Stanford大学と日本起業研究

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昨年からStanford大学とStanford Project on Japanese Entrepreneurship (STAJE)という共同研究が行われています。“MOT”で著名な元副学長のWilliam Miller先生たちとはじめたのですが、5月29日に東京大学で公開の発表会がありました。

Dr. Millerと私は挨拶で参加。Miller先生は80歳とちょっとですが、まだまだ現役。また一つ会社を始めたそうです。東大の各務茂夫教授とStanford大学のRobert Eberhartさんが幹事でした。

私は、とにかく開国とイノベーションを催促する黒船“eco-platform”が来ている。つまり、先週はTEDxTokyo、そして来週にはTiEのTokyo Officeが開設されることを話しました。

雨の降る天気でしたが、250名ほどが参加し、皆さん熱心に議論されたようです。途中で退席をしていたので、後で聞いたことですが。この会議の様子はForbesで紹介されています。

日本、そしてSilicon Valleyの良いところを論じているのですが、いずれ報告書が出ると思います。日本には多くの可能性があるのです。しかし、大事なことは実行です。“Think Locally, Act Globally”ですが。工夫しながら、いくつかのパートナーと仕込みたいと考えています。

地球温暖化へ、日本の目標はどこに?

地球温暖化は、全人類にとって21世紀最大の課題です。対策は遅々として進みません。難しい問題がたくさんあります。でも行動は待ったなしです。100年に一度の経済の低迷とかで、どこかに吹っ飛んでしまったかの様子もないではありませんが、大変なことです。

日本はどうでしょう。国家のビジョンと、国家のリーダーの役割 がこれほど求められているときは歴史的にもそうはありません。

5月24日、官邸で地球温暖化問題に関する懇談会が開催されました。これが最終回だと思いますが、どう国家の決断がされるのでしょうか?この懇談会の様子や資料はネットで見ることができます。私はやはり早口ですね。いつものことですが反省しています。資料ではパブコメと世論調査の大きな違いが目立ちます。なぜでしょうか?

日本は2006年G8サミットで、2050年までに世界全体でCO2排出量を50%削減するという、「CoolEarth 50」という米国も入れた画期的な国家のコミットメントを出しています。また、2008年の洞爺湖サミットでも2050年までに60~80%削減のコミットメントをしています。

では2020年への日本の中期目標はどこなのか?いまは各論ではなくて、従来のコミットメントを実現する道筋としての国家のコミットメントを宣言する時です。すべての可能性と分析はされているのです。できない理由を言っていてもいたし方ありません。やらなくてはいけないのです。今は大転換のときなのです。

「重層的な国際交流」を推進する教育と人材育成を

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わたしは、この20数年にわたって、若者たちに世界との他流試合をさせることの大事さを主張してきました。このブログの太字で示したようなキーワードで検索してみてください。プロスポーツの開国も、1995年の野茂から始まったメジャーリーグ、そしてサッカーのワールドカップやJリーグなどをとおして、日本の若者が目指す目標と価値観が、世界の若者と同じ方向へと変化しているのです。

日本の“国技”である相撲でさえ国際化して、この夏場所の千秋楽、最後の2つの取り組みの力士は皆外国人力士でした。外国人力士は、相撲界全体で約7%、幕内力士では30%、三役では40%、横綱はというと100%です。それでも、このことに怒りを感じているわけでもないと思います。日本人もがんばれと応援する、そして日本文化の価値が世界で知られるようになっている面もあるのです。

そうです、人材育成こそが国家の根幹であり、日本の将来にとってもっとも大事なことなのです。このグローバルな時代に、若者にはもっともっと外の世界に出て行って、違いや多様性と自分の価値を認識し、世界の仲間との連帯を構築することがもっとも大事なのです。これが私の提言です。

「Foreign Affairs」の1・2月号にPrinceton大学国際関係学部長Anne Marie Slaughterの素晴らしい論文が掲載されています。日本の大学との対比で考えると、日本の将来には不安が大いにあります。彼女は1月末から米国国務省の政策局長に就任しました。素敵な人事です。

先日、世界銀行の会議に参加しましたが、私の主張がハイライトされています。「Multilayered Brain Circulation」の重要性です。この主張を皆さんが支持してくれている証拠だと思います。

さて、日本は変わり大相撲化は進むのでしょうか?大学も企業も、内向きの先生や経営者が多くて、なかなか進みませんね。

TEDが東京へ

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TEDが東京へ」といわれて、「いよいよ来たか」と思う方は相当な人ですね。でも本当なのですよ、これが。

