ペンシルベニア大学

オタワから、次はフィラデルフィアへ向かいました。ペンシルべニア大学の法科大学院ロースクールのお招きです。

ペン大は、40数年前ことですが、私が初めて海外留学したところです。

2年ぶりのフィラデルフィアでしたが、以前ちょっと勘違いをしていたことに気が付いていたので、40数年前に住んでいた、郊外のアパートを尋ねてみました。名前こそ変わっていましたが、いまでも結構モダンな感じのままで、サイズは当時感じていたのよりも小さく感じました。貧しい日本から来たのですからそんなものなのでしょうね。

夜はちょっと遅くなったのですが、Havarford大学に留学している、HLABの第1回に高校1年生で参加した野村くんを夕食にお呼びして、いろいろ話を聞きました。このような若い人たちがいろいろと苦労をしながら活躍しているのは、頼もしい限りです。

さて、今回の訪問の主目的は、ペン大ロースクールでアジアフォーカスのプログラムを立ち上げ、その記念行事の一つとして、アジアでの「大災害と賠償」のテーマで、組まれたカンファです。

取り上げられたのは、中国の四川大地震、インドボパールのユニオンカーバイトの化学工場の大惨事、そして福島原発事故の3つです。もちろん、私は福島の原発事故の関係でお招きを受けたのです。

前夜にKenneth Feinbergさんの基調講演がありました。質疑応答を入れて約90分にもなるセッションでした。「9.11」、「英国石油BPのメキシコ湾の石油採掘災害」などの大災害の補償について、飽きることない、迫力といい、説得力といい、お人柄そのままの素晴らしい講演でした。彼の講演は、教育者として、また活動の実績からも大変な評判があるようです。

講演前にしばらくお話をしたのですが、このような大惨事の補償について、日本政府からも聞かれたことがあるけどね…、といったお話も伺いました。

2日目は、1日にわたるセッションで、なかなか良かったです。四川、ボパールはそれぞれ中国、インドの政治学者と演者とのパネルでした。私はロースクールで講演するのは初めてですので、皆さんあまりパワポを使わないとか、ちょっと戸惑ったのですが、MITの日本政治の研究者であり、福島原発事故後の日本について、「3.11: Disaster and Change of Japan」(2013)を著したRichard Samuelsさんとの二人でプレゼンとパネルを行いました。

夕方の1時間ほどペン大のキャンパスを巡り、昔の研究室のあたりには、医学部の活動の様子を映すように、いくつもの新しい建物があって、活躍ぶりがうかがえました。

最後の夜は友人と3人で夕食、翌日トロントで1泊後、羽田へ、11月9日(月)出発、23日(月)帰国という長旅でした。最後の日に風邪をひき、声が出なくなりました。

認知症について二つのセッション

https://www.google.ae/search?q=dutch+dementia+village&rlz=1C1CAFB_enJP633JP633&espv=2&biw=1440&bih=799&tbm=isch&tbo=u&source=univ&sa=X&ved=0CBoQsARqFQoTCLmzxsfy3MgCFUNaFAodw_kJ0Q&dpr=1

 

この2年ほど、認知症に少しばかりかかわっています1)。先日のポストでも、WHOで高齢社会の課題についての報告をしたばかりです。

その翌週のことですが、横浜で開催された恒例の「Bio Japan」でも、国立長寿医療研究センターの鳥羽総長と認知症をテーマに対談をいたしました。鳥羽さんは、私の大学の後輩で、先生の医学博士論文の審査では、私が委員長だったということでした -私は覚えていませんでしたが。なかなかの論客です。

パネルの司会は、日本医療政策機構を動かしている小野崎さん。快調にすすんだ90分のパネルで、300人ほどの参加者の方からの評判も良かったようです。参加者の何人かからメールもいただきました。

数日後、オランダ大使館に10人ほどでお招きを受けました。オランダ政府の厚生省副大臣 Martin van Rijn 氏の来日の機会に、認知症の話を20分ほどいたしました。6月にハーグの「認知症村:Hogewey」に行ったときにお会いしていましたので、再会ということです。40分ほどセミナーの後のディナーでは、いろいろな方との意見交換という形で、一日を終えることになりました。

