またまたロンドンから

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去年の11月につづいて、またロンドン(11/1411/15 )に来ました。

ロンドンへはいつも、成田21時55分発、パリ4時30分着のAir Franceを使います。その朝5時半頃、Charles de Gaulle空港のLoungeでオバマさんが新大統領に決まり、彼の歴史的なスピーチ をTVで聞いたのでした。

今回は、家族計画運動の世界的なNGO、IPPFが資金援助している国や団体との年次会議があり(日本は外務省から参加)、そこで基調講演をします。あまり話題にはなりませんが、本当は多くの社会、健康問題の中でもとても大事なテーマです。特にこのような経済危機の最中ですから、責任が大きいですね。講演の原稿は夜中までかかって書き上げて、読ませてもらいました。講演録をお渡ししたかったこともあったので。日本の対応はJOICEF代表の石井澄江さん (去年の洞爺湖サミットでNGOの代表として大変にお世話になりました)。私の講演の評判はよかったとのことで、ほっとしました。

Dsc00487 写真1:IPPFのパネル

Dsc00483_kk4写真2:大使館から宮川さん、石井さん、私、IPPF Africa Regional Office DirectorのTewodros Melesse.

会議前日の朝にロンドンに到着。早速、Brown首相の科学顧問John Baddington 、続いてWHO Commission ChairのMichael Marmot とお会いしました。その後、西ヶ廣公使邸で公使、経済担当の岡公使、Royal Society の副会長、国際担当のLorna Castletonさんたちと昼食をさせていただき来ました。話題は尽きず、あっという間に時間がたちました。

Dsc00472_marmot 写真3:Prof Michael Marmotと

Dsc00478写真4:西ヶ廣公使、岡公使、Castletonさんたちと

夜にはIPPFの幹部、演者の方々と夕食の機会を持ちました。London塔のすぐ横のレストランです。

Dsc00479写真5、6:London Tower

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翌日のIPPFでの講演後、Heathrow空港からDavosへ向かいました。夜10時ごろにホテル着。今年は過去2年と比べ、雪があります。

グローバルヘルス Global health

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このサイトでいろいろな形で繰り返し出てくるのが、私たちのNPO 「Health Policy Institute, Japan」活動の一つの柱の「Global Health」関係です。これは国内の、そしてグローバル世界のいろいろな方々、たとえば世界銀行、ゲイツ財団、Rockefeller財団、また政府、政府機関とも協力しながら進めています。

これらの活動は「市民社会」活動といえるもので、このような動きムーブメントの推進を通して去年はGlobal Health Summitアフリカ開発会議TICAD4G8サミット等へも貢献できたと思います。このサイト内でもいろいろ「search」してみてください。

世界には、信じられないようなとても不幸な状況の方たちが大勢いるのです。その一つの企画にも参加することができました。以前にも報告しましたが、Imperial College、BBC、Gates財団の協力、Rockhopperの製作「SURVIVAL」 というfilm documentary seriesです。これが一応完成して、ウェブ上で英日独仏語で見ることができます。私もメッセージを出しているのですが、これは日本語で書いてあるのですが、英語でしゃべっています。ちょっと変ですね。

国家のビジョンと新エネルギーと農業政策

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今年に入り、このブログでいろいろと国家ビジョンについて触れています

元旦のブログに始まり、7日20日21日のブログなどがそうです。それから、13日に書いたブログもこれに関連して、オバマ政権の政策について触れました。

そして今日は、22日の朝日新聞記事word file)で、12月と1月に行った講演に関するものです。これらの講演に関する記事が段々と長いものになってきたので、私の言っている“Story”が明らかになってきたのではないでしょうか。

このグローバル社会の大転換期、日本の危機的状況、オバマ新大統領の誕生、日米そして世界の動向を考えると、このように記事などで私の考えを取り上げてくださることは、本当にありがたいことです。

さて、これらをどのように一歩前に進めたらいいか、皆さんも動き出してください。

2009年1月

第1回文部科学省
「最先端の光の創成を目指したネットワーク研究拠点プログラム」シンポジウム
日程: 2009年1月23日(金) 14:40-14:55
場所: 東京大学本郷キャンパス 理学部1号館 小柴ホール
演題: 「光科学への期待」
<連絡先>
東京大学 先端光量子アライアンス 事務局担当 三尾克典
TEL:04-7136-5460
E-mail:pfn-sympo1@psc.t.u-tokyo.ac.jp

「脱・できない理由」

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朝日新聞の夕刊に「窓」という論説委員室のコラムがあります。

12月に行った私の講演を聞いて、村山論説委員が「脱・できない理由」というコラムを書いてくださいました。嬉しいですね。「大賛成!」「その通りだ!」というメールをいくつも頂きました。ありがとうございます。

