京都のSTS Forum、広がる世界、山中さんのノーベル賞など

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STS Forum1)では、例年のことですが、たくさんの友人に再会し、新しい知人もできます。

私は前日午後に開催された「EU-Japan」で国会事故調の成果と意味について講演、趣旨、内容、意義について話しましたが、皆さんとても喜んでくれました。特に世界各国の原子力発電事業者連合 WANO (World Association of Nuclear Operators)のLauren Stricker会長がとても大事な報告だ、大変参考になる、とコメントしてくれました。

夜はフランスの高等教育大臣Genevieve Fioraso さんを迎えてMasset駐日フランス大使はじめとしたフランス関係者20名ほどのディナーにお招きを受け、大臣とWANOのStricker会長に挟まれた「一等席」に座ることになっていました。ありがたいことです。しかも初めに挨拶もするように頼まれました。フランスの関係者の私たちの国会事故調の認識であり、評価ともいえます。

STS Forumの公式プログラム第1日目はいくつかのPlenary Panelがあり、みな素晴らしものでした。フクシマ原発問題があったのでエネルギーは注目の案件です。

Global HealthではiPSの京都大学の山中伸弥さん もパネルに。司会者はKarolinska Instituteの学長のHarriet Wallberg-Henrikssonです。 翌日の夜のレセプションの始まる時に山中さんノーベル賞受賞の発表とは、予測はしていた人も多かったでしょうしょうけど、素晴らしいことでした。もちろん山中さんはその場にはいませんでしたけど。

第2日、出席できなくなった方がいて、代理で私が「Capacity Building」のセッションの司会を任されました。場所の設定、パネリストの背景、どの程度の人が参加してくれるのか、いろいろ考えながら、その場でかなり違ったやり方を工夫して運営しました。皆さんとてもハッピーで、「よかった、、」という実感で過ごせたようでした。しかし、皆さんそれぞれが違う背景で、違う課題を持っているので、この辺が苦労するところです。ケニアの科学技術担当大臣ほかの関係者も何人かおられたので、私が数年前に訪問したNairobiのKiberaスラムのOlympic Schoolについてもちょっと触れ、私が今月の22日からナイロビへ行く予定であることもお話ししました。「ぜひ、、」と言って頂きましたが、その時にお会いできるかもしれませんね。

いろいろな機会に人との出会いが、大きく変わりながら広がる世界とどうつながっていくのか、そういう意味でもこのような機会はとても貴重です。

 

国会事故調 ‐9: 活動は続く、Swedenの視察団、取材記事など

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 国会事故調の報告書は「たなざらし」という意見、報道が多く聞かれます。

国会議員さんたちは、解散・選挙でそれどころではない様子ですし、竹島、尖閣などと、周辺国とのいざこざで、政府の対応も容易ではないでしょう。日本のことなどどうあっても世界はどんどん動いています。

先見を持ってしっかりと政府をリードしていく政治家、また官僚たちにもそれなりの責任感と覚悟があるはずとは思いますが、あまり感じられません、と多くの人が感じているのではと思います。

一方で、私たちの国会事故調報告書は、出版もされ書店でも販売され、アマゾンなどネットでも購入できます。より広く読まれる(全部ではなくてよいのですよ、、、)ことになるでしょう。

一方で、私たち委員、調査担当の方たちも機会をとらえて、国会事故調の意義、経過、報告書の骨格、これから国民の皆さんにしてほしいこと、などについて、広く知っていただけるよう、機会をとらえては(といっても限りがありますが、、、)講演会、テレビ、新聞などのインタビューなどにも対応しています。

岩波書店の「科学」にも、国会事故調の民主制度での私の意見が出ています。読んでいただけると、とてもうれしいです。

経済同友会、二本松での講演会などについても報告しました。このサイトの「記事・講演録の一覧」を見ていただけると、そのような活動の一部(他の記事などは「有料でないと掲載できない」とか、いろいろあるのです)をご覧にいただけます。このサイトでも8月16日のポスト以来、いくつもの報告をしています。

