Singaporeから

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4月17日は久しぶりに外国人記者クラブ(FCCJ)に招かれ、イノベーション25の話をしました。この会見の内容は外国人記者クラブのサイトで見ることができます(いずれビデオでもご覧になれるようになると思います)。会見に先立ち、ちょうどScience誌(April 13th issue)に私のインタビューが掲載されたばかりだったので、イノベーション25の英文報告書と一緒にお配りしてお話しました。やはり英語でのインタビューは、言語の成り立ちの背景からも人間関係がフラットなので、話しやすいです。以前から言っていることですが、日本語で話すと、どうしても聞いている方たちの顔ぶれを見て社会的地位などを考えて遠慮したり、言葉を選んでしまい、それだけで結構気を使ってしまって本音の話がしにくいのです。

19日にはSingaporeに行きました。ここはアジアでもっとも急速に、また、ダイナミックに成長し、変革している場所ですね。20日に行われるバイオテク政策企画立案の中心である「A*STAR」の理事会、Member of the Boardに就任して初めての会議に出席することが目的です。たった18ヶ月という短い時間で設立されたBiopolisで開催されました。これまではPhilip Yeo大臣が科学政策を牽引してこられ、彼の貢献は世界中で注目されていました。とにかく自分でよく動lき、人脈が実に広い。また決断と実行力も抜群で政府中枢からの信頼も厚いことが感じられます。これからは文部次官等を歴任してこられたLim氏が担当されるようで、Yeo氏は新規起業などに関わっていくようです。よく考えよく勉強し、決定も決断も早いのが、この小さな政府の小さな国(人口約400万)の活力の源です。とにかく若者の教育、国際化を中心とした人材育成を長期戦略の中心として国家政策をすすめています。一方で効率よい政府と社会システムが、この国を最も知力に満ちた国に挙げている大きな要因でしょう。写真1は、同じ理事会メンバーのTachi Yamada氏(UCLA時代からの友人です。現在Gates FoundationのGlobal Health Initiative Directorとして世界中を駆け回っています)、久しぶりにお会いした元京都大学教授、ウイルス研究所所長で、ここのBiopolisで活躍されている伊藤嘉明教授と撮った一枚です。伊藤先生のような方がもっと出てくるといいのですけどね。

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写真1: 左から伊藤教授、わたし、Dr Yamada

また、今回は国立シンガポール大学病院の中にSyndey Brenner先生を記念した、分子生物学臨床研究所の開設式もありました(写真2)。沖縄大学院大学の設計にも関わっている建築家、Ken Kornberg氏による改築がされていて、なかなかいい印象です(写真3)。彼は、Nobel賞受賞のArthur Kornberg氏の息子さんで、去年お兄さんがNobel化学賞受賞しています。親子2代での受賞は3組目だと思いますが、その一組が、誰もが知っているCurie婦人とその娘Joliot Curie氏です。この母娘のすごさがご理解いただけるのではないでしょうか。

Singaporeはいま活力に満ち溢れています。

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写真2: Brenner研究所会所式典で、左からYeo大臣、Brenner先生、Lim議長

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写真3: Brenner研究所で、建築家Ken Kornberg氏と