ボツワナから-3

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ボツワナからの写真はこちら; http://www.flickr.com/photos/whsaito/sets/72157623508216878/

ボツワナ2日目の25日の夜、Phakalane Golf Estate and Hotel Resortでレセプション。同行のGRIPSのWilliam Saitoさん、双日の多田さんのほかにも、日本大使館から大使はご不在でしたがKosaka公使、そして現地で活躍されているNHKの仲居さんも参加してくださいました。

26,27日は6つの省、ボツワナ大学、また4つの国立研究所と、この国の科学技術イノベーション政策あり方について会談、討議しました。皆さん熱心なのですが、やはりどうしてもそれぞれ自分たちの立場からの見方になってしまいます。大学も研究の重要性と政府の予算のことが中心になってしまうのですが、卒業するとどのような職があるのか、などの質問などにはなかなかすぐには答えられないところがあります。致し方ないところですが。

面白いことに、あちらのスケジュールで3つの省と一緒に会議をしたときのことですが、このようなスタイルはあちらでもなかなかないようで、後でずいぶん参考になったといわれました。どこでも役所には同じようなところがあります。

26日は昼にちょっと近くにある「Mokolodi Nature Reserve」 へいきました。野生の動物を見るのは、美しいし、いつも何かの感動をくれます。でもここは完全な開放された自然の中ではないので、ケニアのMasai MaraやタンザニアのSerengeti のような感動にはならないのは致し方ないですね。次回はもっと本格的な自然のなかへ行ける時間の余裕を持ちたいところです。Okavango DeltaKalahari砂漠Zanbezi川、またライオン、象などの動物の多さ等々、それこそがBotswanaの魅力ですから。

27日の午後はLobatse (ここにも Western Union (資料1) がありましたよ)にある JOGMEC (JOGMECに限らずいつものことですが、ウェブサイト何とかなりませんかね。もっと工夫ができると思います。)を訪問しました。衛星から資源調査をしているのです。現地で活躍している鈴木所長、沼田さん、ご苦労様です。この日は「Mokolodi Nature Reserve」を大きく回った形で、約200キロ、車での移動でした。

どこでも活発な議論ができて、とてもよかったと思います。日本との2国間、そしてさらに大きな枠組みで、どんな協力体制ができるか、これからの課題はたくさんあります。

ボツワナから-2; 国内外との送金、携帯とWestern Union

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ボツワナの写真はこちら;  http://www.flickr.com/photos/whsaito/sets/72157623508216878/

ボツワナはとても広い面積の国です。いろいろ話を聞いて見ると、携帯電話は広く普及していますし、皆さん共通言語は英語ですし、義務教育は全体にいきわたり、日本の高校一年まではほとんどが進学するようです。授業料は不要です。立派な国です。これらはこの国の強みです。

ところで、先日の「Western Union」 の件で、日本の鎖国政策がいかにひどいものかについて書きました。

これについていくつかご意見をいただきました。Vodafoneが中心になってKenyaと英国の間での携帯電話をつかった送金サービス が始まります。Kenyaでは「Safaricom」と いう通信会社が携帯電話での小額の送金を可能にしています。これこそが、多くのアフリカの国のような、交通、通信など社会インフラが十分に広がっていない国ではとても便利ですね。「Western Union」といっても銀行も窓口がなければなかなか送金は難しいでしょう。新しい「Demand-driven innovation」です。

このボツワナの国内の送金は携帯電話で簡単にすませるようです。Western Unionのオフィスを街中で見かけました。

アラブ首長国連邦のように海外からの労働力に大きく依存している国では、この母国の家族への送金は大事なビジネスになります。送金は、年に1兆円近くにもあるようで、より透明な形で携帯電話を通じた送金ができるようになるようです

日本の銀行では、このような小額送金を携帯電話などで簡単に利用できるようにするのに反対なのでしょうね。なぜでしょう、とても高額の手数料で結構大きな収入を上げているから反対なのでしょうか。このような大きなパラダイムを変える「Flattening世界」では、その変化に対して抵抗する企業は確実に どんどん衰弱します。しっかりしてください。

北朝鮮、イラン、ミヤンマー、ソマリア、そして日本の共通点は? 日本はやはり鎖国か

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Western Union という米国の会社があります。聞いたことがありますか?これは19世紀の中ごろにできた通信・金融事業会社で、創設者の一人がCornellさんで、この名前をつけた大学が有名なCornell 大学です。