最近ではSweden大使館東北被災地のKamedo視察団(Topの写真はこの会見の時のものです)、再度の福島での講演、またいくつもの取材記事もあります。

皆さんと一緒に「国会事故調」を考え、一人ひとりに何ができるのか、これを考えながら、日本を変えていきたいですね。

 

「強さ」と「弱さ」を認識する、日本は変われるのか

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3.11から1年半がたちました。

あの大災害で世界が見たものは、巨大津波で多くの親族を失い、生活をすっかり失ってしまったとてつもない被害にあった人たちが、大きな悲しみの中で黙々として、大きな騒動もなく、自分たちで助け合う美しい姿でした。

福島原発事故でも、「フクシマ50」と言われたような現場の人たちの、自己犠牲の献身的な活躍に、ある種の感動を共有したのでは、と思います。

でも、あの大事件から1年半の時間がたって日本には何か変化の兆しが見えているのでしょうか?

私は、国会事故調の始まるチョット前の12月1日に、一緒に仕事をしているHiromi MurakamiさんとJapan Timesに、 "Fukushima crisis fueling the third opening of Japan"という意見を投稿しました。ちょうどTTPが話題になっていた頃でした。「日本の第3の開国はボトムアップからだ」というタイトルです。3.11をきっかけに多くの若者たちが新しい社会構築に活躍をはじめていますが、これらが新しい日本の、「第3の開国」のきっかけになってほしい、という期待です。国全体としては、世界が変化しても、いろいろな利害関係者との利害が複雑に絡まって、TTPや近隣諸国との関係などについての、国の政策がほとんど動かなくなっているからです。

日本の政産官などのリーダーのひどい有様は「3.11」ですっかり世界に知られてしまい、国家の信用は大きく損なわれてしまいました。

このタイトル「Third Opening of Japan」が何人かの目を引いて、3.11の1周年にあたる今年の3月11日に出版されたReconstructing 3.11amazon) というeBook本に"History: Japan's third opening rises from black waters"(by Hiromi Mukrakami and Kiyoshi Kurokawa)というエッセイを掲載していただきました。

しかし、大災害から1年半がたち、復興へ向けて、特にフクシマでは何が起こっているのでしょうか?この日本人の辛抱強さなどが、大きなうねりとなって動き始めているのでしょうか?却って、福島、岩手などの現地で黙々と日常的に働いている方たちを見ると胸が痛みます。政治も、行政も、この多くの被害にあわれた方々の、あきらめにも似た従順性を利用している、というか、少々甘く見て、対策が遅れているのではないかと思えるこの頃です。

そんな時に同じような意見がNew York Timesにも掲載されていました。日本語は「変わり始めた日本人」ですが、英語では“In Fukushima, Surreal Serenity”として掲載されています。クミコ・マキハラさんの記事です。

毎週金曜日午後6時の官邸前での粛々とした「反原発デモ」は、従来と違った自発的な行動のようですが、このような権力に対する意見が目に見える形で出始めたのは、日本人がちょっと変わり始めている一つの証左かもしれません。

しかし、メディアの報道などを見ていても、政治の世界は相も変わらず小粒の権力闘争ばかりで、国家の行方も見えず、変わり映えがしません。政治の力の弱いことをよいことに、各役所は自分たちの「仕事(というか利権の維持)」を粛々と進めながら、何も変えようとしない、既存勢力の恐ろしいほどの抵抗が、変わる世界の情勢の中で、「変われない日本」「漂流する日本」の底流にあるように見えます。

なぜでしょう、どうしたらよいのでしょう。

それは、マキハラさんの記事の最後にあるように、「この国が現在取り組まなければならない難しい課題、それは賞賛に値する日本の人々の忍耐力はそのままに、国家や組織に対する健全な批判精神をどう育てていくか、という事…」なのでしょう。

 

