「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その4

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宇田左近さんの著書「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」に書かせていただいた「解説」その4です。

【解説】異論を唱える義務―――私たち一人ひとりが「今」やらねばならないこと
元国会事故調査委員会委員長 黒川 清

4.海外からの高い評価

報告書に対する海外での評価は極めて高い。科学者団体として世界最大であり、国際的にも評価の高いAmerican Association for the Advancement of Science(この団体の活動の一つとして一流と評価の高い『Science』を毎週発行している)が、この私に2012年度の「Scientific Freedom and Responsibility Award」(註1)、また外交分野では評価の高い『Foreign Policy』誌が、私を「100 Top Global Thinkers 2012」(註2)に選出していることからも理解できよう。私が受賞者といっても、国会事故調チームを代表して受賞しているのは言うまでもない。特に後者の選考の理由という「For daring to tell a complacent country that groupthink can kill」にいたく感動したことを今でも覚えている。

また、この1年半あまり、海外の関係者からの会見、懇談等の要請、講演の招聘も多くある。私はできるだけお受けするようにしている。何しろ福島第一原子力発電所事故と、その対応は世界中の注目を集めていることであり、国会事故調の報告とその意味の理解を広めることは、日本国の信頼の構築にとって、極めて大事なプロセスと認識しているからだ。
特に海外の原子力関係者からの依頼、また大事故に対する危機管理に関係する方面からの面会、講演の依頼も多い。世界はこの大事故から学ぼうとしているのだ。残念ながら、彼らの多くから、日本の当事者(政府、官僚、東電、産業界、学会の責任者)たちに事故の根源的な原因を問うても、彼らにとって理解できるような回答がもらえないという不満をよく聞く。

海外や国際的な会合などで、「国会事故調」という委員会が「日本の憲政史上初」(註3)というと、多くの政府関係者や識者から「信じられない」と驚かれることが多い。英国では政府として重要な課題については、年に数本の独立委員会が設置されている。特にBSE(狂牛病)事件(註4)では極めて透明性の高いEUの独立調査委員会等の報告と提言を採用しつつ、対策を講じ、BSEの出現から20年経過して、初めて英国の牛肉が輸出されるようになったのだ。政府の信用が失われた時の国家のとるべき姿を現している一例といえる。
米国では歴史的な背景もあって、主として科学アカデミーなどに年間100程度の独立調査委員会が政府、議会などからの委託によって設置されている。福島第一原子力発電所事故については、2012年8月から2年間の予定で、独立した調査委員会が設置されて、今年の6月頃に報告書が提出される予定である。
2011年の夏、ノルウェーの首都オスロでは、中央官庁のビルが爆破され、その2時間後、多くの人で賑わう避暑地で銃の乱射事件(註5)が起きた。同じ1人の兇漢の仕業だった。この大事件に際して、立法府は速やかに独立調査委員会を設置した。その1年にわたる報告書(註6)では、政府(行政府)の監督の不手際を厳しく指摘し、首相と内閣の責任が激しく追及されたという。2012年11月にノルウェー首相の来日の際には、特に私に面会したいとの要請があり、1時間ほどの対談の機会が持たれた。
また、米英仏他の国の関係者、原子力関係者とも面談等の機会は多い。事故の根源的原因及び背景にはなにがあるのか、この宇田さんの本はその解明へのヒントを与えてくれている。


1. http://www.aaas.org/news/releases/2012/1203kurokawa_award.shtml
https://kiyoshikurokawa.com/wp-content/uploads/typepad/aaasspeach.pdf (受賞の際の謝辞)
2. http://www.foreignpolicy.com/articles/2012/11/26/the_fp_100_global_thinkers?page=0,41#thinker63
3. 白井誠著『国会法』2013年、信山社。
4. http://en.wikipedia.org/wiki/Bovine_spongiform_encephalopathy
5. https://en.wikipedia.org/wiki/2011_Norway_attacks
6. https://en.wikipedia.org/wiki/Gj%C3%B8rv_Report_(2012)

→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その1
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その2
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その3
→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その4
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「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その3

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宇田左近さんの著書「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」に書かせていただいた「解説」その3です。