これは、本当に大変な世界的課題です。

Jakarta、HLABの初日、夏休み、そして大栗さんの1週間

HLAB2015

8月11日(火)の朝、Jakartaへ向かいました。Harvard Kennedy School Ash Center1)主催のカンファレンスに参加です。

Center DirectorのAnthony Saichさん、またJay Rosengardさん、2日目にはキャノングローバル戦略研の栗原さんも参加して、アジア各国の健康政策の課題などを共有することでき、また新しい友人もできました。

わたしは、メンタルヘルス中心のパネルでしたがWorld Dementia Councilについても紹介しました。 参加のみなさんにとっても共通課題ですので、意見交換など、いろいろと役に立ちました。

レセプションディナーではBambang 財務大臣の講演がありました。わたしはSaichさんたちと主賓のテーブルで、Bambangさんをはじめ、多くのリーダーを育てたNasution教授のお隣でした。

3日後の14日(金)の朝には成田に帰国。自宅で一休みし、お昼には、今年で第5回目になるHLAB1)の開会式に参加。基調講演をさせてもらいました。

2011年の夏、東京で80人の高校生を対象に始まったHLABは、今年までに小布施、徳島、女川と広がり、今年は全部で240人の高校生の参加となりました。大学生は、海外からHarvard大学などの日本からの学生も含めて80人ほど、日本側も40人ほどのようです。今までに参加した高校生の約40%が海外の大学へ進学しているのですから、この9日間の体験はすごいインパクトだと思います。

これを始めた小林くん、彼を支える多くの大学生たち、みんな素敵な仲間たちです。皆さんのプレゼンなどを聞いていると、「初めて心から話すことができた」、「熱い思いがわいてきた初めての体験だった」などの言葉が出てきて、とても感動的です。

この講演の後、直ぐに新宿へ。蓼科での3日の休養(2日ゴルフ)となりました。わたしにとっての今年の夏休みはこれだけのようです。

17日(月)には、再び東京のHLABへ。今年の基調講演のお一人にお招きした、理論物理、素粒子論の世界のトップランナーの一人、CalTechのKavli Professor 大栗先生の講演に参加しました。何しろtwitter などでは、お互いに交流しているつもりですが、三年ぶりなのかなあ、お会いするのは、、。

このところ、大栗さんのいくつものが大評判ですし、blog、twitterの発信も素敵です。今回は、ご自分の今迄などを、日本語のスライドで、英語でしゃべるという‟離れわざ”。結構たくさん質問が出るので、たいへんなものでしたね。

わたしにとっても、とても刺激的で、しかもバランスのよい1週間でした。

医療政策機構をめぐるいろいろな活動

私の活動の一つに健康・医療政策をめぐるものがあります。

G7 World Dementia Councilもそうですが、ほかにも医療政策機構の活動、GHIT Fundの活動などがあります。

2月、3月にかけては、例年のことですが医療政策機構の「Health Summit」を開催、今年は医療政策をめぐる主要3テーマにしぼった企画にしました。このブログでもお分かりのように、パネルも豪華メンバーで、議論の質も高く、参加の皆さんにも高い評価をいただきました。

最近では、一年前からWashington DCへ移動した村上さんがCSISを拠点として活動していて、「3.11」以後のメンタルヘルスについての政策提言をまとめています。これは、私たちとCSISとの共同作業1)の着実な成果の一つともいえます。

この医療政策機構も私の活動拠点のひとつですが、皆さんの応援を感謝しています。

WHOでWDCとの会議

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3月15日(日)、羽田を出発。Helsinki経由で、夕方、Genevaに到着。3月16、17日のWHO本部でWorld Dementia Council(WDC)厚生大臣会合が開催されました。日本からは国会の規定で大臣は参加できず、原厚生労働審議官をヘッドとする、厚生労働省と長寿医療研究センター鳥羽総長たちが参加の中心です。

翌日からの会議は、天気に恵まれ、会議もかなりの盛り上がりを見せ、皆さんが問題の大きさと、何かしないと、という雰囲気にあふれた、2013年G8サミットの英国政府の本気度を示すような会議でした。WHOでは、特に途上国での対策等も議論のテーマになります。

ちょうどOECDから2つの報告書が続けて出たところでしたが、特に日本でのイベントの評判がよく、第1日目には、日本以外の参加者から「Japan, Japan」というプラスのコメントが多く出たのが印象的でした。

