Harvard Kennedy Schoolの栗原さん

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Harvard大学Kennedy SchoolでSenior Fellow栗原潤さんをここでも2回 (資料1)ほどご紹介しました。

キャノン国際戦略研究所の研究主幹もしておられ、世界を駆け回り、前回も紹介 したように、毎月のように「The Cambridge Gazette」 を発行しています。これがなかなく面白い、というか栗原さんの交友の広さ、そして学識の広さと深さを感じ取ることが出来るからです。

先日も東京に来たので、私のオフィスで楽しく時間を過ごすことが出来ました。それをまた今回の「The Cambridge Gazette」にも書いてくださるのですから、ありがたいことですね。この号でも、栗原さんの学識の深さと、交友の広さが明らかです。

御本人によれば、「私のような人間は、日本の組織では扱いにくいでしょう、だからこうなっているのですよ、、」などとおっしゃりますが、貴重な人材です。このような人がもっと多くいれば日本はもっと活性化できるでしょう。このように「異色の人材」、「出る杭」の活躍の場がもっともっと増えると、組織も活性化し、日本の若者たちの「Role model」にもなり、若者たちも、もっと元気になれるでしょう。組織も適材適所で活躍の場を増やすことが大事です。

栗原さんのような「個人の信用」に立脚する国内外に広がる人脈は、大きな財産です。キャノンの戦略研究所はいい人に参加してもらっていますね。大金に代えることの出来ない「人財Human capital」(「人材Human resource」とはちょっと違うのです)の一人です。

 

「医療制度」改革から「健康・医療制度」改革へ:私の基本的考え方

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医療制度改革は先進国でも、新興国でも、途上国でも、またグローバル社会でも大きな政治的課題です。この50年、医療技術の進歩ばかりでなく、寿命が延び、社会構造や生活様式が変わり、主要な疾病構造が急速に変化しているからです。

さらに高齢社会も共通の課題で、また先進国でも公的財源の支出は限界で、これをどうするのかも大きな課題です。また、グローバル世界では、国内外の所得格差も広がる傾向は明らかです。

これらの医療に関係する問題は日本だけのことではありません。ですが、日本では制度改革は特に難しい別の理由もあるのです。

私たちの活動している医療政策機構の主要活動の1つがこのテーマです。

しかし、このような大きな社会的変化を考えれば、医療制度はむしろ社会的因子を考慮したものにならなければなりません。つまり、「健康に影響する社会的因子」 (資料1)を反映した一般に考えられている様な「医療制度」ではなくて、むしろ「健康・医療制度」とならなければ、政策の立案と実現へ向けた国民の理解は得にくいと思います。

このような見解を反映した私の最近のインタヴュー が出ていますので、ご紹介します

そのような視点は、「大学病院革命」 にも書いているところです。

大谷石地下採掘場跡、カナダと電話会議、そして三島へ

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9月24日(金)は午後から宇都宮で開催された日本腎臓学会東部会へ講演に行ってきました。もともと私の専門の分野ですので、会長の草野さんほか、多くの友人に会うことが出来ました。

レセプションは車で15分ほどのところにある大谷石(「おおやいし」と読みます) 地下採掘現場の大きな地下空間です。

なかなか素敵な雰囲気の場所です。ここを尋ねた方のblogにいくつもの写真がありました

地下空間はとても涼しく (年平均8℃程度とか)、レセプションではご当地自慢のギョーザのほかに、ビール、ワインもあり、また特別のフラメンコショーもあり楽しい時間をすごしました。

この地下空間の利用スケジュール  (資料1)を見ると、もっといろいろな活動に使われてもいいなと思いました。

宇都宮方面へ行くことがあれば、ぜひ訪れて見てはいかがでしょうか。

ホテルに帰って夜10時から2時間、TorontoをハブにしたGrand Challenge Canada の電話会議でした。

翌日25日(土)は、一旦帰宅して、静岡の三島へ。東海大学医学部に留学生を主とした遠隔医療研修プログラムを作った中島教授の主催する遠隔医療学会へ講演に行きました。中島さんには、私の関係している太平洋科学会議Pacific Science Associationで、沖縄Tahiti資料1)にも参加していただきました。ところで、この学会でも企業展示には面白いものがいろいろありましたが、初めから国内向けを考えているようでした。世界は広いし、需要も大きいのですけど、、。

久しぶりに、2日も続けて「学会」で話す機会をもつことができました。

 

いつもより疲れた講演会、「丸の内キャリア塾」

お知らせしていた「丸の内キャリア塾セミナー「私たちのキャリア:働き続ける意味」に参加しました。

石倉洋子さんと私の対談ではじまり、続いて私たち2人に強力な女性が3人、石黒不二代さん、谷万理さん、白石真澄さんが加わったパネル。お客様は約440人、全員女性(平均年齢37歳)。すばらしいパネルでした。

