「東大とノーベル賞」、荒野を目指さない若者たち

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このブログで繰り返し出てくるテーマに、「グローバル世界」と「教育・人材」があります。

グローバルな競争の時代に、グローバルな課題に取り組むためには、国家による科学技術への投資は大事です。しかし、これらを実践するのは、結局は一人ひとりの人間です。

安倍政権の時に私が座長として閣議決定をみた「イノベーション25」では、イノベーション、つまり「新しい社会的価値の創造」には、「人づくり」が最も重要で、「出る杭」が大事だと指摘しました。閣議決定の文書にもかかわらず、「出る杭」という言葉が繰り返し出てきます。

さて、昨年はノーベル賞の科学分野で4人の日本の研究者が受賞され、とても明るいニュースになりました。受賞者の皆さんの経歴を見るとお分かりのように、皆さん「出る杭」というか、「枠を外れて」おられますね。

昨年10月から、朝日新聞紙面で隔週月曜日に「GLOBE」という素敵な企画が始まりました。今年の3月18日号に「なぜ東大からノーベル賞が出にくいか」という一文を書きました。東大の出身で、東大で行った研究でノーベル賞を受賞されたのは、小柴先生だけなのです。

コラムを読まれた東大の先生方の中には、不愉快な思いをされる方もおられるとは思いますが、皆さんはいかがお考えですか。広い世界で他流試合をする、これは大事な原則・プリンシプルの問題なのです。

内にばかりこもっていては、せっかくの才能も、新種の「芽」を出し、「大樹」にはならないでしょう。もったいないことです。「井の中の蛙、大海を知らず」(知っているようで、知らないのです)。