は、JR東海の葛西会長がされるそうです。一般的には、私たち二人は意見がかなり対立していると思われているかもしれませんが、面白い組み合わせと思います。実は葛西さんとは個人レベルでのお付き合いもあって、二人ともどちらかといえば「歯に衣を着せない」ほうですし、歴史観も、哲学も明晰で(とにかく沢山の本を読んでおられる)、気骨のある方として意気投合しています。ですから、葛西さんたちの音頭とりで始まった「海陽学園」という6年一貫、全寮制の男子校の応援もしているのです。人材育成は国家の根幹ですからね。

しかし、この学長会議の最近5~6年の議事録や基調講演などを見てみると、問題点の認識と、課題はすべて議論されつくしていると思いました。最近の大学の状況、社会の変容、グローバル時代の世界の大学をめぐる大きな流れの変わり様、具体的な動きなどについてお話しましたが、私の主張はこのブログを読んでいただいている方にはおなじみのことと思います。

問題は、それぞれの大学で学長という立場の人がどんな決断をして、それを実行するかにかかっているのです、と申し上げました。皆さん問題は十分に分かっておられるのですから、どのようにして自分の信念を実現していくかにかかっていると思います。もちろん難しいがあることも十分に理解しています。それでも、実践していくこと、これこそがリーダー、責任者に求められていることではないでしょうか。学長という立場は評論家でいられるはずがありません。

学長の先生方にはこのことを理解してもらった上で、この会議が終わるまでに一人一人が今年中にやることを紙に書いて約束し、来年のこの会議でどこまで実行できたかを検証することをお勧めしました。そうでもしないと、いつまでたっても前進しませんからね。将来を担う若者たち、学生さんがかわいそうだと思いませんか。

学長先生方、ご苦労様です。でも仕方ないですね、これがお仕事ですから。

講演録はこちら

「特集 日本社会のイノベーション 今、イノベーションがなぜ必要か?」

慶應義塾大学出版会が編集・制作されていて明治31年3月に創刊され、平成10年には創刊100年を迎えた「三田評論」で「特集 日本社会のイノベーション 今、イノベーションがなぜ必要か?」というテーマで、慶応大学経済学部/池尾教授が司会、トヨタ自動車/渡辺社長、内閣府社会経済総合研究所/黒田所長と対談を行いました。

「特集 日本社会のイノベーション 今、イノベーションがなぜ必要か?」(PDF)をダウンロード

住友化学/米倉社長とJeffrey Sachs教授との対談が掲載されました。

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3月に来日されたJeffrey Sachs教授と住友化学/米倉社長と行なった対談が、日経新聞(2007年4月20日朝刊)、THE NIKKEI WEEKLY(Vol 45, No.2, 287/May 28, 2007)16~17面に掲載されました。

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ザインエレクトロニクス株式会社 代表取締役社長 飯塚哲哉 氏のインタビュー記事を紹介します。

11月29日に東京ビッグサイトで開催された「全国知的・産業クラスターフォーラム」で特別講演をされた、ザインエレクトロニクス株式会社社長の飯塚哲哉さんのインタビュー記事です。

 飯塚哲哉さん(ザインエレクトロニクス株式会社)インタビュー

出典: 日本IBM株式会社 『無限大』誌 2006年冬 No.120