科学新聞で紹介されました。

内閣特別顧問就任に関する記事が掲載されました。

黒川前学術会議会長 内閣特別顧問に就任 -「イノベーション25」に参画-

 黒川清前日本学術会議会長が内閣特別顧問に就任した。安倍総理が3日、官邸で辞令を手渡した。
黒川内閣特別顧問は、科学的な視点からの知見、世界の科学情勢や科学技術に関する情報提供など、科学に関する特命事項を担当する。また、総理の所信表明演説にある「イノベーション25」の策定に参画する。黒川内閣特別顧問は「寝耳に水のことで驚いている。全力で頑張っていきたい」と話す。

 約10年前、イギリスのブレア首相は、ロバート・メイ卿を主席科学顧問 に任命した。科学的知見が必要な政策課題についてアドバイスするだけでなく、ロイヤル・アカデミーと政府とを繋ぎ、イギリスの科学技術政策を牽引してきた。黒川内閣特別顧問には、メイ卿のように、日本学術会議と政府とをつなげ、研究者コミュニティと政府との良好な関係の構築と総理への科学技術政策のア ドバイスを期待したい。

 また政府は5日、内閣府にイノベーション25を策定するための特命室を設置した。室長には丸山剛政策統括官(科学技術政策担当)を起用。近く有識者委員会を設置し、来年2月までに2025年を見通したイノベーションで実現する社会の姿を描き、5~6月までにそのためのロードマップを策定する。高市早苗大臣は「国民の7割はイノベーションとは何なのか分からない。夢のある分かりやすい社会の姿を描いていきたい」という。

出典: 科学新聞 2006年(平成18年)10月13日(金) 第3116号 1面より

科学新聞(2006年10月13日)で紹介されました。

黒川前学術会議会長 内閣特別顧問に就任 -「イノベーション25」に参画-

黒川清前日本学術会議会長が内閣特別顧問に就任した。安倍総理が3日、官邸で辞令を手渡した。

黒川内閣特別顧問は、科学的な視点からの知見、世界の科学情勢や科学技術に関する情報提供など、科学に関する特命事項を担当する。また、総理の所信表明演説にある「イノベーション25」の策定に参画する。黒川内閣特別顧問は「寝耳に水のことで驚いている。全力で頑張っていきたい」と話す。

約10年前、イギリスのブレア首相は、ロバート・メイ卿を主席科学顧問 に任命した。科学的知見が必要な政策課題についてアドバイスするだけでなく、ロイヤル・アカデミーと政府とを繋ぎ、イギリスの科学技術政策を牽引してきた。黒川内閣特別顧問には、メイ卿のように、日本学術会議と政府とをつなげ、研究者コミュニティと政府との良好な関係の構築と総理への科学技術政策のア ドバイスを期待したい。

また政府は5日、内閣府にイノベーション25を策定するための特命室を設置した。室長には丸山剛政策統括官(科学技術政策担当)を起用。近く有識者委員会を設置し、来年2月までに2025年を見通したイノベーションで実現する社会の姿を描き、5~6月までにそのためのロードマップを策定する。高市早苗大臣は「国民の7割はイノベーションとは何なのか分からない。夢のある分かりやすい社会の姿を描いていきたい」という。

科学新聞 2006年(平成18年)10月13日(金) 第3116号1面より

笹川平和財団2005年度年報に座談会の内容が掲載されました。

笹川平和財団からの依頼で、「特集-日本のソフト・パワーの発信を考える-世界的課題の解決に向けて、日本に何ができるか」 というテーマで、産経新聞論説委員長/千野さん、デフタ・パートナーズ/原丈人さん、東京大学名誉教授/原洋之介先生と対談を行いました。

 日本のソフト・パワーの発信を考える

出典: 笹川平和財団 2005年度年報

読売ウィークリーで紹介されました。

読売ウィークリーで紹介されました。

医師不足で病棟閉鎖も・・・ 医局制の揺らぎで医療大混乱

「白い巨塔」の象徴とされた医局制度。教授を頂点とする権力構造は多くの弊善が批判され、医局を廃止する方向は世の趨勢といえる。しかし、その過濃期にあって現場の医療が混乱をきたじている。医師不足のため、満足な医療行為ができなくなる病院が続出しているのだ。(ジャーナリスト 上野 玲)