5月22日、TEDxTokyoがお台場の科学未来館で開催されました。200人限定で全て英語。日本の方は40%までという設定。私もお手伝いしたのですが、ライブの時間は最長でも1人18分と限る方式で進められ、TEDからいくつか選んだ映像も織り交ぜながら、とても楽しく、そしてinspireされる一日でした。

企画の2人、Todd and Patrickの息のあったコンビ、テンポのよい司会進行がとてもおしゃれ。

TEDxTokyoのサイト、また、本場のTEDのサイトも訪ねてみてください。

ボランティアで参加した多くの若者たちに感謝。

カナダからの訪問

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このところカナダの話題(参考 123) が多いのですが、日加修好80周年ですから例年より交流が多いのかもしれません。

カナダの国会議員、House of CommonsOlivia Chowさんが、大使館の政治担当一等書記官Christopher Burtonさんを伴って、政策大学院大学(GRIPS)の私のオフィスに来られました。

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写真: Chowさん、Burtonさん、角南さん

時間は短かったですが、私と角南さんはトロントへ行ったばかりでしたし、話題は尽きませんでした。Chowさんは、Ito Peng教授も仲間ですよ、といっておられました。

どこで、誰がどう繋がっているか、分かりませんね。これが楽しいのですけどね。いつでも、どこでも“個人”として評価されて仲間が増えていくのです。

2009年度科学ジャーナリスト賞

5月14日、科学ジャーナリスト賞の授賞式が東京で行われました。私も審査員の一人として、受賞者の磯部泰弘さん、吉尾杏子さんを紹介する機会がありました。

皆さんそれぞれ力作で、特に楽しかったのが受賞者の言葉でした。ちょっと短かったでけど。作品からは想像もつかないような、受賞者たちのその作品へのいきさつ、思い、そして作者の人柄がうかがえて、楽しい時間でした。

多くの候補作品から選ぶのはとても難しく、またつらいものがあります。大賞の「ダーウィン『種の起源』を読む」は北村雄一さんの作品で、まだ40歳ちょっと。イラストレイターでサイエンスライターだとか。

進化について考え始めたとき、じゃあ「種の起源」でもと読んでみたが、読んでみると理解しにくい。そこで今度は、ダーウィンの書いた英語で読んでみた。しかし、それも難解だ。そこから疑問が次々と出てきて、解説シリーズが始まり、シリーズ3回が終わったところで本にしないかと依頼があったそうです。死ぬような思いで、猛進したそうです。

特に今年がダーウィンの生誕200周年ということで書いたわけではないようです。でも、この仕事量の多さに比べて、収入はせいぜい年に200万円になるかどうか。そんな切実な話でした。本気で真剣に取り組んだのでしょう。こういう方は大変貴重ですね。

皆さんも是非読んでみてください。

この本の英語版を出そう!Jared Diamondを目指そう!これが私の提案です。出版社の方、お願いしますよ。

Chateau Margaux

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Chateau Margouxは言うまでもなくBordeauxを代表する名門、「フランスワインの女王」といわれます。蔵出しのVintage物を飲もう!という会にお招きを受けて、素敵な料理と素晴らしい方たちといい時間をすごすことができました。

Chateauの支配人Paul Pontallierさんも成田から直行。

Champagne Cattier Clos du Moulinの後、次の順でサーブされました。

Pavillion Blanc du Chateau Margoux 2006
Pavillion Rouge du Chateau Margoux 2004
Pavillion Rouge du Chateuu Margoux 2000
Chateau Margoux 1995
Chateau Margoux 1989
Chateau Margoux 1982

最後の3本もそれぞれ独特な味わいです。95年は力強くて複雑。10~20年後が飲み頃でしょう、89年はまさに今です。とても女性的でまろやか。82年はパワーと厚みがあります。

先日もChateau Mouton Rothschildの1953年をテイストいたしましたし、今年の1月には1858年もの(150年前)のChateau Lafiteを味わう、世の中でも極めてまれな機会がありました。ありがたいことです。

良い友達に乾杯。

好機を捉える、大変革のとき。しかし、リーダーはどこに?

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日本の状況はすこぶるよろしくありません。もちろん世界中がよろしくない状況です。変革を起こし、政治、産業、経済、教育等々、将来の展望を皆が模索しているところです。

私の国家ビジョンについては、今年の始めから繰り返し発信していますが、4月25日発売の週刊ダイヤモンドにも「クリーンエネルギー技術を、中国・インドに売り込め!」というインタビュー記事が掲載されました。相変わらず、変われない理由、できない理由を言う人たちばかり。政治家も、産業界でも、リーダーたるものしっかりして欲しいものです。

民主党の党首が鳩山さんになりました。政治はどう動くでしょうか?