会場からの元気のいい質問も多くあり、レセプションでは、多くの参加者の皆さんが、それぞれのパネリストの前に長い列を作ってくださり、パネルの皆さん一同、最後までまったく時間に余裕がありませんでした。参加の皆さんたちにとって、いろいろ考えることが多かったようで、個別にたくさんの質問を頂きました。

皆さんご苦労様でした。男性は私だけだったので(スタッフは別ですが、、、)、緊張もあってでしょうね、私はいつもより疲れました。

いずれこの催しは日経新聞に出ますので、その時にまたご案内します。私の発言はどうまとめられているでしょうか?ちょっと楽しみ、ちょっと不安。

来週は今回と同じ会場で、9月28(火)、29日(水)の「Asia Innovation Forum」に参加です。

 

「イノベーション思考法」を整理する

先日、「ウェブで学ぶ:オープンエデュケーションと知の革命」 を紹介しましたが、この本の評判はかなり広がっていると思います。

その時、この本に紹介されているいろいろな「サイト」を整理してリンクしてくれているBlogを紹介しました。ありがたいことですね。

その方が、今度は私が2008年に出版した「イノベーション思考法」について分析、整理し、解説してくれています。なかなか面白く、うれしいことです。

「イノベーション」は、「アントレプレナーシップ」(資料1)とともに、どの国でも政策の中心に位置付けている「キーワード」です。日本語では、それぞれ「新しい社会価値の創造」、「進取の気性」です。変わる世界、社会で、どうするのか。ここはPeter Druckerの言葉(twitterで @DruckerBOT)をいつも噛みしめてみることです。

2008年秋のリーマンショックから世界はすっかり変わり始め、当初は「土地バブルがはじけて20年の経過から、日本は大丈夫」などといっていましたが、とんでもないですね。

世界がすっかり様変わりしているなかで、日本経済も低迷が続いています。内向きの独りよがりはもういい加減にして、もっともっと世界の動向を感じて考え、行動していなければいけないのでしょう。

 

「この夏の終わりに」

 「Michael Jackson (MJ)、城山三郎さん、わたし」の3題話がAERAに掲載されたことをお知らせしました。これは、MJの1周忌に私が書いたblog から、すばらしい発想で出口俊一さんが「1つのものがたり」を書いてくれたものです。

書いている頃の記録的な暑い夏の日々、出口さんの発想から調査、推敲、多くの材料からの絞込み、繰り返しの編集のプロセス、もっと書きたかかったことのいろいろ。そしてご自身のお父様の悲しみ。これらをご自分のニュースにその「苦闘記」を書いてくださいました。「この夏の終わりに」 というタイトルです。

出口さんによるAERAの記事も、その全部 (といっても見開き2ページですが、、)をこの記事の終わりに読むことが出来ます。

ものを書く人の苦闘、調査、編集者とのやり取りの苦労などが感じ取ることが出来ます。編集側の苦労を推測することも出来ます。

出口さん、大変なときに、本当にありがとう、ご苦労さまでした。さすがに「もの書きプロ」です。

 

Bangladesh「ドラゴン桜」、GCMP続報

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Grameen Change Maker Program (GCMP) (資料1)という税所、三好くんなどの早稲田大学の学生さんたちによって、2年前にできたBangladesh で活動しているプログラムがあります。そのひとつが「ドラゴン桜 e-education」をGrameen財団と立ち上げ活躍する早稲田大学(休学中)の税所君 (資料1)。

現場でいくつもの困難に遭遇。そこから貧しい村の高校生を、このプログラムで目標とする超一流大学「Dhaka大学」へバスで7時間かけて連れて行ったことを報告しています。これなどは現場にいないと決して出てこない発想ですね。その辺の背景も書いてある第2報現地の報道などが届きました。

彼の最近のメールでは;

「ダッカ大学受験までいよいよあと一ヶ月です!