【解説】異論を唱える義務―――私たち一人ひとりが「今」やらねばならないこと
元国会事故調査委員会委員長 黒川 清

3.国会事故調チームづくり

何しろ国会事故調という委員会そのものが日本では初めてのことなので、正直にいって、組織の構築と運営などについて、大きな不安はあった。また、私を含めた10人の委員は国会で任命されているが、各委員の調査に協力する方たち、また多くのスタッフも、基本的には私の責任で集めなければならない。他に本業がある方も多く、日本で6ヶ月だけ国会の仕事をフルタイムで手伝える人などなかなかいない。
そして、特に調査をまとめる責任者(調査統括)を見つけることは大きな「カギ」だった。

委員はそれぞれ意見を持っていても、そのままでは報告書にならない。委員の調査を踏まえつつ、調査の全体を指揮し、まとめる調査統括、極めて有能な「プロジェクトマネージャー」が必要だと考えていたからだ。それには「プロジェクトマネージャー」としての経験、能力は言うまでもないが、この国会事故調の意味を直感的に理解し、共感する価値観も必要だ。

これを誰にお願いするか、誰なら受けてくれるか。数人の人物が頭に浮かんだが、「これを任せられるのは宇田左近さんしかいないな」と思った。彼は、郵政改革など多くの政府組織改革で活躍していたし、一緒に仕事をしたことはないが、個人的には知っていた。
そして、携帯電話で15分ほど話しているうちに、受けてくれることになった。「これで国会事故調はいけるかも」と、とてもうれしかったのを覚えている。その後、数回打ち合わせを繰り返し、12月8日、辞令の日を迎えることになる。

予想通り、宇田調査統括は私の持っている基本姿勢について、説明しなくても共有していた。これはチーム運営に決定的に大事なことである。何しろ、この「憲政史上初」のプロジェクトは、もちろん前例はなく、時限の議員立法に書いてあることを、しかも「ほぼ6ヵ月」という限られた時間でまとめながら進め、報告書として提出するのだ。極めて高いプロジェクトマネジメント能力と、それをサポートするチームに参加する、能力あるスタッフの勧誘にも、多彩な人脈を持っていなくてはならない。

そして予測していたとおり、いくつもの困難が次から次へと発生したが、調査委員会の姿勢について、私と宇田さんの考えの基本がブレることはなかった。この国会事故調が皆さんにも、そして特に海外でも高く評価される成果を出せた大きな理由だ。
このようなチームの基本姿勢の「背骨」があればこそ、報告書には、その基本的な考えとして、「ファクト(事実)のみを記載する」「個人的な判断は可及的に避ける」「委員全体の署名を得る」などのいくつものステップをクリアしていくことができた。さらにこの報告書の基本姿勢によって、研究論文と同じように委員会とは独立した「査読(さどく)、ピアレヴュー」もしていただいたし、報告のプロセスも報告書も、多くの制限の中で、日本ばかりでなく、世界の専門家たちに「ピアレヴュー」をしてほしいという私たちの考えを反映したものとなった。

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「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その2

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宇田左近さんの著書「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」に書かせていただいた「解説」その2です。

【解説】異論を唱える義務―――私たち一人ひとりが「今」やらねばならないこと
元国会事故調査委員会委員長 黒川 清

2.国会事故調の根底を貫いた基本姿勢

ここで国会事故調の話に少し触れたい。
この委員会委員長の辞令を受けるにあたって、私の国会でのあいさつに運営の基本姿勢は示されている(註1)。私が委員長として、この「憲政史上初」という「国会事故調」をどう認識しているのか、国会という立法府、「国権の最高機関」から負託されたという事実の重みをどう捉え、どう実行していくのか――委員長の挨拶として、冒頭での「3分間」と最後の「2分間」で、国会議員、行政府の人たち、他の政府関係者、東電他の事故の関係者ばかりでなく、国会での辞令交付という最も重い「公」の場で、国民にも、各委員にも知っておいてもらうことが、極めて重要と考えていたからだ(何しろ委員の皆さんといろいろ議論している時間の余裕さえもなかったのだ)。

国会での辞令交付の時に私は、「国民」「未来」「世界」という3つのキーワードを共有し、「国民の、国民による、国民のための委員会」「過ちから学ぶ未来に向けた提言」「この事故を世界と共有する責任」、この3つの基本原則にのっとって、6か月にわたる活動をする旨述べた。