国会事故調 ‐8: FACTAの記事、2つ

FACTAといえば、政治、経済、産業界等に対して素晴らしい切込みで知られた、いわゆる質の高い月刊誌だと思います。

去年の夏にはオリンパスの問題を取材掲載していたところで、この記事から社長が突然解雇され、あの大問題が起こる発端になったことでも知られています。

この編集長の宮嶋さんは、私たち国会事故調が始まってからほとんどすべての委員会に出席されて、鋭い質問を浴びせるので、私もどうなるかとチョット心配をしていました。

でもずいぶんと私たちの活動を応援してくださっていることは、次第にわかり始めました。報告書が出た後、2回ほどこの国会事故調関係の記事を掲載してくれました。

第1回は、10月号に掲載された民主党の荒井 聰議員と私の対談、そして11月号にはこの事故調の調査統括を引き受け、この委員会の推進に中心的な役割を果たしてくれた宇田左近さんの特別寄稿PDF)です。

いつも本質をついてくる宮嶋さんらしい企画として取り上げていただき、うれしかったです。特に宇田さんの特別寄稿は、国会事故調の中の経緯を書き取って、私たち委員の一人一人が知らないところも多く、とても緊張感のあるいい記事になっていると思います。

宇田さんと、彼とこの「大事業」を動かしてくれた人たちみんなに、委員を代表して本当にありがとう。

 

国会事故調 -7: メディアの反応

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国会事故調査報告書を発表したとき、メディアの反応は否定的ではなくとも、褒める事のない事は予測していました。それがメディアの特徴だからです。

特に同時に発表した日本語版の「要約」と、英語での「Executive
Summary」の最初の部分が「同じでない」、しかも英語では「日本文化のせい」というフレーズがいくつかのメディアで批判されました。

海外ではThe GuardianFinancial Timesへの投稿で「文化のせいにすると責任を問えない」などと批判されました。

しかし、この「要約」と「Executive Summary」はほぼ同じページ数ですが、内容は違います。

海外メディアでも評価されるコメントは多いようです。

例えばCNNのコメント等です。

http://edition.cnn.com/2012/07/06/opinion/takeshita-fukushima-management/index.html

http://www.pbs.org/newshour/bb/world/july-dec12/fukushima_07-05.html

http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-18718486

特にこのDr. Chackoの記事はよく分析しています。何しろDr. Chackoは、私のことを良く知っていますから。

http://www.huffingtonpost.ca/sunil-chacko/safety-metrics-made-in-ja_b_1680670.html

メディアもいろいろです。海外でも多くの報道がなされました。

 

国会事故調報告書が一般書店で発売開始

すでにお知らせしたように、福島原発の事故から丁度1年6ヵ月の9月11日に、私たちの国会事故調報告書が徳間書店から発売されました。税込で1,680円です。

お近くの書店でもお求めになれるのではないかと思いますが、そうでない時にはアマゾンでもお求めになれます。

皆さんに広く読んでいただき、いろいろご批判もいただきながら、みなさん一人ひとりが、自分たちの選ぶ国会議員に、報告書の「7つの提言」の実現へ協力するつもりなのか、この点を問いかけましょう。

次の選挙でも、この点を問いかけ誰に投票するのか、自分でしっかり考えて行動しましょう。

この行動が、皆さん国民が選ぶ国会議員が、立法府で活躍する大事な仕事の一つだと思います。

そうすることで、政府を、役所を、国民の皆さんがチェックできるのです。

 

国会事故調 -6

私たちの事故調の報告書を国会に提出してから、いろいろなメディアや団体からもお招きをうけています。

先日の二本松市での講演会でもご覧になれますが、それに前後して経済同友会、また、週刊朝日でのパネルなどがご覧になれます。

経済同友会 → http://www.youtube.com/watch?v=mxDyLYHaUFo

週刊朝日 → http://www.ustream.tv/recorded/24905585

週刊朝日は私たちの委員会にもよく出ておられ、また福島についての本も書いている今西さんも参加で、関西弁の入る軽めのノリのセッションになりましたが、いくつかの本音も出て良かったです。

両方ともちょっと長めですが、お時間のある時などにご覧いただけると嬉しいです。

国民が選挙で選ぶ国会議員へ、私たちの提言の実現への圧力となるといいのですが、、。

 

国会事故調 -5: 事故調査委員会の始まりの頃の「意外な」応援メッセージ

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国会事故調は、何しろ「憲政史上初」ですから、立ち上げの頃には特にいろいろと苦労しました。

