アメリカ~カナダ 世界の知識人たちと

4月22日からアメリカ、カナダと周って、本日日本に戻ってきました。ゴールデンウィークとヤンキースの試合がNYで行われた事も重なって、日本からの観光客がホテルにあふれていました。

アメリカではまずNew Orleansでアメリカ内科学会(ACP)年次総会に出席しました。4月13日にも書きましたが、アメリカ大陸以外で初めてACPの支部(Chapter)が日本に設立されました。その第1回総会が東京で開催されたこともあり、今回は日本から何人かのフェローの認証式典がありました。厳かでとてもよい式典で、みんな喜んでくれました。きっとこの人たちが将来の日本の内科医、指導医の中心になってくれるでしょう。

25日からはカナダのオタワに入り、翌日にはカナダ科学アカデミー会長のAlperさんの招待により、「Industry Canada」で21世紀科学技術政策についての講演をしました。「Industry Canada」はカナダ政府の科学技術政策決定に一番重要な委員会だそうです。ディナーの時にAlperさんに、参加者から講演を称賛する電話がたくさんあったと言われ嬉しかったです。

トロント大学では、学長(MITの理学部長を務めていたBergeneau博士)と昼食をご一緒し、多くの幹部の方とお会いできました。その後、腎臓グループで高血圧の講演を行い、理学部のレセプションでは何人かの日本からの研究者たちにも会う事ができました。

今年はカナダと日本の外交75周年で、11月には東京のカナダ大使館で記念に2~3日のカンファレンスを企画しています。今のところ「科学、技術、工学と女性科学者」に焦点をあわせようと考えています。衆議院議員の野田聖子さんもお呼びしています。

この後、ニューヨークで今年11月に開催する「社会のための科学技術国際フォーラム」の打ち合わせ会議があり、尾身大臣、MITのFreedman博士(ノーベル物理学賞を受賞されています)たちと一日過ごしました。翌日は、New York Academy of SciencesでChairmanの前Rockfeller University学長、Wiesel博士(ノーベル医学生理学賞を受賞しています)や、PresidentのEllis Rubinstein(元Science誌編集長)、そしてColumbia大学医学部循環器科のDr. Shunichi Honma先生達と、メトロポリタン美術館でディナーをとりました。皆さん素晴らしい人たちで、話も大変弾みました。

ところで、Rockefeller Universityの後任の学長には、2年前にノーベル医学・生理学賞を受賞したPaul Nurse氏がイギリスから招かれました。ここまでの人事とは言わないまでも、日本では国立大学の法人化に至っても、全員が教授会内部から互選で選ばれた学部長、そしてその学部長経験者からの内部昇格なのですから、「学」の世界でも世界の常識とかなり外れているのです。それにも気がつかない「学」も大したものですが。

明治6年に『学問の勧め』で福沢諭吉はこの点を指摘しているのですからすごいものです。