新しい地域医療を構築するチャレンジャー

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日本を含めた先進諸国では「高齢社会、慢性疾患、これ以上の公費出動は無理」、という状況で、従来型の「医療制度」は制度的に限界に来ていることは明らかです。

これについては従来から私も発言し (最近のではこれ(資料1、 )など)、政策提言し、実践を促しているのですが、従来からの利害関係者の「抵抗」で、なかなか政策の実現は進みません。

一方で、まずは出来ることから実践しようという人たちもいます。そのような一人に武藤真祐さんがいます。

彼は医師として恵まれた10年ほどを過ごしましたが、それには飽き足らず、より高い目標を設定して、この数年、医師ではない仕事でがんばってきました。

このような社会経験を経て、まったく新しい形の都会型地域医療を始めました。

これをはじめてから武藤さんが私に言ったことが本当に良かったのです。「いろいろ迷い、医師を離れ、自分の一生の仕事を捜し求めていたのですが、高齢化の進む都会の医療の現場に戻って、これこそが心から私がやりたかった仕事だと感じました」、と。

武藤さんと私の対談が出ましたのでご覧ください。

素敵な気持ちですね。ほんとうに素晴らしい門出です。心からの祝福を送りつつ、彼を応援しています。

 

「休学して学ぶ」、Ghanaからのメール

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休学してGhanaに行った学生さん資料1)は、100カ国を超える学生たちの国際交流ネットワークAIESEC資料1)を通じて紹介されたGhanaでのプログラムに参加する目的で現地に行ったようです。Ghanaの首都Accraに10日ほど滞在しましたが、この間に感じたこと、得たことは想像を超えるほど大きかった、とメールで教えてくれました。このあと、3週間ほどGhanaの北部へむかい、またAccraに帰ってメールをくれました。私の経験資料1)でもAccraで一流のhotelでもネットのつながりは不十分なのです。

彼からのメールは以下のような内容でした。
●ガーナ北部の農村に滞在して、現在はアクラにいます。もっとガーナを知りたいと思い、恐らく最も所得が低いであろう農村で生活してみると、行ってみないとわからない途上国、援助の姿が見えました。

●ガーナで貧困地帯というくらいだから、NGOの援助を頼りにしているのだろうと思っていました。しかし彼らは自給自足で生きています。村中を歩いているにわとりを捕まえ、とうもろこし、ヤム、野菜、豆などを栽培して食べ物には全く困っていません。お金はどこから調達するのかといえば、たまに通りかかるバスの乗客に売ったりして得ています。男性は働かずに、ボードゲームに熱中したり、ボーとして1日を過ごします。女性は畑仕事や食事作り、洗濯で忙しそうなのですが、、。

●小学校は村の中にあるのですが、2人の先生で6学年分を教えているので大変そうです。学校に通う為の経費は微々たるものらしいのですが、学校に行かない子供たちも中にはいます。本当にお金がなくて学校に行けない子供は少数で、家の手伝い(ほとんどが洗濯) が忙しくて行かない子が多いようです。外からきたよそ者の私には、「学校で公用語の英語を学ばないと村の外に出れず将来の可能性がなくなってしまうのでは」と思えたのですが、昔から自給自足で村で一生を、という暮らしをしている彼らにとっては、村の言葉さえわかれば問題ないだろうと思っているようです。

●この現場体験を通して最も衝撃だったことは、僕がお世話になったNGOが村人からあまり感謝されていないと感じた事でした。このNGOの資金源は、全て創設者のポケットマネーから出ています。ローカルスタッフもポケットマネーで雇用しています。

●活動としては、農業を通じて自立を図るというもので、今は稲作に力を入れています。今後は村人を巻き込んで稲作をしようとしています。中古の農業機材を寄付したり、学校に教科書や制服の支給もしています。

●これだけ多くの援助をしているのに、どの村人も心の底からNGOに感謝しているとは思えませんでした。「特に生活に困っているわけではないが、何かくれるならもらおう」といった状況です。というのも、オーナーがポケットマネーで経営している為、オーナーが外から見て必要だと思う事を自由に援助しているからだと思います。本当に村人に必要で、外国人がすべきことは何か、という視点が欠けているような気がしてなりませんでした。実際に、現地NGOスタッフや村人に「NGOはとってもいいことをしているね!」、と話しかけても笑うだけでほとんどの人が同意してくれませんでした。