かつては電報通信会社として有名でしたが、通信技術の発達とともに電信による送金サービスなどを始めています。いまや世界中にネットワークを広げ、お金を送るのにはとても便利なのです。いまや、世界どこに行ってもcredit cardが使えますし、小切手も送れますし、お金を送る必要も感じないでしょう。海外にいる家族や、海外から家族や友人に送金するのも大きな銀行で頼めます。ネット決済という手もあるでしょうが、個人レベルでどの程度できるでしょう、まあ先進国同士ではまだしも。

日本に働きに来ている外国人もたくさんいます。自分たちの国が貧しい人たちも多いでしょう。「出稼ぎ」ですね。その人たちはどうやってお金を家族に送っているのでしょう。この人たちが日本の銀行に簡単に口座を開けるでしょうか?地方ではどんな銀行があるでしょうか?海外へ送金してくれるでしょうか?

日本には結構な数の外国人労働者が仕事をしています。ハイクラスの方や大企業などの勤め人はそれほど問題ではないのでしょうけど、最近では介護の仕事でIndonesia、Philippineからも3年ほどを限度に日本で仕事できるようです。しかし、3年超えるまでに日本の国家資格試験に受ければ延長できるとか、しかも日本語ですよ、これはかなりハードルが高いですね、一種の嫌がらせ、ハラスメント、「鎖国のしるし」です。誰が反対しているのでしょうか?よく考えてください。

ところでこのような人たちは母国の家族にどのようにお金を送っているのでしょうか?このWestern Unionを使う人、使いたい人も多いと思います。Western Unionの窓口に行き、現金(と手数料―それほどひどい率ではない10%程度)を渡し、相手を指定し、手数料を払い、ある番号(Money Transfer Control Number- MTCN)をもらいます。この番号と送金額を相手に電話なりで教えるのです。受け取り相手は自分の身分証明書を持って、この番号を窓口で言うことによってこのお金を受け取ることができるのです。これは便利です。特に開発途上国へは便利です。

ところでWestern Unionは世界でその程度広がっているのでしょうか。それが、実はほとんどの国まで届いているのです。現在、Western Unionが開設されていない国は「イラン、北朝鮮、ソマリア、ミヤンマー」だけです、つまり米国と国交がないからでしょう。そしてもうひとつが「日本」なのです。日本の中で米軍基地にはありますが、日本人は使えません。いろいろ理屈を作って開設許可をしないのでしょうが、どんなものでしょうね。勘弁してくださいよ。

日本に仕事に来ている日人たちはどうやって母国の家族に送金しているのでしょう?いろいろなアングラの送金もあると聞きます。たぶん搾取されています。まずいですね。

トヨタ問題はトヨタ固有のものか?

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トヨタ車リコール問題は1月終わりから急激に広がりました。この問題はトヨタという日本を代表する、そして日本が世界に誇る、世界から高く信頼されている企業だからこそ、トヨタにとっても日本にとってもとても深刻な問題です。

トヨタ問題については、このカラムで2度も触れていますので資料1)、この辺で発言を控えておきたいところです。基本的には、従来型日本の「常識」を反映した「タテ社会」、「男社会」、「年功序列」、「横に動きにくい」、「終身雇用と大きな退職金」、「ものづくり信仰」などなどを背景にした日本大企業の課題が根底にあるのです。

この点について、Economist誌がその最新版で指摘 (資料)しています。フラット化するグロ-バル社会へ日本の対応の共通課題であり、私も繰り返し指摘していることですが。

トヨタばかりでなく、ほかの大企業もここに指摘される同じ問題を抱えています。

産業界も大変革のときです、がんばってください。政治にも大きな課題がありますが、産業界にも思い切った改革が必要です。「失われた30年」の始まりになるかもしれません。時間はあまりないと思います。

なんかヘンではないか、トヨタの対応

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トヨタの車は製品の品質による世界的知名度、市場規模からも、まさに日本を代表する大企業です。高品質、ハイブリッドの開発などで高い評価です。しかし、ここに来てヘンですね。

まず米国でトヨタの車にアクセル、さらにプリウスのブレーキなどの繰り返す事故、リコールへ発展しました。技術的な欠陥によるものらしいのですが、技術の日本、品質の日本だったのですし、この代表がトヨタということだったのですから、これは大変なことです。しかも、米国政府からのきつい言葉もありました。これも問題ですが、トヨタの対応がヘンだと思いませんか。

