2004年7月

NJC Solution Conference 2004 in Tokyo
日程: 2004年7月7日(水)
会場: 京王プラザホテル
演題: 「日本の課題」

第1回糖尿病関連疾患研究会
日程: 2004年7月8日(木)
会場: パレスホテル大宮
演題: 「糖尿病合併高血圧の治療が変わる」

宮崎高血圧講演会
日程: 2004年7月9日(金)
会場: 宮崎/ワールドコンベンションセンター
演題: 「糖尿病合併高血圧の治療が変わる」

宮崎県医師会講演会
日程: 2004年7月10日(土)
会場: 宮崎県医師会館
演題: 「日本の挑戦:21世紀の課題」

日本学術会議夏季公開後援会
日程: 2004年7月12日(月)
会場: 青森公立大学
演題: 「雪国の人たちの健康と医療」

第25回日本炎症・再生医学総会特別講演
日程: 2004年7月13日(火)
会場: 京王プラザホテル
演題: 「我が国の生命科学の現状と未来」

NJC Solution Conference 2004 in Osaka
日程: 2004年7月14日(水)
会場: ホテル日航大阪
演題: 「日本の課題」

第41回日本臨床分子医学会特別講演
日程: 2004年7月16日(金)
会場: 九州大学医学部100周年記念講堂
演題: 「Challenges and Opportunities in Life Science Research」

第14回実地医家の為の臨床内科懇話会
日程: 2004年7月17日(土)
会場: 宇都宮グランドホテル
演題: 「Healthcare Policy in Japan : Challenges and Opportunities」

財団法人化学物質評価研究機構研究発表会後援
日程: 2004年7月23日(金)
会場: 経団連会館14階 経団連ホール
演題: 「科学と社会:21世紀の日本の課題」

高血圧と糖尿病フォーラム(金沢)
日程: 2004年7月24日(土)
会場: ホテル日航金沢
演題: 「糖尿病合併高血圧の治療が変わる」

平成16年度総合薬科学諮問会議
日程: 2004年7月30日(金)
会場: 東京大学山上会館
演題: 「日本の大学、米国の大学」

腎研創立30周年記念式典及び新潟腎シンポジウム合同懇親会
日程: 2004年7月31日(土)
会場: 新潟大医学部有壬記念館2階大会議室にて
演題: 「日本の挑戦:21世紀の課題」

科学新聞で紹介されました。

科学者と社会の連携―地域活動に本腰を
-「科学・技術への理解と共感」テーマに学術会議が公開講演会-

社会との対話を進めていくことは、科学者の重要な責務-日本学術会議はこのほど、産学官の各界から講演者を招き、『科学・技術への理解と共感を醸成するために』をテーマに公開講演会を開催した。同会議は今春、『社会との対話に向けて』と題する声明(別掲)を発表、すべての科学者に子どもたちをはじめとするあらゆる人々を科学について語り合うこと呼び掛けているが、今回の講演会はその具体化に向けての第一歩を記すもの。文部科学省科学技術・学術政策局の有本健男・局長は「将来において記念すべき日となるだろう」と述べている。

主催者である学術会議からは黒川清・会長が講演し、「サイエンスに携わる人間は、社会の人達と"エンゲージ"しなくてはいけない。我々は、地域の人々と対話し、自分たちに何ができるのか、社会にサポートされている科学者が社会に対して何を還元できるのかを真剣に考えていく必要がある。研究室や大学などの外における社会への責任、とりわけ将来を担う子どもに責任を負うべきである。こうした活動の第一歩が、周りに伝播することによって、数年後には当たり前のことになっていれば素晴らしい」と述べた。

続いて講演した阿部博之・総合科学技術会議議員は「教育は啓発すること、若い頃受けた影響は大きい」と指摘、白川英樹・筑波大名誉教授は「科学と技術がどう違うのかを理解してもらうことが大切」とし、子どもに触れ合うことが多い母親の関心を高めていくことの重要性を強調した。

