グローバル時代の人材育成の必要条件: 「外」へ出る実体験の大事さ

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私がこのサイトでも、またいろいろなところで繰り返し主張していることに「若者を外へ出そう」という命題があります。世界の「フラット」化が進む中で、実体験を通して「外から見た日本」を直感的に感じ取れる人を多く持つことはとても大事なことです。

つまり、「日本から見る、感じるグローバル世界」ではなく、「グローバル世界から見る、感じる日本」を直感的に感じ取る力のある人たちです。

若いときの友人のネットワーク、人脈はとても大事な財産であり、若いときの海外体験で得られる人のつながりは、これからの時代ではグローバルな価値を持つ財産になります。そのような人材をどれだけ持っているのか、これは国力の基本です。

それには、若いときに「独立した個人」の資格で、海外生活を体験することが大事なのです。企業とか組織からの出向や留学での海外生活体験は、特に従来の日本社会では、終身雇用が常識と感じていたわけですから、長期の海外体験であっても、多くの場合、所詮は「日本の組織の中」からの日本を見ていたのです。

反論する方も多いかもしれませんが、ご自分の体験からも、「もし」日本の組織から離れて「個人」として留学をしたり、仕事に行くとしたらと想像しただけで、かなり違う感覚を覚えるでしょうし、生活の計画にしても、もっと違った覚悟で臨むに違いありません。

大学卒業、就職、同じ組織の中で基本的に年功序列の単線路線、これが日本の多くの人にとっての常識だったのです。

だからこそ、私や多くの同じような体験をして来た方たち、例えば石倉洋子さん 資料1)ですが、まだ高校生、大学生のうちに、留学でも良いし、休学でもいいので、海外の生活を体験することをすすめているのです。日本社会は「ギャップイヤー」などと言っていても掛け声ばかりで、社会一般には、大学などを卒業して2-3年たった人たちを普通に採用するほどの対応、変革はしていないのです。

最近、教育系の方たちに広く読まれる「IDE」に「医療系人材育成の革新- 社会制度と人材のイノベーション」、また化学系の大学や企業人に広く読まれる「化学と工業」に「若者は外で出せ: 国際交流がなぜ大事か」という寄稿文を書きました。

私の意見に皆が賛成するわけではないでしょうが、まず「出来ない理由」を言うような人は、日本の将来を担う若い人たちにとって迷惑な話です。これらの実体験は、若者の選択なのであり、それをサポートすることこそが大人たちのすべきことと思います。

しかし、このサイトでも再三指摘資料1,, )していますが、「3.11」によって従来型の日本社会の構造的弱点が、一気に浮き彫り にされたのです。

一人でも多くのグローバル世界「志向」をもつ人材の育成こそが、基本的には日本の将来への唯一の道だと思います。