ダボスから(3)

26日のダボスは一番忙しかったです。午前中は私が司会で“Who Funds Research and Innovation?”というテーマのパネルディスカッションを行いました。8人のパネリストは以下のメンバーです。

・Carol Bartz, Executive Chairman, Autodesk, USA
・Seth Berkeley, President and CEO, International AIDS Vaccine Initiative, USA
・Alexander Bradshaw, Scientific Director, Max-Planck-Institute for Plamsa Physics, Germany
・James Fruchterman, President and CEO, The Benetech Initiatitve, USA: Social Entrepreneur
・Thomas Insel, Director, National Institute of Mental Health, USA
・Linda Lomier, Vice-President, Yale University, USA
・Neelie Kroes, Commissioner, Competition, European Commission. Brussels
・Xu Zhihong, President, Peking University, People’s Republic of China

豪華なメンバーです。いろいろ盛り上がりました。意見の違いは多くても、このようなフラットな議論のプロセスで相互理解と共通のゴールを共有することはとても大事なことだと感じます。楽しいパネルでした。午前の同じ時間帯に、石倉洋子さんがHarvard Business Reviewの編集長Thomas Stewart氏と共同司会で進行する「How Cities Drive Innovation」というパネルもありました。もちろん私は出ることはできませんでした。

さらに午後にはJames近藤君の司会で“How Much Should the Industrialized World Spend on Healthcare?”というこれも大変興味あるパネルがありました。最近とみに医療政策に進出してきたMichael Porter氏もパネリストの一人として参加していました。彼とは去年、同じテーマで私と一緒のパネルにも参加していました。

こちらにも私は出れませんでした。というのも、非公開で内々に行われた、「化学産業界社長の会」のパネルでしゃべるよう招待されていたからです。東レの榊原社長、住友化学の米倉社長(写真1)もおいでになりました。1/25のブログで紹介したDaniel Esty氏(Yale U.)とも一緒でした(写真2)。

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写真 1: 住友化学の米倉社長(左から二人目)

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写真 2: パネルに招待された(右から)Estyさん、私、そして中国の大物Siweiさん。「Green to Gold」の本が見えますね。

彼とはすっかり意気投合し、彼の最近の著書「Green to Gold」(写真2に見えています)をいただきました。これからの企業のあり方について極めて参考になると思います。企業と環境対応のあり方について明快に書いてありますので、是非多くの日本の企業人に読んでもらいたい一冊です。これからの世界のビジネスのトレンドを予測させます。事実、今回のダボス会議で一番多くの人が集まったのは、10を超える環境と気候変動のセッションでした。エネルギーではSteven Chu氏が存在感を出していました。

そのあと16時15分から、“Scaling Innovation in Foreign Aid”というセッションを聴きに行きました。Bill Gates氏、Paul Wolfowitz氏(第一期Bush政権のネオコンの一人。現在、Word Bank総裁)、NY University経済学教授のWilliam Easterly氏、そしてLiberia大統領のEllen Johnson Sirleaf氏(写真3)が参加していました。司会はNewsweek InternationalのEditorであるFareed Zakaria氏でした(権威を恐れぬ実に鋭い突っ込み!メディア人の“鑑(かがみ)”だと感じました)。去年、Gates FoundationのGlobal Health InitiativeのDirectorとなった、UCLA時代からの友人、Tachi Yamada氏ともここで一緒になり、Malinda Gatesさんを紹介されました。このパネルの議論を聞いていて、Bill Gates氏は恐ろしいほどシャープだと感じました。

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写真 3: 左からBill Gates氏、Prof. Easterly、そしてWolfowitz世界銀行総裁。

この後はTony Blair氏、U2のBono氏、Gates氏などが出るパネル「Delivering on the Promise of Africa」でした。こういうところでは必ず緒方貞子さんがパネリストに入っています。緒方さんからはいつも日本の誇りというものをひしひしと感じます。

夜は夜で、これからの宇宙プロジェクトのパネルに呼ばれていて、私の盟友、The Royal SocietyのPresidentでCambridge University-Trinity CollegeのMasterでもあるLord Martin Rees氏と一緒で、楽しかったです。このセッションには石倉洋子さんも来られて、Rees氏の隣に座っていました。帰りは石倉さん、坪内さん(写真4)と一緒に帰りました。

明日の朝はダボスを離れて帰国の途に着きます。今回は緒方貞子さんや竹中平蔵さんが数多くのセッションに参加され、飛び抜けた存在感があったと感じました。嬉しいのですが、世界第2位の経済大国としては、他にももうちょっと存在感を出せる人が欲しいですね。皆さんご苦労様でした。

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写真 4: 左から石倉さん、私、そして坪内さん。