「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その1

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今年5月26日付のブログで、「国会事故調」の調査統括を担当してくれた宇田左近さんの著わした「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」を紹介しました。

最後の20ページに、私も「解説」を書かせていただきました。
この私の「解説」の部分を出版社の許可もいただいたので、みなさんと共有します。

【解説】異論を唱える義務―――私たち一人ひとりが「今」やらねばならないこと
元国会事故調査委員会委員長 黒川 清

宇田さんの本のメッセージ

福島第一原子力発電所事故は、チェルノブイリ原子力発電所事故と並ぶほどの原発の歴史上、未曽有の大事故である。この事故については、数多くの調査報告や研究成果が国内外で発表されている。あの事故以来の東京電力や日本政府の対応はどうだろうか。本当のところ、国民の皆さんも「今、何が起こっているのか」「東電は、政府は何をしているのか」と疑問に思っていることだろう。

特に、その後の汚染漏れなどの事故を見ても、東電、政府の計画性のなさ、対応のお粗末さ、あるいはその対応策選定プロセスの透明性の欠如にあきれている人も多いだろう。事実、世界各国の関係者の中では、懸念を表す識者はきわめて多く、また世界の主要メディアによる、東電、政府などの関係者の対応の計画性のなさ、無責任さに関する報道は多い。

ではどうしたらよいのか。ここを考える必要がある。歴史的な大事故なのだから、前例もなく、対応への方策が見えないのみ理解できる。批判していても物事は解決しない。ではどうすればよいのか。ここが智恵の出しどころだ。

コンサルタントとして企業変革を支援してきた本書の著者である宇田左近さんは、郵政改革を契機に、組織の中に飛び込んで、いくつもの改革に携わってきた。この本では、郵政民営化における組織変革を推進する中で、また国会事故調の調査統括として調査活動を通じて見えてきた「マインドセット」問題について、日本人論ではなく、また、集団主義といった画一的な捉え方でもなく、宇田さんの本来の仕事である組織変革という視点から具体例を交えて浮き彫りにしている。

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→「なぜ、「異論」の出ない組織は間違うのか」、私の解説 その6(1)
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