産業界からは経団連副会長の吉野浩行・本田技研工業相談役が、早くからものづくりに関心を持ってもらうために、自分たちが行っている子どもを中心とした活動の事例を紹介、そうした活動を展開するうえでの課題として、①国をあげての支援②学校と産業界のギャップ③受験を含めた学校制度改革などをあげ、やはり親の意識改革が必要であるとした。

朝日新聞の高橋真理子・論説委員は、科学者の社会への貢献は当然とし、①説明責任を忘れない②科学的な思考法を広めることも重要③社会の要望に敏感であること④科学者集団のあり方についてオープンな議論をしてほしい-など、科学者へ望むことを列挙した。また、文科省科学技術・学術政策局の倉持隆雄・基盤政策課長は科学者と社会との連携を進めるうえで、研究者に望むこととして①科学技術を支える後進を育てる活動に協力すること②変化している初等・中等教育の動向に関心を持つことなどをあげ、「本物の科学者の姿に触れることが変化のきっかけとなるが、その際、お互いにわかる言葉で対話することが大切である」と述べた。

続いて行われたパネル・ディスカッションでは、子どもたちは本来理科好きであることが確認され、科学に携わり科学を理解している人がわかりやすく話すことの必要性、保護者や学校の先生方の理解増進、双方向性を持った科学のインタープリターの重要性などが指摘された。

※声明『社会との対話に向けて』全文

我々日本学術会議は、科学者と社会が互いに共感と信頼をもって協同することなくして、いかなる科学研究も生命感のみなぎる世界を持続させることができないことを認識する。さらに、我々は、科学研究は、社会が享受すべき成果をもたらす反面、社会に対する弊害を引き起こす恐れがあるという正負両面があることを、科学者も社会も明確に理解すべきであると認識する。

このような認識に立ち、我々は、科学者が社会と対話すること、特に人類の将来を担う子どもたちとの対話を通して子どもたちの科学への夢を育てることが重要であると考える。

我々日本学術会議は、これから科学者と社会がしっかりと手をつないでいくことを推進する。まず、日本学術会議は、子どもたちをはじめとするあらゆる人々と科学について語り合うように、全ての科学者に呼び掛ける。また、日本学術会議自ら、科学に対する社会の共感と信頼を醸成するために、あらゆる可能な行動を行う。

出典: 科学新聞(2004年6月4日)

ロンドンにて(2)

今はロンドンに来ています。

ロンドンは今が1年で一番良い気候の時です。アスコット、ウィンブルドン、そしてジ・オープンと続くのです。秋から冬はとても暗いですから、このような太陽がさんさんと降り注ぐ時が来ると、皆うきうきするのは、日本ではなかなか理解できない感情かもしれません。しかしこのような自然環境の人間に与える影響が、多くの文化や芸術の背景にあるのでしょう。いまのような「国際化」の時代には想像もつかないかも知れませんが、それぞれの文化の違いの理由を理解できるような気がします。歴史や哲学の由来を理解しようとする心持も大切でしょう。お互いの違いへの理解を深めますからね。歴史や哲学の本をいくつも読んでください。

ロンドンに来る前は、国際学術会議の仕事でパリに滞在しました。American Hospital of Paris(AHP)をたずね、岡田正人先生とも会ってきました。大阪市立大学医学部の6年生の学生さんも勉強に来ていました。岡田先生はパリに来て6年目ですが、アメリカで内科専門医の資格を取り、そしてイェール大学でリウマチの専門医となった後、パリに来ました。とてもすばらしい先生で、ここの病院やパリの日本人社会でとても信頼されています。このように多くの若い人たちが国際的な場所で活躍していることをもっと多くの人たちに知ってもらい、あとに続く人たちが出てくることを期待したいですね。

パリでは岡田先生、大阪市立大学医学部の学生さんとオペラ座で「L’Histoire de Manon(マノンの生涯)」というオペラを観ましたし、ロンドンでは南へ車で50分のところにあるGlyndebourneで、オペラ「La Boheme」を観てきました。こういう時間も大切ですね。

