米国の「フクシマ国会事故調」、長崎大学、そして選挙と機能する民主制度

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国会事故調が始まって1年、報告書を提出して5か月がたちました。

米国議会は独立したフクシマ事故調査委員会を科学アカデミーに依頼して立ち上げて、この7月に活動を開始しました(委員のリストはこちら)。

この活動はウェブでも見ることができます。

その第3回は日本で開催され、東京とフクシマ視察の行程です。これは立法府によるも独立委員会ですから、米国側は基本的に、日本側の行政府も関わらないと判断しているようでした。

東京の第1日目は、GRIPSで私のプレゼンと討論に始まる3日間の会議、ヒアリングなどが行われました。各委員も私たちの報告書を詳しく見ていて、国会事故調の評価がとても高いことがわかりました。

基本的に公開ですが、質問は委員に限られていました。この様子はちょっとだけ朝日新聞などに報道されました。

別の日にはDaiwa Capital Markets Conferenceで、「Global Agenda in Post-Fukushima」という基調講演をしました。講演者も参加者も半分以上が日本人ではないので、英語が使用言語のようでした。私は「「国会事故調」は立法府である国会による、憲政史上初めての独立検証委員会」と紹介し、私の話を始めました。

講演後、ある方がこられ、「私は英国で10年ほど大蔵省勤務の公務員、その後は私企業にいるが…」と自己紹介をして、「このような立法府による独立した検証委員会が初めてなんて信じられない…今、英国では2つ委員会が動いているよ…」と伝えに来られました。

海外の評価に比べて、日本では反応が弱いようですが、それは多くの国民も、多くの議員さんたちも、役所の人たちも、民主制度の機能についてよく理解していないのでしょうね。8月16日のブログでも指摘したところです。

また、別の日には、長崎大学に講演で参りました。多くの若者たちが参加しました。結構な数の高校生も参加していいて、高校生たちがすばらしい感想を大学に寄せてきました。

この若者たちが、この国会事故調というプロセスは、立法府の機能強化の一つであり、これが民主制度の基本にあるということを理解できた、ということなのです。

選挙に参加するということはこういう意味なのです。すぐには国の姿は変わらないでしょうけどね。機能する民主制度の構築には時間がかかるのです。

だからこそ、若い人たちはよく考え、選挙に参加し、投票しなくてはいけないのです。日本の将来のためにも、あなたたちの将来のためにも。