「イノベーティブな人」の条件、「フロネシス(Phronesis)」とはなにか?

今日の午前は、昨日(11月20日)の産学官サミットのゲストで来日された元Stanford大学副学長のWilliam Millerさんの訪問を受け、楽しい時間を過ごしました(今年でもう3回目の来日だということです)。原山さんもちょうど来られたので、スタッフの佐藤くん、是永くんたちにも参加していただきました。夕方からは総合科学技術会議の本会議が官邸でありました。今日のセッションはなかなかよかったです。その後、デンマーク大使館でRasmussen首相の歓迎レセプションに行きました。レセプションで東京工業大学長の相沢学長にお会いしましたが、Rasmussen首相が明日、東工大で学生さんを相手にお話をされるそうです。楽しそうですね。

今日は、久しぶりに格調高い、哲学的思索の入った「イノベーティブな人」、「イノベーティブなマインド」についての考え方を伺いました。DNDに掲載されている原山さんのレポートがそれです。

さすがに、ヨーロッパの高等教育を受け、仕事をされていた方ですね。感心しました。ちょうど出たばかりの日本学術会議「学術の動向」11月号のジェンダー特集に寄稿されている上野千鶴子さんの文を読んでいたら、原山さんも引用していた言語学者ソシュール(Saussure)の同じ本が引用されていたのでびっくりしました。

でも、出ましたね、原山さん!ここでも「フロネシス(Pronesis)」が!私の11/14のブログDNDメールマガジン Vol.196でも取り上げている言葉です。

野中郁次郎先生(本当にすごい先生ですよね)が提示したこの言葉「フロネシス(Phronesis)」の意味ですが、原山さんの引用を再引用させていただくと、“この言葉の意味の重要性、あまり聞きなれない概念なので定義を引用すると「個別具体的な場面のなかで、全体の善のために、意思決定し行動すべき最善の振る舞い方を見出す能力」となります。ここでキーとなるのが主観であり、その主観がよりどころとする価値体系の構成要素である倫理観、歴史観、社会観、政治観、美的感覚なのです。科学的知識と実践的知識を融合してアクションを取るイノベーティブなひとには規範的な側面においても卓越していることが求められるのではないでしょうか。”と。いい文章ですね。素晴らしい。

野中先生が例として挙げられる方の中に先週生誕100年を迎えた本田宗一郎さんがいまが、ほかにもソニーの井深大さん、盛田昭夫さん、トヨタの豊田喜一郎さん、クロネコヤマトの小倉昌男さんたちが私にはすぐに浮かぶのです。

このような哲学、思想にこそ、社会の変化をもたらすイノベーションを起こす「イノベーティブな人」、「イノベーティブなマインド」は深く無意識下に内在するのだと私は思います。

イノベーションについてこのような理解が広がると、本当に活気のある、素晴らしい社会変革が起こるでしょう。いや、そのような認識こそが広がってこそ、社会イノベーションが起こる「活気のあふれる」、「品格ある国家」になるのであろうと考えるのです。予算委員会などの答弁などを聞いていると、安倍総理はこのような認識をどこかにもっておられると、私は感じています。

061121 写真 Stanford大学のMillerさん、原山さんと