2冊の本

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世界が不安定な様相を示しています。

これは、世界の富の配分の大きな格差が広く見えるようになったこと。気候変動、不安定で先の見えない世界経済など、インターネットのつながりが急速に進む中で、多くの人たちが感じ始めている不安などがその背景にあります。

”Post- Truth”といった人為的な要素も見逃せません。

危機クライシスに対してどう対処したらよいだろう?誰しも知りたいところです。

危機に際しては、その対応こそが、企業にしても、どんな組織でもとても大事です。もし 危機に際して適切に反応できないと、企業などの組織のReputation riskであり、あなたのReputation、ひいてはあなた自身に対する危機なのです。

これについて考察した本が出てきました。国会事故調にも触れられているので、私にコメントの依頼がありました。

「Rethinking Reputation Risk: How to manage the risks that can ruin your business, your reputation and you」

裏表紙に何人かの著名な方々のコメントが紹介されています。私は四つほど提示したのですが、編集者が選んだのが以下のように書いてあります。編集のほうで手を入れてくれなかったようで、ちょっと残念でした。

“This thoroughly enjoyable book is a must-read for leaders of all organizations at all levels, right up to the board and its leadership.”

Dr Kiyoshi Kurokawa
Chairman of the National Diet of Japan’s Independent Investigation Commission

正月には、MITメディアラボの伊藤穣一氏の最近の著書「Whiplash: How to Survive our Faster Future」も送られてきました。

この数年、このテーマについては、ジョイからも聞いていて議論もしてきたところですが、いろいろ話題になっていますね。

世界はどんどん変わっていきます。

 

国会事故調の本「規制の虜:グループシンクが日本を滅ぼす」を上梓

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2011年3月11日の東日本大震災、そして歴史的に残る福島原発の大事故。あれからもう5年の月日がたとうとしています。

あの大震災と原発大事故の3ヵ月前には、今や世界を席巻している「アラブの春」が、チュニジアで始まったのです。

このアラブの春は、その後、北アフリカ、中東に広がり、今では、北アフリカやシリアから、欧州へ多数の難民が押し寄せるという、予想もしない状況となっています。

この5年の世界の大変化の中で、日本はどうなのでしょうか?

そんな思いもあって、「規制の虜:グループシンクが日本を滅ぼす」というタイトルで、福島原発事故から5年、私が委員長を務めた、”日本憲政史上初”の国会による、独立した「福島原発事故の調査委員会(通称「国会事故調」)」を通して、「あまりにも変わらない日本」について、この本を書き上げました。

3月10日に発売予定ですが、アマゾンから予約もできます

今日は日本記者クラブで、この本の紹介を兼ねて、記者会見をしました。

この本を、みなさんが手にしていただけると幸甚です。

「アラブからのメッセージ」

DSCF8711ハムダさん

「アラブからのメッセージ ─東日本大震災後の日本へUAEが届けた求愛─」を著したハムダなおこさん。メルマガもあります。

今回この本が、潮(ウシオ)出版社の「潮アジア・太平洋ノンフィクション賞」1)を受賞されました。ハムダさんは、2年前にも「アラブからこんにちは」という著書を出版しています。

この潮出版の授賞式が開催され、わたしもお招きを受けて出席してきました。ハムダさんとは、ご長男が日本の大学に留学していて、いよいよ来年は卒業なのですが、そのご縁で、ご相談なども引き受けていて、この何年かの付き合いがあるのです。ご長女、ご次男は、二人ともわたしが理事を務めているアブダビのカリファ大学で勉強していて、去年の卒業式でもお会いしているのです。

また、ご自分でアブダビに「日本文化センター」を設立しておられ、日本の広報、紹介もしておられます。ありがたいことです。

今回の授賞式では、彼女のご主人と、日本におられるご両親にもお会いすることができました。本当に優しそうなご主人。このような方たちの活動が、「民間外交」でも大事なことですし、本当の相互理解、外交の基本になるのです。

東芝問題に見られる懸念、国会事故調の指摘と同根

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東芝が大変なことになっています。日本を代表する企業の一つですから、国内外での懸念も、注目度にも大きなものがあります。

問題の根っこは4年前のオリンパスのスキャンダルと同じ企業統治の問題だ、と世界では理解されるでしょう。もっともなことです。

主要な記事に Newsphere の解説、そして Financial Times (FT) の大きな見出しの記事(閲覧には登録が必要です)があります。さらに、この FT の記事の最後に出てくる Leo Lewis 氏による囲み記事 ”Problem of culture; Ever fiercer profit target imposed” では、わたしが委員長を務めた、いわゆる「国会事故調」の指摘した中心的メッセージと同じ問題が根底にある、と指摘しています。

The description is eerily similar to that used in the independent report on the Fukushima nuclear disaster, which blamed Japan’s “reflective obedience” and “reluctance to question authority” for contributing the poor handling of the disaster.