ダッカ大学スタディツアーのあとから生徒たちのモチベーションも非常に高く、模擬試験の結果も徐々に上がってきています。

現在生徒は23人。

ダッカ大学模試を参考に
Aチーム5名: 最優秀
Bチーム5名: 優秀
Cチーム女性: 5名
Dチーム13名: 普通

1週間ごとのテストによってクラス間の間を下克上にして競争意識を駆り立てています。

とくにABチームの生徒のモチベーションは高く結果が期待できるのではないかと、チームで話しています。

10月上旬に大学の手続きのため一時帰国します。その際に詳しく報告できたらと思います。」

しかし、このアイデイアは税所くん自身の挫折と、それを乗り越えた体験 から。これは現実の発想力に大事なことです。何でも「現場力」が大事ということは、こういう「現場体験」にあると思います。頭の中での思考だけでは、こうはいかないのですね。

一方の三好くんは、再度Bangladeshへ、さらに昨日からさらに世界へ自分発見の旅へ向かっています。

今日は、今年の夏にBangladeshの現地にいってきた学生、院生などの若者たちが集まって発表会。休日にもかかわらず、大勢が集まり、HIS  、Sunstarなどの協賛してくれている企業の方達も参加してくれています。一橋大学の米倉誠一郎さん、元JICAの阿部英雄さんも参加して講評など。すばらしい4時間でした。

皆さん、現地での実体験からそれぞれのグループテーマを決めて知恵を絞り、プロジェクト提案のプレゼン。現場からいろいろ学んでいます。そして、そのプロセスそのこと自体が、自分自身の発見の機会になっていると思います。「外」に出てはじめて自分を、個人として見つめ、感じ取ることが出来る、そして日本を見始める。その上で、自分の思いと、自分のしたいことを感じ、どう自分のキャリアを選んでいくのか、などについても感じ取っていけるのではないでしょうか?

みんな自分がとても変わったと感じ取っています (資料1)。そして、このような機会が一人ひとりの若者の将来のキャリア形成で、世界へ広がる「dots」になることを確信しています。

 

Michael Sandelと「ウェブで学ぶ」: 「問う」ことの大事さを感じとる

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最近、このサイトでも紹介し、大いに話題になっている2つのことがあります。それはMichael Sandel教授の「白熱教室 Justice」資料1)と梅田、飯吉さんの著した「ウェブで学ぶ」 です。

Michael SandelさんのTV番組 (On-line でも見ることができます)は急激な人気で、Sandel教授は8月には日本に招かれるほどの急激な熱狂ぶりです。もっとも、この反応も日本的かもしれませんが。

また、「ウェブで学ぶ」も大きな反応が出そうです。ウェブやtwitterでは良好な反応がたくさん見受けられます。

何故か?

Sandel教授の授業は、日常の身近な具体的な事例から、その「本質を問い」かけ、「何故?」を考えさせる。そして、そのような思考過程から問題の普遍性と個別性を認識させ、根底にある人間と社会の問題の「正義とは?」を哲学的にも思考する、というプロセスを感じ取らせているところにあると思います。だからこそ、皆さんが「知的興奮」を感じているのではないでしょうか?こんなに「自分で考える」という授業を大学で共有したことがあまりないからこそ、目が覚めるように感じたのではないのか、ということです。

飯吉さんも、これらの反応についてもblogでフォロー していますが、うれしいことに私のblogのコメントについて、梅田さんとこの本で書きたかったことは皆さんに「問いかける」ことだ、という思いを私が共有していると感じ取ってくれていることを知りました。とてもうれしいことです。

私たちの日常生活、教育のプロセスで、最も欠けているのは「何故?」と常に問いかける姿勢、習慣、そしてそこから始まる「教える側と教わる側」の共同した思考プロセスだと思います。これは一般的に日本の教育、企業などの組織での研修などに決定的にかけているのではないかと思います。「指導要綱」、「教科書検定」とか。法律にしても同じです。基本的に「タテ」の思考なのですね。

教育でも、生徒と一緒に問いかけ、考えるという姿勢よりは、先生が答えを持っているかのように解説していく授業が多いと思います。大学でさえも基本的に知識の伝達ですね。だからこそSandel教授の講義は刺激的なのです。また多くの講演などでも「、、対策法」などの「Know How」ものが人気のようですが、一番大事なのは「何故?」を考えることなのです。

オープンで、フラットに広がる「知の時代」、知的興奮を刺激しないと、「指示まち」では何も始まりません。このSandel教授、「ウェブで学ぶ」の2つは、皆さんの内蔵している「知的な問いかけ」をしているからこそ、皆さんが興奮しているのだと思います。

 

「ウェブで学ぶ:オープンエデュケーションと知の革命」、必読の一冊

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去年ご紹介した飯吉さん blog 、資料1)が、「ウェブ時代をゆく」などシリコンヴァレー発のメッセージ(将棋についてもすごいですが、、)を書いている梅田さん blog)、と書いた「ウェブで学ぶ」 を出版しました。とても豊かな内容で、「目からうろこ」にも満ちた、多くの教育関係者、自分自身や子供たちの教育に関心のある方たちにぜひ読んでほしい一冊です。

MITの画期的なOpenCourseWare (最近のTimesでTop50 websites)に始まるといえる教育の「オープン化」、「ウェブ時代」の流れの進み方の速さ、激しさを感じ取ることが出来るでしょう。