日本では公的資金の“投売り的”な補正予算の話ばかりで、もっぱらこれが政局がらみになっています。既得権グループへの“ばら撒き”の様相、または省庁の“つかみ取り”の様相です。将来への展望、ビジョンが示されず、せっかくの大転換のチャンスを捉えていないのです。誰かさんたちの無責任な大笑いが聞こえてきます。

科学技術政策も同じです。降って沸いたような3,000億円の大型補正予算ですが、これを何にどう使うのか?皆さんも良く見ておいてください。オバマ大統領の科学政策とはずいぶん違います。

若者に投資しない国に将来はありません。グローバル時代へ向かう若者たちには、広い世界を見せ、体験させることが大事なのです。若者たちこそが将来の財産なのですから。

Torontoから-2

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「豚インフルエンザ」のニュースが飛び交う中、5月2日の午後に再びToronto大学のMassey Collegeに向かいました。ちょうど昨日のMunk Centerの向かいにあります。Gairdner賞の責任者で、旧友のJohn Dirksさんを5年ぶりに尋ねました。Washington DCから、AAAS の会議に参加していた有本氏も合流。Collegeの古めかしく格調高い雰囲気の小ぶりな図書室で1時間ほど過ごしました。

すでにご報告したように、今年はこのGairdner賞の50周年にあたり、山中さんと森さんの2人の日本人が受賞 しましたので、表敬訪問です。今年の10月に行われる授賞式や記念行事などについても話を聞きしました(参考 12 )。

ついでProf. Jun Nogamiとの面談。Nano-Materialsの第1人者で、2月にCanadaのNanotech研究推進視察団として来日さられた折に、東京のCanadian Embassyでもお会いしました。

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写真1: Massey CollegeでDirksさん、有本さんと

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写真2: Nogamiさん、角南さんと

その後、Peter Singerさん(参考 1 )とお会いし、来年Canadaがホスト国となるG8サミットのアジェンダ等について、共通の話題で議論を行いました。

夜はIto Peng教授と彼女の友人、有本さん、そして角南さんと、レストラン“Sotto Sotto”で楽しいデイナー。最後はもちろん“Ice Wine”で。日本が一番のお客様だとか。

Torontoから-1

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写真1: トロント大学Naylor学長と

5月1日、Washington DCからTorontoにやってきました。5年ぶりになります。今回はUniversity of TorontoMunk Center for International Studiesへの訪問が主目的です。

まずは、Le Royal Meridien King Edward Hotel にチェックインし、一息ついて出かけます。

最初の訪問では、DirectorのJanice Steinさん、Vice-President for University Relations のJudith Wolfsonさん、L.J. Edmondsさん、そしてGRIPSの角南さんと、今年の「Japan-Canada修好80周年」計画の打ち合わせ。特に広い意味でのイノベーションに焦点を絞ろうと双方で提案をしました。しかし、向こうの3人は、女性で皆それぞれがPhD、弁護士、政府関係など、多彩なキャリアを持っており、たいしたものです。

ところで、75周年のときは日本学術会議と「Gender Issue」をテーマで会議を開催し、そこから「日本-カナダ女性研究者交流プログラム」 が始まっています。

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写真2: Munk CenterでSteinさん、角南さんと

ちょうど講堂ではMunk Center Asia Institute主催の「Asian Foodprints」が開催されており、ちょっとのぞきました。今回が第1回目ということで、食から知る文化、今年は「China、Hong Kong」がテーマで、とても面白そうでした。

その後、学長との面談。5年前に訪問した時は、現在のUC Berkeleyの学長に就任する直前だったBirgenenauさんと学長室で昼食をとりました。就任間もないDr. David Naylorさん(写真1)ですが、私と同じ医師であり、医学部長だった方です。まだ若いですがなかなかのキャリアがあり、共通の話題も多く話が弾みました。

その晩は、Munk Center Asia Institute主催の「食から知る文化」のdinner。お客様も大勢で、所長のJohn WongIto Peng教授をはじめ、Stein, Wolfson, Edmondsさんも参加、全体がすばらしい企画でした。来年は日本をテーマにするということです。会場では在トロントの山下総領事在トロント国際交流基金 鈴木所長ご夫妻にもお会いしました。

7月には天皇皇后両陛下がカナダをご訪問されます。これも皆さんの話題になっていました。うれしいことです。