そして、当日最後の委員長挨拶で以下の要旨を述べた。

「今日は12月8日、真珠湾攻撃70周年の日である。毎年8月、太平洋戦争を経験し、生き残った方々の証言等について特集した番組がテレビで放送される。そこでは、その時々の責任ある立場の人たちの『わかっていたけれども言えなかった』という趣旨の発言が繰り返し出てくる。
この福島第一原子力発電所事故に際しても、元○○という肩書の方の発言が収録された特集番組がテレビ等で放送されている。そのコメントについて多くの国民が、『太平洋戦争に関する証言』とよく似ている、と直感的に感じていると思う。日本の責任ある立場の人たちは、また同じことを繰り返している、失敗から学んでいないのか、と。このことを考えてみたい」

註1.
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_kaigiroku.nsf/html/kaigiroku/025117920111208003.htm
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php?ex=VL&deli_id=41488&media_type= (両院議連合同協議会)

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「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その1

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今年5月26日付のブログで、「国会事故調」の調査統括を担当してくれた宇田左近さんの著わした「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」を紹介しました。

最後の20ページに、私も「解説」を書かせていただきました。
この私の「解説」の部分を出版社の許可もいただいたので、みなさんと共有します。

【解説】異論を唱える義務―――私たち一人ひとりが「今」やらねばならないこと
元国会事故調査委員会委員長 黒川 清

宇田さんの本のメッセージ

福島第一原子力発電所事故は、チェルノブイリ原子力発電所事故と並ぶほどの原発の歴史上、未曽有の大事故である。この事故については、数多くの調査報告や研究成果が国内外で発表されている。あの事故以来の東京電力や日本政府の対応はどうだろうか。本当のところ、国民の皆さんも「今、何が起こっているのか」「東電は、政府は何をしているのか」と疑問に思っていることだろう。

特に、その後の汚染漏れなどの事故を見ても、東電、政府の計画性のなさ、対応のお粗末さ、あるいはその対応策選定プロセスの透明性の欠如にあきれている人も多いだろう。事実、世界各国の関係者の中では、懸念を表す識者はきわめて多く、また世界の主要メディアによる、東電、政府などの関係者の対応の計画性のなさ、無責任さに関する報道は多い。

ではどうしたらよいのか。ここを考える必要がある。歴史的な大事故なのだから、前例もなく、対応への方策が見えないのみ理解できる。批判していても物事は解決しない。ではどうすればよいのか。ここが智恵の出しどころだ。

コンサルタントとして企業変革を支援してきた本書の著者である宇田左近さんは、郵政改革を契機に、組織の中に飛び込んで、いくつもの改革に携わってきた。この本では、郵政民営化における組織変革を推進する中で、また国会事故調の調査統括として調査活動を通じて見えてきた「マインドセット」問題について、日本人論ではなく、また、集団主義といった画一的な捉え方でもなく、宇田さんの本来の仕事である組織変革という視点から具体例を交えて浮き彫りにしている。

→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その1
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会津若松へ

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8月6日、会津若松に行ってきました。中学生1~3年生を対象にした「プラチナ未来人財育成塾@会津」に参加です。小宮山宏前東京大学長の主宰する企画の一つです。

郡山駅から車で会津へ向かう途中、私が子供のころ疎開していたところ、磐越西線の関都駅の南、もちろんすっかり様子が変わっていて、何が何だかわからない金田金曲(かねだかねまがり)のあたりを横に眺め、むかし遊びに来た天神浜に立ち寄り、次に猪苗代の野口英世の生家を訪問しました。

会場は何度か来たことのある大学のキャンパスです。集まっている大部分は、中学生ですから1999年以降に生まれているのですね。もの心ついたころから、世界は大きな変化を始めているのです。

私の前に講演をされた御手洗瑞子さんの話は、終わりの部分しか聞くことができませんでしたが、私の話と多くの共通点があったように思いました(間違っていたらごめんなさい)。みなさん、元気に質問もたくさん。いいですね。