海外での報道の扱いは大きいようですが、それに比べると日本ではちょっと小さ過ぎるように思います。日本産業の信用の根幹を揺るがす問題ですから、新聞なども扱いにくいのでしょうか。日本の方たちにももっともっとこの問題について考えてほしいとこころです。

この問題は米国では2007年からのことですし欧州でも2年ほど前からこの問題は認識されていた、ということです。

最近、日本でも担当役員による記者会見がありました。テレビですから、前後の言葉は聞けませんが、ブレーキに関しては「お客様のブレーキに関する感覚が、、」と言ったので、私は「これはとてもまずい」、「言い訳」会見としか思えませんでした。まったくズレています。その後、2月5日には豊田章男社長が記者会見(社長の英語はよかったのですが、「本物のプロ」 -社内にはいないと思います- による原稿作成、指導が必要でした)をしました。どれもこれも後手、後手、しかもコメントが「受身、言い訳、お客様の感覚」等などなのです。これは、リスク対応では最悪と思います。

最近のことではないでしょうが、現場でも、社内でもあまりオープンにものが言えない雰囲気が醸成されてきていたのでしょうか。トヨタは「カイゼン」、「現場から」、「みんなが問題を洗い出し、解決策を見つける」、これが企業文化といううたい文句だったわけですから。

「事故」、「事件」のあったときの対応こそ、後になればなるほど、ダメージは大きくなります。「透明性、客観性、スピード、お客(被害者)志向」、これらはリスク対応の基本ですが、どうなっているのでしょう。

とてもとても心配です。

アラブ首長国、原子力発電は韓国の勝ち-その4

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今年1月に入ってこの報告シリーズを3回出しました。この背景と、これからの成長産業「クリーンエネルギー」を日本がどのように推進して行くのか、大いに参考になることが多いのでわざわざ書いているのです。

その第4報ですが、これは相手がどのような要望を提示していたのか、どのような点で韓国が評価されたのか、公開された資料、報道ですが、参考になると思います。「そんなことはこっちも知っていたよ」、「きれいごとばかりです」などといっているようでは、単なる負けたものの恨み節です。これでは、また負けますね。

この興味ある資料は英語ですが、読んでください。

謙虚に学ぶ姿勢、負けたときこそ学ぶ、勝った時こそ「勝って兜の緒を締めよ」、これが普遍的な知恵であり、大事なのです。これらの公表されたものから何を読み取るか、今までの3報に加えて何を学ぶのか、さらにどう対応するのか、情報を取るのか、人脈を作っていくのか、このあたりの日本の認識とあちらの認識のギャップをできるだけ埋める努力も大事です。UAEに限ったことではありませんが。

何しろ、UAEと石油契約の改定が2012年(UAEの石油輸出量の50%は日本向けで、これは日本の石油総輸入量の25%に相当し、従ってUAEとの関係は非常に重要)ですが、エネルギー獲得競争が激しくなるなか、競争相手はすでに、しっかりと動いているに違いありません。「油断大敵」、「おごる平家は久しからず」です。国民のためにも、関係者諸氏、しっかりお願いします。

石倉さんの「グローバル アジェンダ セミナー」

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このサイトに来てくださる方の多くは石倉洋子さんのことをご存知と思います。私と「世界級キャリアの作り方」という本も出ました。もっとも、彼女がもっぱらリードしてまとめてくれた本ですが。最近も「戦略シフト」という刺激的な本を出版しました。

私のこのサイトでもしばしば紹介していますし、このサイトも彼女の「blog」にリンクしています。時々たずねてください。とても刺激的だと思います。

石倉さんが主宰する「グローバル アジェンダ セミナー」 が毎月1回で、約1年にわたって開催されることになりました。私もお手伝いすることになり、その第1回に参加、お話しする機会をもつことができました。

メールで何回か打ち合わせ。50人プラスの参加者。参加者の「2/3」が20代、30代、しかも女性、男性が「50=50」、これは素敵です。英語で話すと決めて、当日、ちょっと緊張して皆さんに会いに行きました。

当日の様子は、石倉さんのサイト英語版はこちら)をご覧ください。

「ものづくり」と、相手を知った「ものがたり」の違い

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日本の「強さ」は何か。多くの方々が「ものづくり」、「技術」、「匠の技」などといいます。しかし、それだけでは需要を創る、顧客の心をつかみ財布の紐を緩める、新しい市場の開拓には不十分 です。これがグロ―バル時代の「新しい社会的価値の創造」、すなわち「イノベーション」なのです。このサイトでも繰り返し出てくるテーマ です。

さらに、これらの「ものづくり」、「技術」の強さは、アジアの成長がするなかで、アジアの人たちなかなかできない、できにくいことだとも思えません。

では、日本の「弱さ」はなにか?