私が公的な「場」でも繰り返し指摘 (資料1) していることですが、Internetは15世紀のGutenbergの印刷術と同じようなインパクトがある、「個人をempower」するツールなのです。より広い範囲の人たちに「情報」へのアクセスも発信も可能とし、広げるツールなのです。しかも国境も時間も越えるグローバルな広がりなのです。ここからより多くの人たちの新たな「問いかけ」が始まる、従来からの「権威への疑問」が生まれるのです。だから、この流れは進みこそすれ、戻ることはないのです。国家も、企業も、組織も、この流れに適応できず、抵抗すればするほど、結局はダメージを受けるのは必須です。私はこれが「グローバル化」の流れの本質と考えています。

最近の例では iTune、iPod、iPhone、iPadなどがいい例です。それぞれが市場にでてきた時に、どの業界が抵抗勢力で、どう国内社会が、そしてグローバル世界が変化してきているのか、その抵抗勢力がどうなったのかを考えてみればよく理解できると思います。

つまり、この本「ウェブで学ぶ」は、教育者には世界の新しい教育の動向だけではなく、自分たちに課せられた責任を知らせ、さらにこの責任を問うているのだ、ともいえます。

しかし一方で、「個人のempower」の立場から言えば、教育を受ける人、学びの心のあるすべての人たちには、どんな教育を受けたいのか、世界にはどんな教育や学びの機会、新しいツールがあるのか、自分を育てていく発見の可能性などを積極的に問いかけている本であるといえます。

そればかりでなく、この本からは世界の動向になぜか隔離されているような日本への懸念が感じ取ることが出来ます。それは、この著者の2人が長い間、日本を離れて、日本から独立したキャリアを積み、グローバル化の進む世界の中で、なぜか変われない、内向き日本への切歯扼腕の思いがいっそう強くなっているからこその懸念であり、日本へのあふれる愛国心からの思いからなのだと思います。

教育担当のすべての大人たち必読の書であり、またすべての人たちに読んでもらいたい1冊です。

ところで、著者の趣旨や内容の概略については、上に紹介した梅田さん 飯吉さんのblogで見ることが出来ます。またこの本の中で紹介されている、多くのリソースサイトについては、このblog でも整理されています。この本「ウェブで学ぶ」が手元になくてもいろいろ貴重なサイトを訪ねることが出来ます。

それにしても「世界」の人たちを育てることに熱い人たちが、実にたくさんいます。

 

「「美しい」履歴書の時代」

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「一橋ビジネスレビュー」という季刊のビジネス関係の方に広く読まれている雑誌があります。一橋大学イノベーション研究センター編(センター長は米倉誠一郎教授)で、この創刊10周年ということで、御手洗冨士夫キャノン会長、野中郁次郎先生、岩崎卓也「Diamondハーバード・ビジネス・レビュー」編集長とご一緒に特別企画「10周年に寄せて」に、私も祝辞を書かせていただきました。

「「美しい」履歴書の時代」というタイトルです。この言葉は、Silicon Valleyからblogでも大いに発信している海部美知さんの「パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本」 (1) から引用した言葉と、その説明も引用してあります。この海部さんの本では、実にうまい言葉がたくさん出てきます。お勧めの本のひとつです。

私がいつも主張している「他流試合の連続を通して、自分のグローバル世界での「立ち位置」を認識するキャリア」ということと、ほぼ同じことですが、海部さんは言葉の使い方で美しく表現しているので、使わせていただきました。

このような「美しい」履歴書の作り方、これが石倉洋子さんと書いた「世界級キャリアの作り方」のコアのメッセージでもあるのです。

そして、そのために出来ることの始まりのひとつが、私の言っている「休学のすすめ」 であり、また「アジア青年の家」 計画などなのです。

単線路線、同じ組織で順々に上がる、しかも大学新卒から、しかも3年で内定などなど、というキャリア、それが常識と広く認識している社会などは「トンデモ」キャリアの時代なのです。本来、終身にわたって同じ組織に勤務するのは「雇用される側」の選択肢なのです。役所、大企業もそうなのですが、自律度が高いはずの大学でも「4行教授」 (資料1)などが、結構多いのですから。

このようビジネスの本に、私ごときが寄稿させていただけるのはなぜなのか?私も読者のことを考えるとちょっと躊躇しましたが、うれしかったです。そこは米倉先生の目利きでしょうか? 私の察するところ、ビジネスでも、教育でも、医療でも、政府でも、すべての基本は「BtoB」、そして「変化の本体を知る、感じ取れるか」なのだ、といっているからでしょうね、「Back to Basics」ということです。これを企業家、起業家に言い続けていたのが皆さんよくご存知のPeter Druckerなのですね。