地域の有力病院で医師が足りなくなり、病棟の一部を閉鎖するという異常事態が、今年4月に起こった。千葉県の組合立国保成東病院で、勤務する内科医が開業や転職などのため、9人中7人が辞めてしまい、補充が難しくなったのだ。そのため、救急医療や、新規の入院受け入れを制限せざるを得なくなり、近隣の住民からは不安の声が上がった。「この病院には、これまで、千葉大学で研修した医師を紹介していたのですが、千葉大学としても、医師の不足により余裕がなくなって、要請に応えられなくなった」と、千葉大学医学部附属病院長・齋藤康教授は困惑した表情で説明する。だが、こうしたケースは、この病院だけではない。ここ数年、多くの地方病院が、医師不足で悲鳴を上げている現実がある。

「任意組織」にすぎない医局
その根底に横たわっているのは、徐々に表面化してきた医局制度の揺らぎである。明治時代に大学医学部が創設されて以来、連綿と続いてきた医局制度に何が起きているのか。
日本では、医学部を卒業して、医師免許を取ると、自動的に大学病院の医局に属する。それが当たり前のことだった。
この制度には法的な根拠はなく、「いわば各科の任意組織的な存在」(前出・齋藤病院長)に過ぎない。それにもかかわらず「教授を頂点としたピラミッド形式の人事体制を堅固につくつてきた。教授は絶対の権力を振るい、大学内の昇進や研究費の配分、そして関連病院への医師派遣の権限を握る。
当然、そうした独占的な形態は弊害を生みやすい。山崎豊子氏の小説『白い巨塔』は、その「象牙の塔」で繰り広げられる、生々しい医師たちの実態が描かれている。
最近になって、そのような患者不在の医療システムに対する批判が相次ぎ、医局制度を見直す大学が現れだした。青森県の弘前大学では、マスコミから不透明な資金流入を指摘され、2003年に医局制度を廃止した。その結果、大学内の透明度は高まった。だが、その一方で、「思わぬマイナス面もあった」と語るのは、弘前大学医学部の新川秀一教授だ。「かつては僻地への医師派遣は、講座や診療科の方針に従って行われていましたが、(医局制度がなくなった)今は、個人の意思を尊重しなければならず、僻地の医師確保が困難になっています。それは大学に残らず「大都市圏の病院に就職する医師が増えたから。この傾向は今後、ますます強くなっていくでしょう」
また、04年度から始まった医師臨床研修制度が、医師の大学離れに拍車をかけたと指摘する医師もいる。この制度は、出身大学にとらわれることなく、研修先の病院を、研修医が自己判断で選び、2年間にわたって各科を順番に回って研修するというもの。この制度の導入前に大学に残っていた研修医の割合が72・66%だったのに対して、導入後は5倍以下にまで減少してしまったという。
05年に厚生労働省が実施した研修医に対するアンケート調査でも、研修先の病院を決めた理由として、「症例が多い」として一般の稔合病院を選んだのが40・4%だったのに比べて、大学病院は18・9%にとどまっている。大学に残る研修医が減れば、地方病院へ派遣する余裕はなくなる。
もちろん、研修医が地方の総合病院を望めばいいのだが、「その希望は、患者数が多く、最先端医療を行っている大都市圏の有名病院に集中しています。大学病院や地方の平凡な病院は人気がなく、ここでも二極化が進んでいる」と、ある国立大学の医学部教授は、ため息を漏らす。
そうした研修医の意識が複雑に重なり合い、医師不足が各地で深刻化していると考えられる。