ウェブに広がる世界の中では、透明性、公開性、自律性こそが信頼の基本なのです。日本の企業統治の信頼が揺らいでいるのです。社外取締役を置いても形だけなのではないか?監査はどうなのか?ということです。

このサイトで去年の9月22日から10月27日にわたって掲載した、国会事故調の調査統括を担当した宇田左近さんの著書「なぜ「異論」の出ない組織は間違うのか」の趣旨が、組織統治の重要事項であることを、改めて認識し、改めることです。

「日本の文化」に見て取れる「思い込み、日本の常識」の課題です。一度失われた信頼を取り戻すのは大変なことなのです。

お知らせ

東京大学出版会より、様々な熱帯病のワクチンの開発を手掛けるとともに、2015年からはアメリカ国務省の科学特使(Sciece Envoy)として世界中を飛び回っていらっしゃるピーター J ホッテズ先生の「顧みられない熱帯病:グローバルヘルスへの挑戦」が刊行されます。

私の紹介文「日本語版の刊行に寄せて」が東京大学出版会のサイトに掲載されていますので、ご紹介します。

http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-060412-3.html

会合のお知らせ

エボラ・ウィルスの発見者の一人であり、またエイズ対策の最前線で闘ってきた元UNAIDS事務局長のピーター・ピオット氏の回想録「NO TIME TO LOSE」(時間を無駄にはできない)の日本語版が慶應義塾大学出版会より出版されました。その出版記念セミナーが4月17日(金)に開催されます。
保健医療分野の方のみならず、広くグローバルイシューに関心がある学生や社会人の皆様のご参加をお待ちしています。

JCIEのページ: http://www.jcie.or.jp/japan/csc/2015pp/booklaunch/

JCIE/グローバルファンド日本委員会(FGFJ)のページ: http://fgfj.jcie.or.jp/

FGFJ のフェイスブック イベントページ: https://www.facebook.com/events/854907361237380/

慶應出版会の本書特設ページ(目次と日本語版序文を読むことができます。):
http://www.keio-up.co.jp/kup/sp/notimetolose/

「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その8

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宇田左近さんの著書「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」に書かせていただいた「解説」その8です。

【解説】異論を唱える義務―――私たち一人ひとりが「今」やらねばならないこと
元国会事故調査委員会委員長 黒川 清

8.最後に

東日本大震災、そして福島第一原子力発電所事故のあと、若者の中からも多くの新しい動きが出てきた。その一例が、「社会的NPO」などの新しい活動であり、大学を出ても、従来の雇用形態にとらわれず、このような活動に参加する人たちである。彼ら、彼女らは多くの困難を乗り越えながら、「社会をよくしたい」という強い気持ちで活動している。

そして、国会事故調に参加した若者たちからも、そのような新しい動きに加わる人が出てきている。1人はこの経験からあえて国会を目指し、国会議員に選ばれ、地味ながらも奮闘している椎名毅君だ。また、せっかく大手新聞社に就職したにもかかわらず、2年で辞めてまでも国会事故調に参加し、その報告書提出のあとには、自分で被災者の状況を追跡調査し、一冊の本『避難弱者』(東洋経済新報社)を著した相川祐里奈さんという若い女性ジャーナリストもいる。

また、膨大な国会事故調の報告をわかりやすく国民に伝え、理解してもらいたいという思いを持った若者たちも集まり始めている。何人もの大学生が始めた「わかりやすいプロジェクト国会事故調編(註1)」は、各セクションを3分前後でまとめた素晴らしい映像である。英語版も完成し、世界に向かって発信する努力をしている。このような若者たちの活動をまとめているのが、国会事故調において宇田調査統括の右腕として活躍した石橋哲さんだ。最近では高校生たちも、このような活動に興味を示して、「何かできないか」と自発的な活動を始めている。

日本の将来を担う若者たちの自発的な活動が、そこかしこで発生していることは、とてもうれしいいことだ。皆さんの応援を期待している。


1. http://naiic.net/

→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その1
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その2
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その3
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その4
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その5
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その6(1)
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その6(2)
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その7
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その8