●先進国の人間が途上国に足りないものを見出すのは簡単だが、彼らの価値観に照らし合わせてすべきことをするということの難しさを痛烈に感じました。先進国の人間が途上国と関わる以上、「宣教師的態度」になっていないか、いつでも顧みる必要があると学びました。

●あと1つ、現場体験をして気づいた事があります。アフリカ人は「違い」を否定的にとらえないということです。日本にいると「そんなこともできないのか、情けない」だとか、自分が出来る事は他人にも出来るものだとおもいこみ、出来ないと否定的にとらえる風潮があると思います。「自分達と違う」=「マイナス」というイメージが付きまといます。しかし、アフリカ人はいつでも涼しい木陰を探して僕に教えてくれたり、食べ物のこともよく気にかけてくれます。「君は日本人で、アフリカとは食べ物も気候も全然違う。」と口にし、違いを認めたうえで、外国人と付き合ってくれます。決してその違いを否定的にはとりませんでした。

●多様な価値観を理解し、人と付き合うという点では、日本人はまだまだアフリカ人にはかなわないと感じました。

この学生さんは、こんなことを感じてくれて、メールをくれたのです。多くのODAでは、この様なことを検討した上で活動を推進していることも多いと思いますが、現場の感覚が最終的にどこまで理解されて実施されるのか、いろいろ課題があるのが現実です。

ODAについては山本敏晴さんがたくさんのとても貴重な情報、現場の課題等々を発信しています。この学生さんが感じたようなこともいくつも記載されています。しかし、最後は、現地を知っているかどうか、現場感があるのかどうか、実行するのか、これがいずれ自分の勝負を決める時がくると思います。

若いときにこのような現場感を体得することは、この学生さんの将来のキャリアに大いに役に立つことでしょう。勿論もっともっと調べてから現地に行くことも可能でしょう。なんでも「詳細に検討してから動く」ということも大事ですが、これは慎重になりすぎて結局は何もしないことになることが多いのです。この学生さんの行動力、これが今の日本には決定的にかけているのだと思います。

自分で行動してみて感じ取れることの価値の大きさ、特に若い人たちにはこのような行
動を起こすことが大事だと思います。このような現場感、現地感はなかなか身につくものではありません。いつの間にか、この若者も、自分の世界観が変わり、違った視点で自分の目標を探りつつ、大きく成長していくでしょう。

Ghanaに到着して1週間して、この学生さんからメールをもらいました。「たった1週間で、自分が多くの人と知り合いになり、繋がり、世界が違ってくるような感じがする、本当に不思議です」と。

このようなウェブの時代だからこそ感じられるメールや携帯電話の便利さ、すばらしいです。まさに世界は1つにつながっています。

「ほんがえし」プロジェクト、みんなで「Learning For All」を応援しよう

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先日も紹介資料1) した「Learning For All」。 松田くん はじめ皆さん毎日がんばっています。

この活動は、長期的には日本の若者を通して、将来の日本を変える好循環を形成していく大きな動きのひとつになるでしょう。米国の「Teach For America」の22年の歴史を見ればその成果は本当にすばらしいものです。

しかし、活動資金集めは本当に大変です。頑張りだけではなかなかうまく行くものでもありません。

そこでいろいろな知恵を絞るわけですがその1つが「ほんがえし」プロジェクトです。これは、皆さんの要らなくなった本に注目したものです。このサイトを見ればわかるように、どんなカテゴリーの本でもいいのです。本が5冊以上あれば、着払いで、しかもヤマト運輸が取りに来てくれるのです。あなたのすることは、それだけです。

こんな素敵なアイデイアで恵まれない子供たちに未来を届ける。

みんなの、ちょっとしたことが明るい将来を築いていくのです。

「Learning For All」へ、私の応援メッセージ;
「教えることでこそ自分が学ぶ。
若者による、恵まれない若者の教育。
これが若者を本当のリーダーへと育てる。」