会場では WDCの活動をまとめた報告書も配布されました。

第1日目の夜は、英国大使館のレセプションがあり、Jeremy Hunt厚生大臣も参加。ちょっとごあいさつをしましたが、「日本のDementia Friendsは400万人いるんだよね」といわれたので、「いいえ、560万人程度、人口の約5%です」とお伝えしました。

翌日は、開会にあたってWHO Chan Director Generalのご挨拶があり、続いて、WDCを主宰する英国のHunt大臣が挨拶で「日本では5%の人たちがDementia Friendsとして…」と発言されていました。この日も、原 勝則 厚生労働審議官のプレゼンは当然としても、何回か「Japan, Japan」が出てくるので、日本から参加された皆さんで、こんな国際会議は珍しいね、などと話がでていました。

会議のあとは、Genevaの日本政府代表部を訪問。小田部大使嘉治大使を訪問。そこからまたWHOに戻って、ここ8年ほどAssistant Director Generalの重責を務めている中谷さんを訪問。活動の広さや、運営などの話を伺いました。彼とは厚生労働省でも長いお付き合いがあります。

夜は日本から参加された方たち10数人ほどでディナー。ここでは、みなさんの仕事とご苦労、そして今回の会議の感想などいろいろお話しできました。

翌日は午後のフライトでしたので、宗教革命での思想家であり、Protestantの活動を推進したJohn Kalvinが活動した、St Pierre Cathedralで時間を過ごしました。いろいろな歴史的資料や記述など、興味深くみることがきました。

最近、私の講演では「Incunabula」、Gutenbergによる聖書の印刷と、その後の宗教革命についてよくお話をするので、興味深く展示などを見てきました。

ロンドンからワシントン

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2月8日の日曜日、羽田からロンドンへ。Chatham Houseで「Ageing and Health」のOpening Plenary Panelに登壇です。

Heathrow Express、なかなか快適で、便利です。初めて乗りました。この日のロンドンは快晴の日曜日、宿泊のFlemont Mayfair Hotelのあたりは、Green Park、Hyde Parkなど緑も多く、大勢の人が出ています。ちょっと散歩の後、ホテルのロビーでほかの方たちと翌日の打ち合わせ。夜は友人と近くのYe Grapesへ。

翌朝は、英国の友人のオフィスで朝食。そこからChatham Houseへ向かい、会議の始まりを待ちました。会議はなかなか良かったです。私は言いたいことを言い、特に認知症対策の大事さを伝え、英国政府の「G8 Dementia Summit」とその進め方の“本気度”について、高い評価をしていることを伝えました。いろいろな方にお会いできたし、良い会議でした。昼食の合間にChatham House 前の公園の筋向いに、Dr. Cheethamさん(1)のアパートをちょっとの間ですが訪ねました。彼も米国から朝に帰ったばかり。夕方からRoyal Society関係の会議があるようです。夜はLe Boudin Blancへ、前日のYe Grapesのすぐ横です。

翌朝、Heathrow空港へ。Washington DCへ向かいます。午後3時過ぎに到着しましたが、次のアポはちょっと遅れたので電話でキャンセル。Bethesdaのホテルへ直行。

翌日は、World Dementia Council12)の第4回会議と、午前がNIHで11月に日本で開催されたLegacy Eventの米国版の会議の第2日。日本からは厚労省、長寿センターなどから数人が参加。日本の「新オレンジプラン」のプレゼンがありました。午後は、ホテルに戻ってWorld Dementia Councilの第4回会議と、となりの部屋ではその関係の会議です。長い時間でしたが、有意義な意見交換と、3月のGenevaでの会議への総括の議論が続きました。

夜は、厚労省、大使館の方たち若手とねぎらいのディナー。翌日は早々に空港へ、Chicagoから帰国の途につき、13日午後に成田空港着。

6日間のTokyo – London – DCと「高齢社会と認知症」漬けでした。

バンコクでグローバルヘルス会議

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1月28日からBangkokへ向かいました。1992年から始まったPrince Mahidol Awards1)(MedicineとPublic Health)に伴って開催される会議です。今年の受賞者の一人はコレステロールの特効薬スタチンを発見した遠藤 章さんです。遠藤さんは日本賞、Lasker賞も受賞されています。私は授賞式には参加できず、お祝いの機会を逃してしまいましたが、とてもうれしいです。

授賞式に続いて、「PMAC 2015」(Prince Mahidol Award Conference)が開催されるのですが、今年のテーマは「Global Health Post-2015, Accelerating Equity」で、1日目には、武見敬三議員がUniversal Health Coverageについて、とても内容のある、力強い講演をされました。