終わってからは、御手洗さんと私のいるステージの上に多くの生徒さんたちが集まり、写真、握手、そして記念撮影、楽しい時間でした。

終わって、会津藩の有名な「日新館」1)を、閉館時間を過ぎていたのですが、しばらく案内していただきました。大いに尊敬する山川健次郎先生1)の像(2004年に建立)が立っています。日新館はなんとなく湯島聖堂とも似ていますし、同じく孔子の像が祭ってあります。今の時代から想像しても、本当に素晴らしい学校です。

その後、国会事故調の委員だった蜂須賀さんと久しぶりにお会いしました。まだ仮設住宅にお住まいです。

福島原発のあった大熊町から多くの方が会津若松に避難されています。今でも、大熊町役場はここにあります。福島原発事故直後、大熊町から避難した方々がしばらく過ごしたビジネスホテルの上にあるレストランで、支配人ともお会いし、お刺身、てんぷらなどをつまみながら、蜂須賀さんとしばしの時間を過ごしました。

福島原発事故で避難されている方たち、本当にお気の毒な状況です。

「プロメテウスの罠」

朝日新聞朝刊の連載「プロメテウスの罠」は、この新聞社の特別報道部によるもので、福島原発事故から数か月たった2011年10月から始まった連載です。その後もこの連載は延々と続き、シリーズは51を数えます。いくかのシリーズ終了後に単行本としても発刊、最近では第7巻が発売されました。

この第1,000回を迎えて、朝日新聞に1ページの記事が掲載されました。そこに私と加藤登紀子さんのインタビューが出ています。

福島原発事故は、世界を驚愕させた大事故です。大災害に起因したとはいえ、背景には日本の「政・産・官、メディア、学者」も巻き込んだ政治の統治機構の欠陥があった大事故です。

私がこのシリーズを評価した点は、新聞としての本来のスタンスに立っていることです。つまり取材された人、記事を書いた人とも実名で、記者の視点に任せて、連載の回数を決めずに書かれているところ、などです。

多くのみなさんとも共有できる視点ではないか、と思います。

ニュースリリース

このブログでも何度か紹介している朝河貫一先生123)について、3人の福島出身の方々が「100年前からの警告-福島原発事故と朝河寛一-」という書籍を花伝社から出版されました。

私もこの本のオビを書かせていただいたのですが、2014年5月21日の福島民報に紹介記事が掲載されましたので、皆さんにお知らせします。

いまこそ是非、皆さんに手に取って読んでいただきたい1冊です。

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ニュースリリース

5月27日に国会事故調査委員会調査統括の宇田さんと一緒に福島県二本松市を訪問し、新野市長と面談した記事が福島民友に掲載されました。

また、宇田さんの著書「なぜ、『異論』の出ない組織は間違うのか」について、福島民友に紹介記事が掲載されました。

※書籍紹介が以下に掲載されました。

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「異論」を言うこと、言わせること

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“日本の憲政史上初めて”として立法府に設立された国会事故調(2011.12.08 – 2012.07.05)ですが、報告書を国会両院議長に提出後の状況を見ていると、世界では高い評価の一方で、日本では「不都合な真実」とでもいうか、ほぼ「無視」の状況です。

一方で若者たちの自発的な活動もあることは、最近のこのブログでもコメントしています。

この国会事故調の「調査統轄」を引き受けてくれた宇田左近さんの著、「なぜ「異論」の出ない組織は間違うか」1)が出版されました。

その本の最後に、「解説」として、日本の組織、統治などの課題について20ページほど書かせてもらいました。

この本は国会事故調の話ではなくて、日本の組織運営の課題に共通する問題点、集団思考「グループシンク:Groupthink」、責任の在り方「アカウンタビリティ:Accountability」などが、いかに大事な要素なのかを解説している著書です。

皆さんにも参考になることも多いと思いますので、読んでいただけるとうれしいです。

「自由と正義」2014年4月号

元国会事故調委員の櫻井弁護士、総務統括宇都宮弁護士他の方々の「国会事故調」についての論文が、日本弁護士連合会の機関誌「自由と正義」に掲載されました。

「元委員が振り返る国会事故調」
櫻井正史

「国会事故調の事務局運営とリスク管理」
宇都宮純子

「国会事故調における調査活動の統括とプロジェクトマネジメント」
松澤香、高橋尚子

「国会事故調における弁護士の調査活動」
渋谷卓司、芝 昭彦、藤戸久寿、美﨑貴子