第三者機関の審議で医師を派遣
では、医局制度はこのまま、なし崩し的に消滅してしまうのだろうか。弘前大学だけでなく、群馬大学、東海大学などでも医局は廃止されており、その他の大学でも教授の意向を押しつけるような医局は減りつつある。元東海大学医学部長で、現在は日本学術会議会長の黒川清氏は、東海大学時代から、医局制度の見直しを唱えてきた。「社会背景の変化とともに、医師の養成システムも変わっていかなければならないが、同じ大学の空気しか吸っていない純粋培養は時代にそぐわず、多様な社会の要請に対応できない。医局にこだわらず、医師を他の大学や市中病院で育てて“混ぜる”ことにより、違う価値観、違う方法論を学び、知・心・技を備えた質の良い、順応性のある医師が生まれると思います。そのためには医学部教育を根本から変えていかなければいけない」
例えば、アメリカ、カナダのように4年間は一般の大学生と同じカリキュラムで勉強する。さらに、一度社会に出た人や、他大学の出身者も交ざって、4年間のメディカルスクールに進むのが、これからの方向だ。そして、その課程を修了した者には、医学博士の資格を授与する。就職先も出身大学だけではなく、募集のある大学や病院を自由に選ばせる。その後は、専門医、家庭医、研究医など多様なキャリアを目指すのがよいとされている。「このようなシステムによって、医師の(知・心・技という)普遍性が高まり、結果的に医学の質が上がるでしょう」(黒川氏)
こうした意見がある一方で、現行の医局制度を刷新したうえで残すべきだという意見もある。
山形大学医学部長の嘉山孝正教授は、医局制度の必要性を主張する代表的な人物だ。「山形大学でも旧弊な医局制度が残っていましたが、それを根本的に変えるシステムに取り組んできた。不透明な資金の流れは一切なくし、医師の派遣に関しても、民間人を含む第三者機関をつくり、そこで審議をして、県内の病院に適正配置するようにしたのです」
医局の長である教授の意向だけで医師派遣が行われる弊害を一掃したというのだ。医局制度の必要性については、「医師はいうなれば職人で、そのため徒弟制度的な部分が重要です。優秀な先輩の手技を若い医師が学んで成長していく―これがなくなってしまうと、マニュアル通りにしか診療ができない医師ばかりになってしまい、医療の質が下がってしまう危険性があります」(嘉山教授)。
医局制度の改革によって、山形大学医学部附属病院は患者の満足度全国一という快挙を達成した。「要は医局をどう運営していくかが問題。すべては医局の頂点に立つ教授次第です。その教授が素晴らしければ、医局はそのメリットを最大限に発揮するでしょうし、旧態依然の封建的運営しかできない教授の医局は自然淘汰されていくでしょうね」(嘉山教授)
医局をめぐる議論は、それぞれ一理あるように思える。少なくとも、山崎豊子氏が描いた「象牙の塔」は、もはや時代遅れだということはできるだろう。患者側の立場からいっても、冒頭に挙げた例のように、病院から医師がいなくなるという事態を招かないために、医局の変化が望まれるのは当然だ。

この先は、「読売ウイークリー(2006年6月4日号)を参照してください。

「今、なぜ、若者の理科離れか -科学者と社会との対話に向けて」が出版されました。

「今、なぜ、若者の理科離れか -科学者と社会との対話に向けて」が出版されました。

この書名に引かれて本書をひもとくと、「すべての子どもは科学者である。」という日本学術会議黒川清会長の発刊の辞がある。多くのものに「なぜ?」を連発しながら成長する子どもにとって、「理科」は面白く、好きな学科なのに、どうしてそれが理科離れを起こすのか、それは大人の理科離れ、科学離れを反映していると同会長は続ける。

理科離れはすでに各方面で叫ばれ、文部科学省も取り上げてきた問題であるが、前期(第19期)の日本学術会議では直接これに取り組むため、「若者の理科離れ問題特別委員会」(後に「若者の科学力増進特別委員会」と改称)が設置された。本特別委員会は積極的に調査と検討を重ね、公開講演会やシンポジウムを開催し、外国の現況も調査した。

本書はその活動報告であり、4部から成る。第1部は講演会「若者の科学力を増進する」で発表された6つの講演を載録している。それぞれ含蓄があるが、白川英樹氏(筑波大名誉教授)の「社会と理科離れ」、高橋真理子氏(朝日新聞論説委員)の「科学者へ望むこと」など考えさせられる。