特に「日米欧」からグローバル市場経済になったこの20年、グローバル世界への大変換です。そこで着眼、大きなビジョン、構想力、戦略と交渉、行動ができるのでしょうか。

相手を知り、顧客へ「ものがたり」を伝える力です。 顧客のニーズを知り、相手を知り、相手の立場で感じ取る力 (Ref.1)。

成長するグローバル社会で欧米諸国、アジア、ラテンアメリカ諸国などと比べて、日本の組織、その「リーダー」達の戦略と決断と実行のスピードはどうでしょうか?この辺が、今の日本の「弱さ」であることを認識し、しっかりコラボレーションのパートナーと組んで、目標へ、スピードをもって進むべきなのです。

1月8日の朝日新聞、朝刊の1面と3面に「日本のすぐれた技術とその課題」がくっきりと取り上げられ、3面には、左下に私のコメントの囲み記事も出ています。私のコメントは、このサイトでも以前から繰り返し指摘していることですが、このように大新聞にキチンと取り上げられるとうれしいです。一時的ではありますが、私のサイトとは、広がる範囲か桁違いに大きいですから。

アラブ首長国United Arab Emiratesの原子力発電は韓国の勝ち-その3

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第1,2報に続いて、いろいろ世界に話題になっている、韓国原子力の勝利ですが、海外、韓国、フランスの対応など、興味深いものがあります。

ところで、前回の2報の記事にあるアブダビの担当責任者「ムハマド王子」 とは「ムハンマド皇太子」、私もお会いしたことがありますが、話をお聞きしていて、とても聡明で思慮深い方であることは歴然です。このムハンマド皇太子が第2報の「#1」にも出てくる「向こうのトップ」ですね。

いつもながらのことですが、The Economist、また韓国の中央日報(日本語版)にもいくつかの動きが読めますし、世界トップであるフランスのショックはいかばかりか、報道 「France24」の「UAE nuclear deal: a French flop?」、さらには、今回の反省に立って、すでに 次の戦略を始めています。

朝鮮日報では、前回の報道にさらに続けて以下のような生々しい経過を伝えてくれます。見出しを抜き出しました。日本にとって参考になることが実に多いと思います。(Chosun Onlineの記事は1週間で見れなくなりますので、本文を資料として引用させて頂だき、ご紹介します)

原発輸出:逆転に次ぐ逆転、交渉の舞台裏(上)
原発輸出:逆転に次ぐ逆転、交渉の舞台裏(下)

原発輸出:UAEの次狙え、海外原発市場開拓で総力戦(上)
原発輸出:UAEの次狙え、海外原発市場開拓で総力戦(下)

原発輸出:「今回の受注でUAEと70年の兄弟に」
原発輸出:「韓国人特有の“やってみよう”精神に感銘」

第1,2報でも書きましたが、では、日本の対応はどうなのでしょうか?この3報で紹介した内容などをよく読んで、自分たちと比べ、考える。何事にも勝ち負けはあるのですから、謙虚に学ぶことが、次への第1歩です。

「トーナメント戦で優勝」(基本的には失敗しない人が上がってきた)した人と、「リーグで優勝」(負けから学びながら強くなった人が上がってきた)した人が組織の上に立つ違い(冨山和彦著の「指一本の執念が勝負を決める」 、「会社は頭から腐る」など(資料1))、こういう場面で出てくる、効いてくるのだ、と思います。若いときに本当の修羅場の経験がない人には、負けたときこそ学ぶ、成長するチャンスと考える、というベンチャー精神、アントレプレナー精神「出る杭」資料1)的な価値観がないのです。