このコラムは次のように進みます。

■日本は2050年に食糧とクリーンエネルギーの輸出国になる。

■政策研究大学院大学の黒川清教授は一昨年、そんな目標を打ち出してはどうかと当時の安倍首相に助言したことがある。内閣特別顧問だったころだ。

■関係する役所からは、「そんなこと、できっこない」という否定的な反応ばかりが官邸に上がってきたという。

■日本の食糧自給率は40%ぐらいしかない。エネルギーとなると、わずか4%にすぎない。霞ヶ関のお役人でなくても、目標を実現するのはそうとうに難しいことがわかる。

■「でも、なにごとも、できない理由をあげていてはダメなんです」。黒川さんは、そう強調する。インパクトのある目標をわかりやすい言葉で発信し、みんなに「自分は何ができるのか」を考えてもらう。そうやって世の中を変えていくのが政治の仕事というわけだ。

■もうすぐ米国の大統領になるオバマ氏は、グリーン・ニューディール(緑の内需)政策で不況を乗り切る、という明快なメッセージを発信している。それに呼応して、各国が「低炭素社会に向けて何ができるか」を考え始めた。

■いまの日本には、政治のリーダーシップはない。だから、「できない理由」が幅をきかせている。

■黒川さんは最近、あちこちで説いて回っている。「食糧とクリーンエネルギーの輸出は、2030年にでも、実現できます」

<村山知博>

(出典:2009年1月19日(月)朝日新聞夕刊2面)

村山さん、ありがとう。

皆さんはいかがお考えですか。

科学技術振興機構の新春に、「日本の国家ビジョン」を

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Washington DCから帰京して早々の14日、政府、学界、産業界の科学技術関係者の多くが集まる科学技術振興機構(JST)の新春の会合がありました。毎年行なわれていて、会場は満員です。

今年は基調講演をさせていただき、1月13日16日のブログに書いた、ワシントンで感じたアメリカ新政権の感触、そして昨年12月に行なった2つの講演でも話した私なりに考える「日本の国家ビジョン」について話をしました。

20090114jst02dsc_04701写真: 講演する私

講演の要旨は、参加されていた元ジャーナリストの小岩井さん出口さんがそれぞれ紹介してくれています。私の意見を広めてくださり、ありがとうございます。嬉しいです。

講演の全体の概略はこちらで読むことができます。

「大学病院革命」、慶應義塾大学病院への提案

慶応義塾医学部新聞(2008年12月20日号、第686号)の1面に、戸山病院長と私の対談、“今こそ建学の精神に立ち戻り、未来へ向けた「大学病院革命を」!”が掲載されました。慶應義塾大学病院の将来がテーマです。

私の論点は「大学病院革命」にも書いた内容で、これまでも機会あるごとに発言していますが、現在の政府が進める第5次医療計画にも通ずる基本的考え方です。

このブログを訪れてくださる方々には何度も言っていることですが、このグローバル時代、何が自分の強みで、何が弱みなのか、何が自分を他と差別する特徴なのか、リーダーの責任は何か、などにも触れてお話ししました。

私は慶應義塾の応援団と自認していますが、対談ではその理由についても触れられています。福沢諭吉の思想と行動とそのスケールを考える時、特にその時代と社会の背景を考えれば考えるほど、とてつもなく大きい人だと感じます。こんな人が今の時代、一人でもいるでしょうか。

この対談に目を通していただき、日本の医療、大学病院の役割とそこへの改革の工程を考え、実行していただければ嬉しいです。

ワシントンから-2、科学者たちの新しい協力へ

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今回のワシントンでの3日間は、ほとんどを米国科学アカデミーの内部で過ごしました。何人かの方たちとの会談も、アカデミーに来ていただいて行いました。

8日はホテルにチェックインして一休み。午後からは、まずアカデミーの新しい報告書記者発表プレスに参加。共同委員長のJOHN HENNESSY(President of Stanford University)とBRENT SCOWCROFT資料1)、他に3人がプレスに出席しました。すごいメンバーですね。委員会でもアカデミーの会員ばかりでなく、その課題について必要な様々の方々に参加を頂いているのです。

委員会メンバーのJohn GageNorman Neureiter もこのプレスの会場に来ていましたが、私が途中で抜け出したので会えませんでした。John Gageとは翌日、会うことになりますが・・・。

翌日の朝は、NASでHarvard大学のCalestous Juma公開講演に参加。ここでJohn Gageさんに会えたのです。

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写真1-3: 講演するJumaさん;One laptop per ChildのNegroponteのlaptopを持つ女の子;John Gageさん、Jumaさんと

