日本は島国

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最近Newsweek誌に“This Nation Is An Island”という記事が掲載されました。その主旨は、日本人の考え方が昔からいかに島国根性で、今も日本社会のあらゆるところにそれが残っているかというものでした。このメッセージは主要な外国雑誌(例えば2008/02, 2007/12)の過去の記事と良く呼応しますし、私の近著“イノベーション思考法”でも数例取り上げたように、いくつかの日本人による最近の著作のメッセージとも合致しています。
ブログのあちこちで言及していますが、私もこの意見に同意します。

このレポートでは日本は過去に何世紀も閉ざされてきており、外国人にとってはオフリミット(立ち入り禁止)で、このグローバル化が進んだフラットな時代にあっても、今も根本的には鎖国状態が続いていると強い調子で述べています。人類共通の利益に貢献するような新しい世界的秩序を追求すべく、日本が世界規模の活動の一員、プレーヤーとして参加することを助けてくれるような幅広い活躍の機会を持つ優秀な人材が沢山いるのに、日本がグローバルな場に出て行かないのを見るのは悲しすぎます。

日本は依然として世界で2番目に大きな経済力を持っていることを忘れないで下さい。ローカルに考え(ローカルな価値観や個性)グローバルに行動する起業家がもっともっと必要です。最近1960年代のソニーの盛田さんを想起させるようなビジネスマンを見たことがありますか?テクノロジーだけでは充分ではありません。世界の人々の心を捉えるのは全体としての企業活動なのです。

行った年2007年、来た年2008年、日本はどこへ

皆さんにはこのblog等を通して定期的に報告していましたが、皆さんもそうでしょうけど、2007年は私も大変な年でした。「イノベーション25」のまとめ、それに関連した国内外の講演等々があったからです(*注1)。皆さんからずいぶん勉強させてもらいました。そして、9月12日には安倍総理の退任、新総理選出等の政変の近くで仕事をしていたわけです。一方で、この10年の日本の衰退はどうしたものでしょう。

注1:このサイトで、どこへどんなことで行ったのか、主要なものはお知らせしていますが、2007年の海外出張日数は出発日と帰国日をあわせて1日と勘定して87日ほどでした。ちなみに、2006年は約75日、2005年は約100日でした。

国内では「いざなぎ景気以来」とか、結構な景気づけの声も聞かれていましたが、本当のところはどうなのでしょうか。単なるデフレでそう見えるのでしょうか。サブプライムの問題を言う人もいますが、日本の場合はどの程度までが本当でしょうか。国際情勢とは反対に東証株価は下落で終わりました。日経新聞の年末シリーズ「越年する経済政策課題」(特にその4)は本質的な指摘が多くされています。要するに、精神的な鎖国です。志向も、行動も外へ出たくない、外と付き合いたくないのです。自信がないのですね。「内弁慶」の「男性社会」ということなのです。

「週刊 東洋経済」12月29日/1月5日迎春合併号の「10賢人が語る世界の大変革」で、私の意見が出ています 。この“10人”の根拠はわかりませんが、私というのはちょっとね・・・。でも、光栄なことです。日本のGDPは依然として世界第2位ですが、この10年でOECD諸国のGDPが増えているのに比べ、日本だけはGDPが増えていないのです。一人当たりのGDPは一時の世界第2、3位のあたりから、今や18位に。これはさらに落ちると予測されています。これでは国内に閉塞感があるのは無理ないことと理解できるでしょう。

この成長できない産業、経済はなぜでしょう。何をどうしたらいいのでしょう。ここに「カギ」があります。政界、財界、行政、学会、メディア等々、全ての社会構造の「リーダー」といわれる職責にある人たち、しっかりとしてください。いつまでも、精神的鎖国ではダメですよ。これは、このblogの底流に常にあるメッセージです。

グローバル社会では、国内外の格差は広がっていきます。最近のプロ野球ではメジャーに移籍する選手が増え、彼らの年俸を見ていれば、この「格差」は歴然としてはいませんか?国のGDP、つまり分ける「パイ」が増えなければ、貧困者が増えるのは理の当然です。これをどうするかは国家の役割です。相変わらず地方への同じ種類の公共事業というのは策がなさ過ぎます。雇用をどう守るのか、これも大事な政策課題です。従来の社会制度、例えば、年功序列、一生涯同じ企業勤めが常識という社会制度ではうまくいきません。なぜ、今まではうまく行ったのでしょうか?

最近の国際的ジャーナルに日本経済特集が出ましたが、時を同じくして、「週刊 東洋経済」12月第2週号では「iPod」の特集がありました。日本の「強さ、弱さ」を正確に指摘しています。林信行さんの「iPhoneショック」も素晴らしいです。また、多くのいわゆる国際派の方々の論評では、日本は急速に衰退しているという指摘が多いのです。その原因の指摘についてもみな同じです。

冨山和彦さんの2冊の本、立花隆さんの「滅びゆく国家、日本はどこへ向かうのか」、船橋洋一さんの「日本孤立」、ウォルフレンさんの「もう一つの鎖国、日本は世界で孤立する」、高城剛さんの「「ひきこもり国家」日本」、そして再び林信行さんの「iPhoneショック」などはそれらの典型といえましょう。結局は、最近注目された白洲次郎と、そのエッセイ集「プリンシプルのない日本」で指摘されているところが、基本的にそのまま続いているのです。

世界には日本びいきの応援団は大勢いらっしゃいます。皆、気にしているのです。特に「リーダー」といわれるような社会的地位の人たちはしっかりしてください。

さあ、2008年はどんな年になるでしょう。5月はTICAD、7月はG8サミットと世界の注目の的となる日本です。このグローバル時代、従来の社会経済構造ではいくつもあるでしょう「できない理由」は横において、どうしたらいいのか、何をするべきか、それぞれ一人ひとりが、「従来からの常識の枠を超えて」、「考え抜いて(「考える」では不十分です)」、「失敗を恐れず」、「行動する」ことです。私の持論でもありますが、Charles Murreyの「Human Accomplishments」にも明示されているように、いつも「時代の変人」が、時代を変えるのです。

さて、ここで2008年の宿題。2007年最大の明るいニュースは、京都大学の山中さんの遺伝子操作で生まれた新しい幹細胞「iPS」でした。これはどうしたらいいでしょうか?どうなるか注目して見て行きましょう。この設問は、私は、これこそが日本の基本的課題の一つの典型例だと思うからです。いずれまた議論いたしましょう。