リーダーの言葉、「ちから」と思想

→English

オバマさんが、とうとうアメリカ大統領になります。すごいことですね。

このような背景の人が大統領になるアメリカ社会の内的な強さ、変化するグローバル世界、そして世界の期待を一気に受け止める強さと責任感を感じさせる、一種の羨望が感じられた時間だったのではないでしょうか。どこでもこの話題が、感動を持って語られ、話題になっています。私もこの選挙はアメリカの内的な強さの存在を示した、歴史的な出来事だと思います。あまりにも変われない世界第2位の経済国家。日本の状況とすぐに比較できるのではないでしょうか?

彼は、米国でも「orator」(大変優れたpublic speaker)と評され、大統領候補ではJFK以来とも言われます。勿論、それだけではありません。優れた人たち、支援者に囲まれ、市民活動からスタートし、そして逆境をはねのけてきた、芯の強さを感じます。ナミの人ではありませんね。この「逆境」を実体験したことのない人には、いざという時に「修羅場」はこなせないような気がします。冨山和彦さんの著書「指一本の執念が勝負を決める」に示してあるとおりです。歴史的にみて、ほぼ例外はありません。

リーダーのメッセージの意義、プロセスについては、JFKそしてWinston Churchillの演説のコレクションが大いに参考になるでしょう。

前者「Let the Word Go Forth」の著者は、31歳という若さでJFKのスピーチライターだったTed Sorensen去年、偶然お会いすることができました)。彼の書いている「序」はすばらしいです。JFKのような類まれな政治家のスピーチの思想、意義、背景などについて、教えられるところが多く、参考になると思います。

後者は「Never Give In」というタイトルで、Churchillのお孫さん(名前は同じくWinston Churchillですが、middle nameが違うのですね)が編纂したものです。政治家の言葉について、その思想、草稿、国民への伝え方など、これも大いに参考になるはずです。

これらの本を見てみると、日本のような閉ざされた国では政治のトップものんきなものだなと考えてしまいます。いまや、日本も日本だけではすまない世界なのですから。力量のある、国民を鼓舞するような力のある「リーダー」の言葉がないのです。大体、役所の書いたものを読むようでは、政治家として信用されるはずがありません。しかも、このグローバル時代、日本語でしゃべってもすぐに世界中に知られているのです。こうしたことが積み重なって政治家の、そして国家の信用になっているのです。

もっとも、これはビジネスのリーダーにも、学者にも、官僚にも、すべてに言えることです。それらが集まって国家の「品格」というものになっているのでしょう。