第2部は、パネル討論「科学への理解と共感を深めるために」での司会者と9名のパネリストの意見交換が丁寧に収録されていて面白い。川合知二氏(阪大教授)や黒田玲子氏(東大教授)が科学をわかり易く伝えることおよびインタープリターの養成の必要性を訴え、本間典子氏(東大助手)がその実践例として大学院生による小学校でのリレー授業を紹介している。

第3部は、本特別委員会の委員10名が「科学への夢を育み、科学する心を育てる」という課題でそれぞれ意見を述べており、内容も充実している。著者名を省略して題目のみ列記すると以下の通りである。「理科教育から見えてくる日本の初等・中等教育の問題点」、「ポテンシャルを探ること」、「若者の科学する心の喪失」、「国民一人一人に科学する心を育てることから全てが始まる」、「情報の時代と科学教育」、「理系・文系科学の協力基盤」、「高等学校・大学の化学実験の現状で科(化)学力は育つか」、「工学屋の見た"理科離れ"」、「若者の科学力―宮城県における小学校理科教育調査からみた課題」、「砂上に楼閣を築くのか」。この中の「国民一人一人に・・」で、本田孔士氏(大阪赤十字病院院長)はわが国の科学ジャーナリズムの貧困さを厳しく断じている。また「砂上に楼閣を築くのか」は、有名な教育学者天野郁夫氏(東大名誉教授)の取りまとめ的議論である。

最後に第4部は、海外における理解増進と科学教育の展開と題し、欧州3国との学術交流ならびにアジア諸国の初等・中等教育における理科・数学教育の現状について述べている。

書籍というよりも報告書であり、かつ理路整然とせずやや寄せ集め的な感じもしないでもないが、本学会でも理科離れに関心を持つ会員も多かろうと察し、ここに紹介することにした。

前日本学術会議会員、原子力安全システム研究所・木村逸郎
日本原子力学会誌 Vol.48(2006)No.5 53ページより転載

Book06今、なぜ、若者の理科離れか -科学者と社会との対話に向けて
黒川清、北原和夫 他著、 A5版 275p. (2005/09)
学術会議叢書10、日本学術協力財団
ISBN: 4-939091-19-8
価格: 1,890円 (税込み)

ご購入のお申込はこちらから
日本学術協力財団

世界級キャリアのつくり方: 20代30代からの国際派プロフェッショナルのすすめ

石倉洋子さんと共著で、東洋経済新報社より「世界級キャリアのつくり方: 20代30代からの国際派プロフェッショナルのすすめ」を出版しました。

石倉さんは大学卒業後にフリーター、その後アメリカで経営戦略を学ばれ、私自身も、10年余をアメリカで独立した「個人」として他流試合にもまれながらキャリアを積んできました。日本の今後を背負う若い世代に「世界に通じるプロ」になってほしいという私たちの思いを、ダボス会議などの国際舞台で出会った世界級のプロフェッショナルな方々の話や、ささやかでも貴重な経験からの「カンドコロ」を語りつつ、具体的なアイディア、明日から使えるヒントとして示してみたものです。

最近では、書店、テレビ番組など、いろいろな場面で「プロ」「プロフェッショナル」という言葉を目、耳にするようになりました。どのような仕事をし、どこの組織に属するとしても、国境や業界の境界があいまいになり、世界全体が共通ルールで競う「フラットな世界」が登場しつつある今の時代、「プロフェッショナル」意識や倫理観、日本人としての誇りを持ち、同時に世界で一流の人々と自然体で「試合」をしていける人材の育成が課題だと思います。このサイト上でも種々発言していますが、この思いを伝える一助になればというのがこの本の背景です。

本書をベースに、セミナーの企画、ウェブなどを利用しての若者への働きかけという試みもスタートしています。是非一度、手にとって読んでみてください。

Sekaikyuu世界級キャリアのつくり方
-20代、30代からの“国際派”プロフェッショナルのすすめ

黒川 清,石倉 洋子 著、 単行本 255p. (2006/05)
東洋経済新報社
ISBN: 4-492-55559-5
価格: 1,575円 (税込み)