私は2日目、会議の最後のPlenary Panel 3;「Global Health Financing – What Lies Ahead?」に、世界銀行のTim Evans、VietnamのMai Oanh Global、UCSFのHealth Sciences senior fellowのDean Jamisonと参加、司会はRockefeller財団のAriel Pablos-Mendesです。

会議では皆さんのお話がODA、WHO、国連、世界銀行などになりがちだったので、私は「Global」といっているのに、議論の単位が「国家」「国際」なっていること、今は世界の大変化の移行期であること、また「イノベーション」と皆さん言うけど、その定義はなんなのか?と問いかけ、「日本の企業+Gates財団+日本政府」の共同出資によるGHIT Fundを紹介しました。結構、受けていました。

夜は、タイの腎臓学会のリーダーたちとの会食。その後、久しぶりにお会いした杉下先生林さん、JICA 関係の方たちと合流、さらにそのあとは会場になったCentara Grand Hotelの最上階にあるRed Skyで話がさらに弾みました。

Bangkokはこの20数年、国際腎臓学会、JICAなどで何回も来ていますが、変わったところ、変わらないところ、いろいろ。でも活気がありました。

ダボス会議、私のメッセージ

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例年のダボス会議がいよいよ明日から始まります。私は今年も参加しないのですが、Japan Timesで応援のメッセージPDF)を送りました。

その他の方の記事はこちら

今年もジャパンナイトは賑わうことでしょうが、明日にはどこで何が起こるかわからない、極めて脆弱な世界のありようが、大きなテーマになるでしょう。

お知らせ

10月27日、福島市で開催された第3回原子力災害対策関係国赤十字社会議の様子が、赤十字原子力災害情報センター デジタルアーカイブに掲載されましたのでご紹介いたします。

私の基調講演の抄録(PDF)プレゼン資料(PDF)も公開されていますので、アクセスしてみてください。

 

第3回 原子力災害対策関係国赤十字会議 アーカイブ
http://ndrc.jrc.or.jp/3rgm/

基調講演ページ
http://ndrc.jrc.or.jp/special/3rgm-keynote/

認知症サミットの日本イベント Legacy Event Japan

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世界認知症委員会 World Dementia Council (WDC)1)が、昨年英国で開催されたG8 Summitで始まりました。これまでLondon、Paris、Londonと3回の委員会が開催され、Legacy Eventが6月にLondon、9月にOttawa、そして11月5~7日に日本で開催されました。

私もこの委員会の委員としていろいろな役割をしていますが、その一部は、開会式での挨拶をはじめ、いくつかのサイトや私のtwitterでも見ることができます。

1日目は、今までの英国政府の強力な決意と、さらにこの6ヵ月でLondon、Paris、Ottawaで5回の大きな会議とイベントがあったという経緯もあり、いくつもの活動の共有ができ、思った以上に盛り上がって嬉しいことでした。今回のホストの日本政府、厚生労働省の担当者も喜んでいました。

2日目には、塩崎大臣ばかりでなく、安倍総理も挨拶され、認知症については「省庁を超えた強いコミットメントを指示した」と言われていました。ついで、今回は欠席のWDCの特使EnvoyであるDennis Gillingsのビデオメッセージを私が紹介。英国首相の主任科学顧問で、旧知のMark Walport、WHO他の挨拶にはじまり、パネルが続きました。

この2日間の日本のイベントでは、関係者のプレゼンとパネルばかりでなく、認知症の方の参加もあり、参加各国の関係者の方々から大変高く評価されました。

3日目は東京、名古屋、京都での政府企画のイベントもありましたが、東京では私の主催するHGPIとOECDの、政府と独立した企業10社による街づくりやロボットの活用など、TEDスタイルのプレゼン企画も開催されました。これは大好評でした。

このような、多彩な関係者たちが、自発的に活動し参加することは、これからの時代、社会にとても大事な「社会的投資」として、これからはさらに重要な役割を担うでしょう。

英国政府はこの問題に強くコミットしており、英国大使館ではイベントと並行して、1日目に若者達による認知症ワークショップ、3日目には日英の製薬企業とベンチャーの「お見合い」を開催しました。私もこれらにもちょっと顔を出しました。

このような英国の政治の意志と、それを前進させる構想力と戦略立案、実行力には感心します。