第1回が福島で12月18、19日。第2回は、1ヶ月もたった1月16日なのですから、当時の私たちが見えない先を模索している苦悩もご理解いただけると思います。

その第2回に参加していた英国のThe Economistの記者が、意外なこと(と言ってもこれは私たち事故調の狙いの一つだったのですが、、)を書いてくれました。

“Japan's nuclear crisis; The Meltdown and the media”という何とも刺激的なタイトルです。書いたのは、イニシャルからも第2回に出席していたKen Cukierさんですね。しかも同じ日付けという早業です。

世界に悪評の高い日本メディアの「記者クラブ」についてですが、私たちの委員会もそれを十分に意識して、委員会を誰にでも公開していたのです。しかも英語の同時通訳をつけて。世界にも見ていて貰いたいからです。

この点を的確に、タイムリーに書いてくれたので、私はとても嬉しかったです。

このサイトでも何回か書いていますが(12、他にもいくつもあると思います、このサイトの中で 'search' してみてください)、The Economist は私の好きな週刊誌です。

目のつけどころが「さすが」と思ったことでした。

Ken さん、ありがとう、ちょっと遅くなったけど。

 

国会事故調 -4: 報告書が一般書店で発売へ

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私達の国会事故調の報告書は、国会で衆参両院議長に提出とともに、ウェブ上に掲載されました。

しかし、その内容の量が大きいので、多くの方達が読むのに不便であり、この内容を広く知っていただくのは難しいと感じています。

しかし、朗報です。

国会事故調査委員会報告書が徳間書店から出版されることになりました。

事故が起こってから1年半の来週9月11日に多くの書店で買い求めることができます。またAmazonからも注文できます。税込で1680円です。参考資料、委員会議事録はCD-ROMで付けてあります。

ぜひ皆さんも、この報告書に目を通し、事実に立脚する内容、そこからの「立法府への7つ提言」として、これらを生かすことへの行動を考えていただけると嬉しいです。

また一歩前進です。

 

国会事故調 -3: 二本松へ

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28日は福島二本松にきました。ここは浪江町の方々と町役場も引っ越してきていて、国会事故調でもタウンミーテイングを開催したところです。

ここへの訪問は特別な理由があるのです。それは国会事故調の報告書の「はじめに」 (p. 5, 6)で、私が二本松出身の歴史学者、米国エール大学教授(米国で教授職に就いた初めての日本人)である朝河貫一の著になる「日本の禍機」を紹介したことです。これに対していくつかの反応があり、その一人が私の友人でもある二本松出身のセブン銀行の安斎会長で、この講演会となったのです。

国会事故調の調査統括の宇田さんのお家も二本松藩の武家です。二本松は戊辰戦争でひどい目にあっているのです。

少々早めに二本松へ、安斎さん、宇田さん、事故調広報担当の森さんと二本松市長にご挨拶。三保市長からいろいろお話を伺い、意見交換。そのあと安斎さんの生家のあたり、二本松城址、高村智恵子の生家、朝河貫一の生家の跡などを訪ねました。

夜7時から市民会館(ここで国会事故調のタウンミーテイングの一つを開催しました)で私と宇田さんとの講演会を開催して頂きました。バスでもこられた方々も多く(道が混むだろうと、あらかじめ市の方で多くのバスを手配してくださったようです)1200人の会場は立ち見の方もいるほどいっぱい、会場に入れない方には別の部屋でテレビで見ていただいたそうです。三保市長と安斎会長のご挨拶が10分、そこから私と宇田さんの話が始まりました。皆さんとても熱心に聞いてくださり、たくさんの質問もあり、予定の時間を超えて2時間弱の熱い講演会となりました。

夜は、近くの岳(だけ)温泉のあづま館へ。ここは宇田さんのご親戚ということで、講演会のことと二本松とみんなの不思議な縁とでも、さらに話が盛り上がり、充実した一日でした。

翌日に知ったことですが、この講演会はネットで見れるのです。サイトはここです。

こんなにも開かれた時代なのです。