バブル崩壊以後の20年間成長しなかった、「失われた20年」の日本にとって、2010年は正念場です。

アラブ首長国United Arab Emiratesの原子力発電は韓国の勝ち-その2

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原子力発電の国際入札で韓国の勝ちについて、私なりの現地のソースからはどんな受け止め方だったのでしょうか?大体、以下のようなものでした。

1. 「予想はしていましたがショックな結果です。あらゆる意味でSYSTEMの塊である原発プロジェクトを10%も安く韓国が提示、その信頼をかちえたことは日本の産業競争力の低下の現実でしょう。日本企業はPresentationで技術と機器の性能の高さばかりを強調、政府の安全管理、東電の操業能力にふれることもなくフランスの一体となった攻勢ときわだった違いがありました。この辺の認識の違い(技術信仰による「甘さ」)は、必ずしも発注側の期待とは整合していなかったようです(時間をかけた「個人的な人脈」つくりの軽視)。この辺の認識の違いについては、あちらのトップから日本のトップへアドバイスがあったほどだと聞いています。」

2. 「韓国は国全体でがんばりました。世界の変化の現実を知るには若いひとが海外にでていき、また外国の優れた人に来てもらう、これしかないかもしれません。私の会社もアブダビでメガプロジェクトを韓国企業に受注されました。日本の人材の国際化を図る、これが今後の経営の核と確信しています。」 

3. 「今回の受注は、韓電のみならず、他の分野(半導体、ICT, エネルギー(マスダール)、教育)においてもアブダビー韓国の協力強化にも結びつきました。」

4. 「今回の原子力協定のビッディングのポイントは以下の3点において、韓国が優れておりState of art の提案だったとの評価です。1) 競争的価格、2)完成までの時間が最短であること、3)原子力関係のUAE人材育成の支援、です。」

5. 「韓国の大統領は、状況に不安を抱いて11月中旬に大きなミッションを派遣し、その中枢には韓国の工科大学KAIST学長もはいっており、KUSTAR資料1)、 はUAE内で原子力のプログラムを提供する唯一の大学と指定されたわけです。今後は韓国から原子力の教員が着任し、学生もKAISTへ送り込まれるでしょう。」

6. 「韓国はアブダビが今、何を必要として、どのような協力を欲しているのか、相手の立場に立って考えていました。人材育成がアブダビにとって、サバイバルの課題だと理解していたのです。だから、皇太子の心を掴むことができたのです。皇太子と韓国の大統領は携帯電話でお互い連絡を取れる間柄だったようです(この辺については「その1」の朝鮮日報にある通りです)。」

7. 「また、「韓国は原子力発電に必要な部品をすべて国産で生産することができず、海外に受注せざるをえないのではないか、」という指摘には、韓国原子力研究院の梁明承(ヤン・ミョンスン)院長は「造船や半導体などでも部品の100%を国産化しているわけはなく、必要な技術は海外のものを使っている。重要なことは韓国が設計、施行、メンテナンスなどシステム全体を輸出する能力を持っているという事実だ」と述べました。」

8. 「日本が部品の特殊性能にこだわって、それを「ものづくり大国」として自画自賛している様子と対照的でした。」

9. 「韓国がいかに国単位で一丸となりアブダビに攻勢をかけたかの様子が分かります。このUAEでの受注で自信をつけて韓国は、次はトルコ、東南アジアのマーケットへと動き出しているそうです。李大統領はもともと建設会社出身者とあり、アブダビに提出する企画書にも注文をつけたり、練り直しに自ら参加していたようです。」

それに比べ、その頃日本のトップは政権交代で国内政治にあたふたしていて、格段の差があったのだろうと言い訳もできます。鳩山さんは去年暮れに、インド訪問、「日本はインドの原子力の協力をする」(誰の振り付けか、、)と発言したようですが、気が付くのが遅かったですね。この発言は、これからどう発展するのでしょうか。

インドでも日本に比べると、韓国ビジネスマン(資料1)の活躍は良く知られていますからね、日本のクリーンエネルギー技術などと言っていても油断はできませんよ。

今回のUAEの事例を政府も企業も共有し、敗因を分析し(野中郁次郎先生も繰り返し指摘しているところです、、)、次への計画をしっかり練る、行動する、これが一番大事なことです。だからこそ、あえてこのカラムを書いているのです。

時代は、基本的には「ものづくり」ではなく「ものがたり」なのです。そして、「Demand-driven」に転換しているのです。