パリから、日本の広報意識の低さについて一言

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SloveniaからParisに来ました。素晴らしい町です。5月の初めにも来ましたが、ここは来るだけでうきうきします。しかし、ちょっと熱いですね、気温30度です。

日本国際問題研究所(JIIA)に、私の書いた記事“Challenges for Japan’s Scientific Community in the 2008 G8 Summit”が掲載されています(PDFはこちらから)

日本の政府は、国内、国外を通じて広報が下手で、とても損をしているということを指摘しています。なんでもお上頼みという意識がそんなことにしてまうのでしょうか。いや、民間企業や大学でも同じことですね。基本的に誰が責任を持っているのか、という意識が低いのでしょう。

3/13のブログ「Jeffrey SachsとMillennium Village Project」や、5/29のNews「住友化学の米倉社長とJ Sachs教授との日経での対談」などは、ささやかではありますが、世界で行われている日本の活動と貢献を広く皆さんに知ってもらいたい、みんなに自信を持ってもらいたいという、私の責任意識の表れなのです。

単に「モノをいわない」、「派手に自慢をしない」、「いずれ分かってくれる」というのはいいのですが、国の事業は国民のお金で行われている事ですし、もっともっと上品に、しかも効果的に、日常的にさりげなく伝えることが必要で、広報活動を戦略的に、上手に展開することは国家戦略として必須だと思います。もっとも、国民のお金であるという感覚が、責任者たちに欠けているところに大きな問題があります。対外広報戦略という意味では、日本人は不得手なのです。

長い間、「よらしむべし、知らしむべからず」が、日本の政府(「お上」)の精神的な基本方針でしたからね。最近の社会保険庁などの問題はその典型ではないでしょうか。人を馬鹿にするのにもほどがあります。政府のホームページを見ても、皆さんに見てもらう、読んでもらおう、なんて意識があるとはとても思えません。担当者にはいつも言っているのですが、やはり担当者では無理なのでしょう。基本的に役所は新しいことについては、できない理由ばかり言う人たちの集まりですから。

アメリカで最も偉大な大統領と多くの人が考えるLincoln大統領が、1861年に行ったスピーチの言葉、“Government of the People, Government by the People, and Government for the People”というのがありますが、この民主主義の基本精神は、今でも日本には定着していないと感じます。

皆さんはどのように考えますか?何ができるのかを考えて、すこしのことでも、ささやかでも、自分の周りから行動に移していくことです。