この2日間は、科学アカデミーに立てこもりで、次々といろいろな方たちとお会いしました。アカデミーを構成する3つの組織の各ヘッド、Harvey Fineberg(Institute of Medicine)、Charles Vest(Natl Academy of Engineering)、 Ralph Cicerone(Natl Academy of Sciences)と個別に会談し(Ciceroneさんとは慌しく)、新政権下での両国の科学者たちの協力、計画などについて話し合いました。国際担当局長のJohn Borightさんとほとんど一緒に動き回りました。

また世界銀行Atlantic CouncilFred Kempeさんなど主要なかたがたともお会いし、いろいろと議論しました。

Dsc00467_2写真4: Vestさんと

Dsc00469_2写真5: STS Forum会議、左から私、Rita Colwell さん、Yuan T Lee (資料1)さんなど。

10日は尾身幸次議員の主催するSTS Forumの委員会を開催。活発な議論で一日が過ぎました。ここでもまた、いろいろな友人に会えました。

新しい1年の始まりとして、とてもとても収穫の多い3日間でした。

ここに出てくる方たちは、このblogで何度も出てくるので、「サーチ」してみてください。

ワシントンから-1、オバマ政権首脳人事の「すごさ」と期待

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この3年、正月はじめにワシントンを訪問するのが恒例になっています。今年は例年とはまったく違う雰囲気です。新しい大統領に対する期待が、これまでに彼が人選を行なった閣僚や顧問団が極めて「質」のいいことで、さらに膨れ上がり、希望と期待に溢れているように感じます。

特に科学者たちの間ではエネルギー省長官にNobel物理賞のSteve Chu(Director, Laurence Berkeley National Laboratory)、特に科学に関係ある案件ですが、主任経済顧問にLawrence Sommers(Harvard U.)、科学顧問John Holdren (Harvard U.)、さらにNobel医学生理学賞のHarold Vamus (元NIH長官、現Sloan-Ketteringガンセンター総長)とEric Lander (MIT)、Ocean and Atmospheric庁長官がJane Lubchenco (元ICSU会長)等々、超一流の学者達、しかも従来から低炭素、環境問題等々で発言、活動をしている人たちばかりで固めています。科学者社会でも彼らに対する尊敬、信頼はきわめて高い人たちばかりです。すごいリストです。

今週あたりから、議会のヒアリングが次々と始まるようで、一切のコンタクトは禁じられているということです。猟官運動などと疑われかねないですからね。

エネルギー、環境等についてオバマ政権の方向は明白です。さて、日本は技術だけは「一流・最高」(?)。しかし、政治も、財界産業界も、役所も、メディアも、大学も、利害関係者と大きな抵抗勢力などとの調整ばかりで、「できない理由ばかり」です。もたもたしているうちに世界の潮流から取り残されてしまのでは?とても心配です。日本でも「新しい潮流」の出現が待たれるのですが・・・。

この2・3日、オバマさんの経済政策の一部の発表がありました。この歴史的なグローバル規模の大困難と大転換の時に、この国がすばらしいリーダーを持ったという誇りに近い雰囲気が、国民の間に(といっても直接に聞いたのは私の周りにいる方たちが主ですが、)広がっているようです。時間はかかっても、この問題を、協力しながら乗り越えようという自信がじわじわと湧き始めたというところでしょうか。課題はとてつもなく大きいのですが、世界のリーダーであろうとする国家の意思と国民の意識でしょうか。

日本ではこんな動きが現れないのでしょうか?兆しはありますかね?もどかしい限りです。

しかし、オバマ政権の困難は極めて大きいと思います。国内経済は言うまでもなく、Pakistan、Afganistan、Palestine-Gaza等々、難題は限りなく、しかも急を要することばかりです。

日本は国内問題で手いっぱい。世界への影響も、世界からの期待もそれほどでないので、まだ救われているといったところでしょうかね。本当に大丈夫でしょうか?

次期大統領オバマ氏、U Street(ワシントンDC市街)へサプライズ訪問

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先週ワシントンに3日間出張してきました(出張については近くブログでご報告します)が、滞在中に、クリントン政権で仕事をしていたこともある旧友とU Streetに出かけました。金曜日の夜のことです。このあたりは以前あまり治安が良くなかったのですが、ここ数年間で小さなレストランや洒落たジャズの店が立ち並ぶ安全な場所に変身しました。私達はその通りをぶらぶら歩き、店の一つにも入って楽しい時間を過ごしました。

翌日の午後、私が会議で一日中缶詰めになっている間に、なんと次期大統領のオバマ氏がFenty行政長官と共に同じエリアを訪問されたそうです。明らかに予定外のサプライズ訪問です。写真付の現地レポート(ワシントンポスト)がありますのでご覧下さい。