「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その7

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宇田左近さんの著書「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」に書かせていただいた「解説」その7です。

【解説】異論を唱える義務―――私たち一人ひとりが「今」やらねばならないこと
元国会事故調査委員会委員長 黒川 清

7.選挙は国民一人ひとりの権利

組織に所属しているか否かにかかわらず、みなさん一人ひとりが常にしなくてはいけないことがある。
それは選挙では必ず投票することだ。これは民主主義での皆さんの権利であり、当然のことだが行政当局はいつも投票の状況を調査している(註1)。皆さんの投票率が低ければ、政治家たちのあなたへの関心が薄れる。政府からは甘くみられる。皆さんが三権分立で定められた、あなたたちの代表たる立法府への議員(地方選挙でも同じことだ)を選ぶことに興味がないからだ。皆さんの投票率が低ければ、利害関係者、特定の団体を代表する議員が選ばれる傾向は強い。だからあなたたちの声は反映されにくい。
自分たちを代表するような候補者がいないという声もある。だが選挙で投票することで民主制度は始まるのだ、民主制度を機能させるのは時間がかかることなのだ。民主制度は与えられるものではない、自分たちで作り上げていくものだ。
だから、極言すれば、選挙で投票しない人には発言権がない、ともいわれるようになっていく。特にこれからの将来を築いていく若い人たちの投票率の低下は大問題だ。もっともっと多くの若い人たちが選挙に参加して初めて、日本の民主制度を機能させていくことができる。時間はかかるが、これはとても大事なことなのだ。特に若い人たちにとっては自分たちの将来がかかっている。あなたたち若者が納得できるような候補者が、きっとでてくるようになる。


1. http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/sonota/nendaibetu/index.html (総務省によるデータ)

→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その1
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その2
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その3
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その4
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その5
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その6(1)
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その6(2)
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その7
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その8

「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その6(2)

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宇田左近さんの著書「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」に書かせていただいた「解説」その6(2)です。

【解説】異論を唱える義務―――私たち一人ひとりが「今」やらねばならないこと
元国会事故調査委員会委員長 黒川 清

6.「アカウンタビリティ」とは何か?(2)

(続き)

どの組織でも、一般的にいえば、日本において、個人の責任感のなさが問題なのだ。組織の上へいくほど権限ばかりでなく、当然のこととして責任も大きくなる。だが、何かあった時の責任ある立場の「個人」の責任が特定化されない「説明責任」となりがちだ。テレビなどで頻繁にみる「責任者」らしき人たち数人が「申し訳ありませんでした」と言って、なんとなく収束していく不思議な組織の統治機構。
これは国外との関係でも、たとえ合意が得られても、事故が生じた時などは責任の所在をめぐって紛争のもとになりかねないことなのだ。グローバル世界では、日本の組織、機関での、権限と責任をもっと明確にしないと、組織、そして決定プロセスの不明確さから世界の信用を失いかねない。事実、その傾向は顕在化しつつある。
世界における日本の現状について、中根氏は先ほど紹介した「あとがき」の中で、「国際的にみると、日本の存在はまだまだ低調である」「経済力や技術の面では圧倒的にすぐれた位置にありながら、世界というか国際的にインパクトを与えうるような意見の表明ができるリーダーが出ていない」と指摘している。

その問題を解決するヒントとしてこの本で提示された「異論を唱える義務」の意味について、あらためて一人ひとりが深く考えてみてほしい。これはどんな組織でも極めて大切なことであり、GE社長・会長であったジャック・ウェルチも、この点を、優れた企業の文化として重要であることを指摘している(註1)。
「仕方ない」などとあきらめずに、「組織をよりよい方向に持っていくためには、年次、年齢などに囚われずに自らの考えを示していくことは組織にとって大事なこと」であり、「それは、組織の一員としてやらねばならぬこと」であり、さらには「自分にも、組織にも、相手にとってもプラス」である、との認識を、国会事故調のプロセス、さらにこの宇田さんの著書から学び、「180度」思考を転換することをお勧めしたい。世界は動いている、日本の組織だけが例外的ではありえないのだ。


1. ジャック・ウェルチ、スージー・ウェルチ著、斎藤聖美訳『ウィニング 勝利の経営』2005年、日本経済新聞社(原題‘winning’)。

→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その1
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その2
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その3
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その4
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その5
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その6(1)
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その6(2)
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その7
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その8