誰でも参加できる、子供たちを育て、若者たちをリーダーに育てていく、未来への素敵な好循環を作り出す「Learning For All」。

 

慶応SFCクラス、所 眞理雄さんを迎える

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私の慶応SFCのクラス前回の10月29日は西山浩平さんをお迎えして、 とても楽しいユニークな「空想空間、Elephant Design」というビジネスの話をお聞きしました。

10月27日はSony Computer Science Laboratory の創設者であり社長、そして慶応大学の教授でもある所 眞理雄(Marioとつい言ってしまいますが、、)さんを お迎えしました。所さんは慶応義塾の矢上キャンパスでの大学院生のコースを持っていて、私も参加させていただきました。

トピックスは「Open Systems Science」というもので、所さんがこの何年か、これからの科学研究の課題を考えていた成果といえましょう。「オープンシステムサイエンス-原理解明の科学から問題解決の科学へ」というタイトルの著書を日本語 、英語で出版されています。

また 「天才・異才が飛び出すソニーの不思議な研究所」という本も出ています。この研究所の特徴とユニークな人財の話です、とても面白い本で、ぜひ読んでください。現所長の北野宏明さんは、去年Nature誌のMentor Awardで受賞した2人のうちの1人、とてもユニークな、私も大好きな「Crazy Ones」です。

ちょうど、この講義の1月前にStanford大学で同じテーマのセミナーを(これは英語で)されているので、今回は日本語で話をすることになりました。

クラスのサイトで楽しんでください。近代科学の歴史の背景から、これからの科学のあり方について、とても示唆に富む話です。私もいくつか補足的なのコメントさせてもらいました。

これからの科学研究のあり方と、科学教育のあり方にも関係することです。

Dhakaから、ドラゴン桜の大快挙!

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昨日の夜中にBangladesh「ドラゴン桜」 の税所くん  (資料1)からメールが来ました。

「村からの電話が鳴り止まず殺到しています。多くは驚き!!!とおめでとう!!!の電話で、村中で大騒ぎしているようです。

「今回はダッカ大学Bコース(文系)、全受験者は3万6千人 合格者は3000名。ドラゴン桜からは13人受験しました。そのうちボラン・ウディン・ヘラル1名が1276位で合格!

「ダッカの名だたる名門校の子が2300位、ダッカの名だたる有名予備校の生徒が1500位で合格のところ、村出身のヘラルは1276位での合格!快挙です!

「われらがドラゴンは13名が受けて1人合格。
大手予備校UACは1000人受けて50名合格。
大手予備校UCCは2000人受けて180名合格。
大手予備校からみてもまったくひけをとらない合格率です。

「ダッカ大学受験
Cコース(11月26日)
Dコース(12月3日)
それぞれドラゴン生徒がチャレンジします!

「ヘラルはこの世界に不可能はないと証明しました。来年以降の村の子供たちのロールモデルになり、数千、数万人の学生が彼に続くでしょう。

「ヘラルはバングラデシュで初の映像授業による勉強でのダッカ大学合格者です!パートナーのマヒンは「e-education change human life!!!!!!!!」と興奮しています!」、と。

● この受験競争の背景は

「現地大学生チームと大手新聞の教育担当記者と会ってきました。
バングラデシュでは高校卒業試験HSCを受験する生徒が73万人、
卒業試験を合格し、大学にチャレンジできるのは53万人、
53万人のうち成績優秀A取得者は29万人、
しかし、大学のキャパは10万7千人分しかないことがわかりました。

「この10万7千のうち、7万人分は私立大学。学費が高く農村の生徒は通えません。

「非常に多くの優秀な生徒が、国立大学の少ない席を取り合っていることがわかりました。

「以上ダッカより報告!税所です。」

2年前に私を訪ねてから、早稲田大学を2年間休学、その間にいろいろ苦悩し、試行錯誤 してでの大快挙。

この世界に不可能はないことを、税所くんは、その熱い思いを、実践して証明しました。

若い人たち、決して捨てたものではないのです。