この夏の予定はなんですか?楽しく充実したひと時をもってください。

これからの医療と医療政策:国際化、情報化、高年齢化と生命科学の時代を迎えて

保健医療福祉情報システム工業会 創立10周年記念特別講演(2004年2月13日)

 これからの医療と医療政策:国際化、情報化、高年齢化と生命科学の時代を迎えて
 -21世紀:日本医療制度への提言-

出典: 保健医療福祉情報システム工業会 会報 第36号(2004年6月)

「リスク」をとった若者たちの出会いの「場」

このブログでいろいろと“とんでもない”すごい人たちを紹介しています。白州次郎、蜂須賀正氏、津田梅子、朝河貫一、「Wedge」の記事(『リーダーに不可欠な歴史観、世界観、志』)、またダボス会議での報告でも世界のリーダー達の紹介をしています。医学でも、北里柴三郎、野口英世、高峰譲吉、高木兼寛等の話もよく講演等でしています。

このような“とんでもない”すごい人たちを紹介するのは、こんな人たちが今の豊かな日本にはあまり見あたらないからです。日露戦争からちょうど100年目の日本ですが、今になって当時の日本や東洋を囲む状況を考えると、これは極めて歴史的な結果が出るわけですが、太平洋戦争の前後までの経過を見てみると、「官僚」と「民僚」しかいない国になってしまったのでしょう。野中郁次郎他による『失敗の本質』(1991年、中央公論(新)社)にもいくつもの歴史的実例が書かれているにも関わらず、ようやく最近になって「失敗学」が認識されるなんて、いまさら何を言っているのかという気になりますね。M自動車、T電力、S印、XX銀行、みんな同じ構図です。

それにしても驚いたのは、5月4日のブログで森嶋通夫・ロンドン大学名誉教授著『なぜ日本は行き詰まったか』(2004年、岩波書店)を少し紹介したら、college-med メーリングリストで大変な話題になっていた事です。このような基本的問題と歴史的、社会的背景に興味と造詣の深い人たちも多く、なかなか捨てたものでもないなと思っているところです。しかし、このような議論が中学や高等、大学教育のレベルで何故起きてこないのか。そこに日本の教育問題の深さがあるように思います。同じブログでバランスを考えて中西輝政・京都大学教授著の『国民の文明史』(2003年、産経新聞社)も紹介しましたが、もっぱら森嶋さんに議論が集中しているのもすごい事ですね。皆さんすごいです。

ところで、このような意識を持った人たちが「社会のおもて」に出てこないのは何故かも考える必要があるでしょう。何度か発言していますが、日本の社会が「Low Risk- High Return」になっている可能性が高いからかもしれません。つまり、「偏差値の高い大学」へ行って、大会社、官僚になっている可能性が高く、従ってリスクを取らなくなっているのではないでしょうか。しかし、個人的には鬱々としているのではないでしょうか。だから私はリスクを取らない人は信用できないと言っているのです。所詮は「評論家」ですからね。社会的にそれなりの地位にいるのに、情けないことに、その社会的責任に対する「当事者意識」が欠如しているのです。

この視点から見ると面白い本があります。『東大に入って、東大を出る事』という本です(2003年、プレジデント社)。日本社会の「いかがわしさ」に気がついて、大きなリスクをとってしまった、まだ若い東大卒業生3人の自叙伝です。このような人たちが交流する場所があれば、時と共にすごいエネルギーが爆発するのではないか、と考えているところです。江戸末期の松下村塾もこんな人たちが集まり、吉田松陰たちが感化された、「場」だったのでしょう。このリスクを取る個々のエネルギーと、「場」が大事なのではないでしょうか。一人ひとりの志の高さの問題と、それを生かす社会の問題でしょう。

パリにて

時間のたつのは早いもので、もう6月になってしまいました。最近もまた、年金問題と法案の通過、民主党党首選挙、首相の北朝鮮訪問等々、これからの日本の行方を左右しかねない大きな問題がいくつも起こっていますね。

