近代日本の「70年サイクル」

4月11日、岡山で開催された「小児科学会」(会長:岡山大学名誉教授・大阪厚生年金病院長 清野佳紀教授)で、特別講演をさせてもらいました。 会場は満員で、大変な盛況ぶりでした。

最近いろいろな本を読みますが、副島隆彦氏の書かれたものは、物事の本質をはっきりと恐れずに書いてあり大変面白いと思います。日本の「エリート」は本当のことは何も言わず、“インナーサークル”で適当にやっていますからね。

『預金封鎖』や、つい先日は『やがてアメリカ発の大恐慌が襲いくる』という本を読みました。私もよく近代日本の「70年サイクル」説ということで話をしていますが、これは「コンドラチェフ・サイクル」と言われるものだそうで、近代資本主義の根本にある「過剰在庫」だとは面白いと思います。私は経済学者のことはよく知りませんが、有名な経済学者シュンペーターについての高い評価が理解できました。

ところで、副島さんの著書でもコメントされていますが、最近出版された『エコノミストは信用できるか』(東谷暁著、文春新書、2003年11月発行)は、エコノミストのコメントをデータ分析し、評価がされていて面白かったです。
また、フィクションですが、副島さんと同じような題材を扱っていて面白いのは、幸田真音さんの『日本国債』、『凛冽の宙』、『代行返上』などです。

さて、この「60~70年サイクル説」は、最近読み始めた中西輝政さんの『国民の分明史』にも出てきます。「分明史の仕切りの60年サイクル」。人間3世代など理由はいろいろあるのでしょうが、このような長さのサイクルで人間の知恵は動くのでしょう。1870年から1940年頃までの明治維新から近代日本にかける70年、世界は「植民地主義」を歩み、対して日本は「富国強兵」路線をとっていました。そして20世紀後半は世界が「冷戦」時代であり、日本は「高度経済成長」時代の、この60年ということなのです。それぞれ、はじめの30~40 年(「富国強兵」路線時代は今年100周年を迎える日露戦争まで、戦後は経済成長率がピークの70~80年代まで)は調子がよいのですが、その後、「成功体験」のために舵取りの変更や改革を起こせずに落ち目になる、というシナリオが常なのです。だから今は10年後の次の明治維新への移行期だと考えています。

その時代の日本の指針としての新しいキーワードは何でしょう?
世界では「人口問題、環境問題、南北問題」がキーワードになるでしょう。
では、日本は?皆さん、考えてみてください。