アブダビから-2、思いがけない歴史の偶然に居合わせること

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遅くなりました。普段使っているLaptopが壊れてしまいました。これから、少しずつ追いつきます。

「アブダビから-1」でお話したように、10月22日からAbu Dhabiに滞在していました。Festival of Thinkersでは開会式に始まり、いろいろとすばらしいプログラムがありました。いくつか関連したサイトを紹介します。このブログの内容を補完してくれます。

http://www.apumate.net/news/2007/11/news000903.html
http://www.apu.ac.jp/home/modules/news/article.php?%20storyid=631

Blog
Yoko Ishikura blog (123
New York Social Diary (12) 私も含めてたくさんの素敵な写真が掲載されています。

オープニングと午前の特別講演では、特に2004年のNobel Peace Prizeを受賞されたKeynaのMaataiさんが、皆の心を揺さぶるような感動的な講演をされました。Nobel賞を受賞した後のことですが、小泉総理の時に訪日し、日本の「もったいない」精神に感激して、この言葉を世界に広めています。開会式のステージ後方のスクリーンには私の写真(写真1)も入っていました。素直に喜びましょう。

Img_0872 写真1 オープニング。私の写真が見えますか?

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写真2 会場のEmirates Palaceで、波多野大使ご夫妻、石倉さん、そして私

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写真3 同じく会場で、池坊さん、石倉さん、私、そしてCassimさん

立命館大学の大分分校とも言うべきアジア太平洋大学APUのCassim学長の主催で行なわれた、日本に関するパネル、Theme 7 「The Rising from the Ashes-Japan special」に参加したのですが、Festival of Thinkersのプログラムに掲載されているこのパネルの目的と内容は前回紹介しました広島UNITAR所長のAzimiさんが書かれたものだと思います。よくまとめてありました。今回のKeynoteも彼女が話をしました。

さて、このセッションは、まず波多野大使とCassimさんの挨拶、池坊さんによる池坊流の生け花の形と精神について、さらに佐々木教授による生け花の実演があり、その後で、Cassimさん、Azimiさん、石倉さん、そして私が参加してパネルが行なわれました。パネルの様子は上に紹介したblogなどにも書かれています。

この後に行われたパネルも私の出番でした。Theme 8 「Moving Beyond Conflicts」で、この内容はプログラムのサイトを見てください。私の右隣にはCubaのCastro大統領のご子息、やはり名前はFidel Castroさんが座られました。旧ソ連で教育を受けた物理学者で、大統領の科学顧問をされています。4年ほど前に国連大学でお会いしたことがあって、パネルの前にお互いに久しぶりの再会を話題にしました。

パネリストの一番左端にはアメリカの方が座られましたが、自己紹介では「私は視力が落ちている(I have a poor vision)ので、ちょっと歩くのに不便だが、しかし、今のアメリカ大統領よりは明確なビジョンがある(I have a clear vision)」と話されていました。このパネルが終わってみて知ったのですが、この方はJohn F Kennedy大統領に最も信頼を受けていた顧問で(JFKが大統領になってその顧問団に参加した1961年、彼は若干31歳です)、JFKの主要なスピーチを書いていた、Theodore ‘Ted’ Sorensen だったのです。

彼は自分の身分を明かさず、ちょうどこの日の前日が、冷戦の中でも最も核戦争に近かった危機、1962年10月15日から13日間続いたCubaのミサイル危機の“13日目”から45年目であったことに触れ、このパネルに問いかけていらっしゃいました(「13日 Thirteen Days」という映画にもなっていますね)。この辺の彼のインタビューコメンタリーもあります。皆さんはどう考えますか?素晴らしい方ですね。

パネルが終わり、会場とのQ&Aの時に、会場にいた一人の方が、「この人こそ、私が一番会いたかった人物、あの冷戦の核戦争を救ったJFKの顧問、あの文章を書いたその人、Ted Sorensenだ」と言われ、皆びっくりしたのです。この人の言葉の端々にJFKへの尊敬がなんとなくにじみ出ているなと感じていたのは、私だけではなかったと思います。さもありなんですね。上に紹介したblogに、このパネルとTed Sorensenのこと、そしてCastroさんと私のことなどが書かれています(パネルでの私の「晴れ姿」も見られます)。しかし、思いがけないことがあるものですね、だから楽しいですね。

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写真4 左からTed Sorenseon、Fidel Castro Jr、私、UNITAR所長のAzimiさん

夜は、またもや波多野大使公邸に。そして、Dubai経由で北京で行われるWHOの会議に向かいました。

Abu Dhabiでは皆さん、ご苦労さま、お世話になりました、そしてありがとうございました。

ところで、北京の会議を終えて帰国した数日後、CastroさんとCuba大使館の方たちが私の事務所を訪問され、Nanotech研究について物質・材料研究機構の岸輝雄所長や理研の富田悟先生にコンタクトをとりました。私の言う「Science as a Foreign Policy」の実践です。これは力強い外交でもあるのです。