国際学術会議(ICSU)の企画委員会出席のためパリに来て3日がたちます。パリは今が一番よい季節。ノルマンディー上陸60周年の記念行事も行われていました。

さて、パリではアメリカ病院(American Hospital of Paris)の岡田正人先生ともお会いしました。昨年6月17日のブログでもご紹介していますが、岡田正人先生は日本の大学をご卒業後、アメリカでの臨床研修を経て、イェール大学でリウマチのフェローを経験。それからパリに来て6年が経ちます。日本の医療制度や医学教育、研修の課題等について、いろいろお話しをしてきました。

ちょうどパリに来る前の週の金曜日に、ニューヨークのベスイスラエル病院のレジデントに選考された同じような方たちの壮行会があり、参加しました。このような方たちが、将来の日本の医学教育、研修、医療を背負っていってくれるとよいのですが、帰国すると少数派になってしまい、多くのすばらしいリーダー達がつぶれてしまうように思われてなりません。もったいない事です。ちなみに岡田先生もこのプログラムの卒業生です。

4月13日と5月3日のブログで報告しましたアメリカ内科学会日本支部の立ち上げも、そうしたリーダー達を多く育てることが大きな目的のひとつなのです。

ところで、college-med メーリングリストをはじめとして、多くの医療関係者のメーリングリストやwebsiteが立ち上がり、情報交換には大変役に立っているようです。しかし一方で、2万近くあると言われる医療関係サイトの、品質、内容のチェック、責任、著作権等はどうなるのでしょうか。国際的な情報時代の新しい悩みのひとつでしょう。これについては、国際的にも大きな問題として認識されております。その国際的な枠組みの中で、日本の医療健康関係の「website」をチェックし、品質等を認証しようというNPO法人医療健康情報認証機構が設立されました。公開講演会が6月14日午後に開催されますので、講演予定を見てください。

2004年6月

大学人会議講演
日程: 2004年6月2日(火)
会場: 東海大学校友会館
演題: 「高等教育の課題」

日本顎咬合学会 第22回学術大会
日程: 2004年6月12日(土)
会場: 東京国際フォーラムガラス「ホールC」
演題: 「21世紀の"プロ"育成への課題」

特定非営利活動法人 日本技術者連盟 医療健康情報認証機構
– 日米同時シンポジウム –
『医療健康情報の第三者認証機構と米国HIPAA法最前線』
日程: 2004年6月14日(月)
会場: NTTデータ駒場研究センター内 NTTデータユニバーシティ イベントホール
演題: 「急がれるインターネットにおける医療健康情報の認証システムと信頼性確保」

第44回北里循環器セミナー
日程: 2004年6月17日(木)
会場: 相模大野センチュリーホテル
演題: 「日本の医療制度についての話題」

平成16年度三医会総会講演
日程: 2004年6月20日(日)
会場: 三重県津市 プラザ洞津
演題: 「新しい医科大学のグランドデザイン」 -大学発バイオベンチャーの成果と問題点-

日本学術会議 薬学系三研連合同シンポジウム「21世紀の薬学を考える」
日程: 2004年6月24日(木)
会場: 日本学術会議講堂
演題: 「学術会議のこれからの活動と薬学への期待」

科学新聞に掲載されました。

「日本学術会議法 改正」 内閣府所管で重要性増す

日本学術会議(黒川清・会長)の“新法”がこのほど成立した。

これまでの総務省所管から内閣府所管へと格上げされ、会員選出法も欧米型にするなど大幅に変更された。これによって、わが国の科学技術政策は、総合科学技術会議、学術会議の両輪が制度的にも整ったことになる。今回の法改正に関しては、黒川会長の国会でのヒアリングにおける様子が『ネイチャー』(3月25日号)に報じられるなど、世界的にも注目を集めていた。(法案の内容については本紙2月27日号で既報) 平成13年1月に始まった行政改革の中で、日本学術会議は当面、新設の総務省に移管され、そのあり方については内閣府に新設された総合科学技術会議専門調査委員会の検討に委ねられた。そして昨年2月に最終答申が提出され、それに基づいて法案がとりまとめられ、審議されていたが、このほど衆参両院全会一致で新法が成立した。

