ゲイツ財団の「枠を外れた」Grand Challenges

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研究申請や研究論文の評価にピアレビューが大事であることは論を待ちません。しかし、「イノベーション」は私の言う「新しい社会的価値の創造」ですから、思いがけないアイデアや、「常識はずれ」「枠を外れた」「出る杭」から生まれることが多いのです。“By definition, peer review is not compatible with innovation”です。

ピアレビューは方法や考え方などから研究の質を保証するのに必須ですが、考え方が「時代の常識」の枠内にとどまるのは、その性質上、いたし方ないところです。

ゲイツ財団のグローバルヘルス分野での活動はつとに知られていますが、2年前から始めたのがGrand Challenges Explorationsです。財団の掲げるミッションに合う、大胆で、「枠を外れた」提案やアイデアを世界中から募集しているのです。提案を2ページに書いて申請し、採用されると1年で10万ドルの研究費がつきます。面白そうな成果が出てくるともっと大きな研究費で、研究継続の可能性があるのです。

びっくりするような面白いアイデア、研究が採用されています。日本からも3つ採用されています。採用されたものの中には、大胆すぎて競争率の高いことで知られるNIHのグラントで落ちている研究申請もあるそうです。

今回のラウンドの締め切りは5月29日。上に紹介したサイトを訪ねて、申請を考えてはいかがでしょうか?

これに似た競争的研究資金は数年前から英国などでも始まっています。今年からCanon財団でも始め、私もお手伝いしています。

でも、どうやって選ぶのでしょうか?ここに工夫の仕方があるのです。これもイノベーションです。