同法の基本的フレームが学術会議が進めていた自己改革案にそったものであるのは、第十七期、第十八期と同会議が、ダイナミックに変化している国際情勢の中で、各国のアカデミーが機能強化し始めていることを調査・検討し、各国の科学アカデミーの歴史的、社会的背景を理解しながら、精力的に議論を重ね、自らあるべき姿を示してきたからである。そうしたことが、総合科学技術の報告にかなり反映されている。

科学技術政策形成は総合科学技術が直接行っているが、学術会議を同じ内閣府所管とすることで、科学政策への提言、国際社会への窓口等、わが国の科学者コミュニティを代表する機関の果たす役割は今後ますます重要になるとみられる。

【黒川清・会長の話】

今一番大事なことは、科学者コミュニティを代表する学術会議のベースを広げることであり、組織の自由度が増すのだから、それだけ社会的責任が大きいことをよく認識することだ。したがって、法律改正が実現してからも、科学者という知の集団が、自分たちの価値観だけでなく、また日本国内からだけでなく、アジア、世界の科学者コミュニティの連携の中でどういったことを社会に発信していくかが問われている。

十年後の見直しに向けて、これから数年の間に国内外の社会に信用と支援を得ながら、どのように変わったかを評価されることが重要である。社会的責任がより問われる中で、一人ひとりの科学者が、自分たちが社会に対して何ができるかを考え、その結果として学術会議のために何ができるかを考えてほしい。会員外の人達も、学術会議の活動を認識することによって、サポートしようという気持ちが自然にわいてくるような科学者コミュニティを形成する組織、存在にならなくてはいけないと思っている。

出典: 科学新聞(2004年4月16日)

日本の「リーダー」

→English

イラクで起こったNGOや民間人拘留で、ずいぶん過激で一方的な論調が多く、なんとも未熟というか、社会性がないというか、国だけがすべてのような戦前に戻ったような危ない感じがします。

「Wedge」2月号で、3冊の本(『名誉と順応』、『敗北を抱きしめて』、『日本の禍機』)の紹介を書きましたが、日本の問題は「リーダー」にあるのです。この数日に読んだ本も同じ趣旨でした。両方とも素晴らしい本ですのでご紹介します。

ひとつは、森嶋通夫・ロンドン大学名誉教授(高名な経済学者です)著の『なぜ日本は行き詰まったか』(岩波書店 2004年)です。経済からではなく、社会科学全体における世界の歴史と人々のエートスを観察する事からはじめ、日本の将来を、過去から、世界の歴史から探るというものです。伝統的エートスを失った国民の将来は、という問いです。歴史と資本主義社会の形成、ドイツ・イギリス・アメリカ等の違いの考察等が述べられている、優れた著書です。

もうひとつは、中西輝政・京都大学教授著の『国民の文明史』(産経新聞社 2003年)です。これは日本の課題を文明史的視点から考察しています。サミュエル・ハンチントン教授が『文明の衝突』で言うように、日本はひとつの文明である、という視点を支持していますが、この本は、その背景から、文明の動きの歴史的考察を中心に据えた、優れた著書です。

両方とも大変に読み応えがありますし、歴史観にあふれる優れた学者の書です。成功した「日本システム」の迷走と、「政・産・官の鉄のトライアングル」の「リーダー」の、歴史観や世界観、志の欠如に問題があるという点では一致しています。しかし、解釈は違います。森嶋先生は歴史的にも「右翼的動き」の可能性の危険を一応は指摘するのに対し、中西先生はどちらかといえば「その右翼的支持」を転機に考えているようでもあります。しかし、両者の文脈は分析と視点は違っても、同じ指摘が多い点で参考になります。日本の「リーダー」は本当にどうしてしまったのでしょうか。

この点でもうひとつ読んだのが「Saving the Sun」(HarperBusiness、2003)です。Financial Times日本支局長だったMs. Gillian Tettさんによる長期信用銀行問題をめぐるnon-fictionです。小野木さん、大蔵省官僚、八城さん、Collins氏等々実名で出ており、「日本株式会社」に共通する問題がきっちり書かれています。このように日本の問題は世界中で広く知られているのです。